アフリカシロナヨトウ

アフリカシロナヨトウ (Spodoptera exempta) は、アフリカを中心に生息するチョウ目ヤガ科の一種の害虫アフリカンアーミーワーム (African armyworm) やokalombo, Kommandowurm, nutgrass armywormといった名でも知られている。

アフリカシロナヨトウ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: チョウ目 Lepidoptera
: ヤガ科 Noctuidae
: Spodoptera
: S. exempta
学名
Spodoptera exempta
Walker, 1856
英名
African armyworm

概要

非常に有害な害虫であり、短期間のうちに大量の作物に食害を与える。その幼虫はほぼありとあらゆる種類のに加えて、トウモロコシコムギといった穀物の若いものや、サトウキビ、ときにはココナッツまでも食す。[1][2] アーミーワームの名は、その群れが草原を"行進"していく様を元に名付けられたものである。アフリカシロナヨトウは雨季に、特に長い干ばつの後に大量に発生する傾向がある。[3][4] 東アフリカの長い乾季においては密度も低く、こうした"オフシーズン"に大発生が確認されることはない。[5]

アフリカシロナヨトウの成虫の生息期間は10日ほどである。メスはその生涯に最大1000ほどのを産卵する。象牙色をした卵は葉の上に塊となって産卵される。卵が孵るまでは2-5日である。幼虫期は2-3週間である。

成虫のガは長距離移動が可能で、時には誕生した土地から100km以上も離れた場所まで移動することもある。[6] 実際に過去の大発生の事例では、被害が数か月のうちに広範囲に拡大した例が確認されている。[7]

この種はアラビア半島イエメンや、太平洋の島々、さらにはオーストラリアの一部でも確認されている。[8] 日本においても沖縄県などの離島で被害が確認されている。

主な被害

道路を蠢くアフリカシロナヨトウの群

1999年4月中旬にエチオピア南部で始まった大発生では、その月のうちに北部へと広がりさらに5月初頭には隣国ソマリアJubba Valleyにまで被害が拡大した。同時期にはケニアリフトバレー州ウガンダの一部でも大発生が起きている。エチオピア政府は35万ヘクタールの土地に殺虫剤を投入しこれを駆除した一方、ケニア・ウガンダ両政府には十分な備えがなく、また無政府状態が続いていたソマリアでは有効な対策は取られなかった。[9]

2009年1月には、リベリアボン郡にアフリカシロナヨトウの大群が侵入、植物が食い荒らされるとともに小川が埋め尽くされるほどの大発生が報じられた。[10][11] この群れはその後隣国のギニアシエラレオネにも拡散した。[11] 1月28日、リベリア大統領はアフリカシロナヨトウの大発生に対する非常事態を宣言した。[12]

2009年12月にはタンザニアの10地域で大発生が起きている。この中には同国の主要な穀物生産5地域のうち3地域も含まれており、残り2地域にも拡大の危険性があった。タンザニアでは2007年から農家にアフリカシロナヨトウ対策を進めさせており、また2009年後半の大発生が予測されていたことから農家に大量の殺虫剤を用意させていた。しかし、22日の発生報告後、アフリカシロナヨトウは速やかにその勢力を拡大した。同月31日までに1,400エーカー (5.7 km2)の穀物が被害を受けた。[13]

2015年1月にはジンバブエにおいて大発生が報告されている。[14] 同年11月には隣国ボツワナにおいても大発生が報告された。[15]

脚注

  1. Odiyo, P. O. 1984. A guide to seasonal changes in the distribution of armyworm infestations in East Africa. Insect Sci. Applic. 5: 107–119.
  2. Yarrow, J. G. Otindo, B. L., Gatehouse, A. G., and Lubega, M. C. 1981. Dwarf variety of coconut, Cocos nucifera (Palmae), a host plant for the African armyworm, Spodoptera exempta (Walk.) (Lepidoptera, Noctuidae). Insect Science and its Application 1: 361–362.
  3. Haggis, M. J. 1984. Distribution, frequency of attack and seasonal incidence of the African armyworm, Spodoptera exempta (Walk.) (Lepidoptera: Noctuidae), with particular reference to Africa and south-western Arabia. Tropical Development Research Institute, London, Report No. L69, pp. 116.
  4. Haggis, M. J. 1986. Distribution of the African armyworm, Spodoptera exempta (Walker) (Lepidoptera: Noctuidae), and the frequency of larval outbreaks in Africa and Arabia. Bulletin of Entomological Research 76: 151–170.
  5. Odiyo, P.O. 1981. Development of the first outbreaks of the African armyworm Spodoptera exempta (Walk.), between Kenya and Tanzania during the 'off-season' months of July to December. Insect Science and its Application 1: 305–318.
  6. Riley, J. R., Reynolds, D. R. and Farmery, M. J. 1983. Observations of the flight behaviour of the armyworm moth Spodoptera exempta, at an emergence site using radar and infra-red optical techniques. Ecological Entomology 8: 395–418.
  7. Jahn, G.C. 1995. Environmental assessment for armyworm control in Ethiopia. USAID, Washington, DC.
  8. Rose, D. J. W., Dewhurst, C.F. and Page, W. W. 2000. The African Armyworm Handbook (2nd Edn). NRI, Chatham, UK, 304 pp ISBN 978-0859545235
  9. Judith Achieng for Inter Press Service News Agency. May 25, 1999 Army worm Invasion Poses Threat To Main Crop
  10. STAR radio Liberia: Caterpillar invasion: Government declares Zota District emergency zone
  11. “Liberia worms trigger emergency”. BBC. (2009年1月27日). オリジナルの2009年1月28日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090128095553/http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/7852639.stm 2009年1月27日閲覧。
  12. AOL.com: Caterpillars Trigger Emergency in Liberia
  13. Armyworm Scourge Spreads to Ten Regions”. allAfrica.com. 2010年1月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年12月31日閲覧。
  14. Zivengwa, Petros (2015年1月1日). Zimbabwe: Govt Reacts to Armyworm Outbreak”. allAfrica.com. 2015年11月29日閲覧。
  15. Mmegi Online :: African Armyworm outbreak reaches Botswana”. Mmegi.bw (2013年1月10日). 2015年11月29日閲覧。

関連項目

外部リンク

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