アキカラマツ

アキカラマツ(秋唐松、秋落葉松、Thalictrum minus var. hypoleucum)とは、キンポウゲ科カラマツソウ属多年草。別名タカトグサ(高遠草)。

アキカラマツ
アキカラマツ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: キンポウゲ目 Ranunculales
: キンポウゲ科 Ranunculaceae
: カラマツソウ属 Thalictrum
: T. minus
変種 : アキカラマツ
var. hypoleucum
学名
Thalictrum minus L.
var. hypoleucum
(Siebold et Zuccarini) Miquel

分布・生育地

日本では北海道本州四国九州南西諸島に、日本国外では朝鮮中国に分布する。水はけがよい日当たりのよい場所を好み[1]、主に山野草地[2]や林地の周囲[3]、路傍、丘陵地などに生育するが、沖縄島では山地に生育する。

なお、奄美大島沖永良部島の分布については、標本が無く疑問視されている。沖縄島産のものは、北海道 - 九州産のものと比べ、高さ15 - 30センチメートル (cm) と小形であり、生育環境も違うことから詳しい調査が必要であるとされている(沖縄県、2006年)。

特徴

初夏から秋にかけて、カラマツの葉を思わせる黄緑色の小さな花を枝先に群がるように咲かせることから、「秋カラマツ」の名が生まれたとされる[4]。地方により、タカトグサ[4]、ウシイヤグサ[4]の別名でも呼ばれている。長野県高遠の城下町では、数百年の間、日干ししたアキカラマツを高遠草(たかとぐさ)と呼んで腹痛などの薬草として用いていた[4]

多年草で、高さ60 - 130cmになり、茎は直立し上部で枝分かれする[1]は、互生で3出複葉。小葉は円形から広卵形、扇形など様々で先端は2 - 3裂し、長さは約1 cm。

花期は夏から初秋(7 - 9月)[2]花序円錐花序で、茎の頂端に付き、多数の淡黄白色の小花をつける[1]花弁は無く、花弁のように見える長さ2mm、長楕円形のがく片が3 - 4枚付き、開花すると落ちて糸状の雄しべが多数つき、長く目立つ[1]果実痩果で、長さ約2.5ミリメートル (mm) の紡錘形から楕円形で8つの筋(稜)が目立ち、1 - 4個ほどが集まって上向きにつく[1][2]。種子は2 mmほどの狭卵形で先が尖り、表面にはっきりした隆条がある[1][2]

カラマツソウに似るが、カラマツソウの茎を折ると中が空洞で、花色が白色で、果実は垂れ下がるので見分けがつく[3]

コムギ赤さび病菌の中間宿主植物となっている[5]

利用

民間薬として胃腸薬等に用いられ[注釈 1]、茎を天日で乾燥させてものを煎じて服用すると、腹痛など、下痢止め、食あたり食欲不振などに効能があるとされる[1]。地上部の茎葉部を刈り取って日干しにしたものに、マグノフロリンアルカロイド)、タカトニンなどを含んでおり、これらの成分は苦みが強いため口内の味覚神経を刺激して胃の粘膜に直接作用することから、胃液の分泌を促して胃の活動を活発化させることによって、健胃や整腸に役立つと考えられている[4]。なお、生育地により含有成分に差違が生じているとする報告がある[6]

民間療法では、胃腸の調子悪いときに、高遠草を1日量5 - 10グラムを水600 ccで半量になるまで煎じて、食後に3回に分けて服用する用法が知られている[4]。また胃弱の人に、高遠草を粉末にしたものを1回0.3 - 0.5グラムを毎食前に水で飲んでおく用法もある[4]

一方、同じキンポウゲ科のカラマツソウオオカラマツシキンカラマツツクシカラマツなどは、作用の激しい成分を含む毒草として扱われているため薬用には用いられない[4]

保護上の位置づけ

生育地である下記の地方公共団体が作成したレッドデータブックに掲載されている。

脚注

注釈

  1. 長野県高遠町あたりで天日干しにしたものを高遠草(タカトグサ)の名で民間薬としている。

出典

  1. 馬場篤 1996, p. 16.
  2. 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 204.
  3. 馬場篤 1995, p. 58.
  4. 田中孝治 1995, p. 58.
  5. 山田昌雄 ほか、「日本におけるコムギ赤さび病菌生態型の成因としての中間寄主植物アキカラマツに関する研究」, 日本きのこセンター菌蕈研究所研究報告 菌蕈研究所研究報告, 10号, p.283-302(1973-08), NAID 40017990048
  6. 富松利明, 松井又夫, 宇治昭 ほか、「アキカラマツ Thalictrum Thunbergii DC. のアルカロイド研究 (第12報) 植物の生育地による含有第四級塩基の差違について」 『YAKUGAKU ZASSHI』 1962年 82巻 11号 p.1560-1563, doi:10.1248/yakushi1947.82.11_1560, 日本薬学会

参考文献

  • 沖縄県文化環境部自然保護課編 『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(菌類編・植物編)-レッドデータおきなわ-』、2006年。
  • 鹿児島県環境生活部環境保護課編 『鹿児島県の絶滅のおそれのある野生動植物-鹿児島県レッドデータブック植物編-』 財団法人鹿児島県環境技術協会、2003年。
  • 島袋敬一編著 『琉球列島維管束植物集覧』 九州大学出版会、1997年。
  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『草木の種子と果実』誠文堂新光社〈ネイチャーウォッチングガイドブック〉、2012年9月28日、204頁。ISBN 978-4-416-71219-1。
  • 田中孝治『効きめと使い方がひと目絵でわかる 薬草健康法』講談社〈ベストライフ〉、1995年2月15日、58頁。ISBN 4-06-195372-9。
  • 馬場篤『薬草500種-栽培から効用まで』誠文堂新光社、1996年9月27日、16頁。ISBN 4-416-49618-4。

外部リンク

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