アマニュウ

アマニュウ(甘にゅう、学名: Angelica edulis)は、セリ科シシウド属多年草[3][4][5]。別名、マルバアマニュウ[1]マルバエゾニュウ[1]

アマニュウ
青森県尻屋崎 2017年7月
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : キキョウ類 Campanulids
: セリ目 Apiales
: セリ科 Apiaceae
: シシウド属 Angelica
: アマニュウ A. edulis
学名
Angelica edulis Miyabe ex Y.Yabe (1893)[1]
シノニム
和名
アマニュウ(甘にゅう)[3]

名称

和名アマニュウは、「甘にゅう」の意で[3][6]、本種は食用になり、この茎を食べると甘味があるのでいう[4][7]。「ニュウ」はアイヌ語[4]とされるが、正確には不明という[6]。別名のマルバエゾニュウは、「円葉蝦夷にゅう」の意で、同属のエゾニュウ A. ursina に似ているが、比べて葉が円いのでいう[4]

アイヌ語では本種の葉柄を「チスイェ」あるいは「チフイェ」とよぶ[8]アイヌ人は茎の皮をむき硬い繊維を取り除いて、生のまま食用とした。また茎を煮てから皮をむき煮物和え物酢の物などの食材としたり、乾燥させ、冬の保存食にもしたという[7]

種小名 edulis は、「食用の、食べられる」の意味[4]

分布と生育環境

日本特産で[5]北海道本州(中部地方以北および中国地方の伯耆大山)、四国(石鎚山)に分布し[7]、山地の谷沿いや山麓、林縁、草原に自生する[5][9]。本州では高原に多く、北海道では林縁や林道沿いで多く見られる[7]

形態・生態

多年生の草本[9]。大形で、は直立して高さ1 - 2メートル (m) になり[9]、ときに3 mに達し、中空で、上部で分枝する。互生し、1 - 2回3出羽状複葉[9]、頂小葉はさらに3中裂する。小葉はやや質が薄く、表面は鮮やかな緑色で光沢感があり、裏面の葉脈上に毛が生え、広卵形から菱状広卵形で、長さ幅ともに10 - 20センチメートル (cm) 、縁は鋭鋸歯になり[9]、基部は心形となる。茎の全部または下部につく葉柄の基部は多少ふくれた鞘状になる[3][4][5][7]。葉や茎に毛はなく、折ると白い乳液が出る[9]

花期は8月ごろ[9]。茎先や分枝した枝の先端に、径約20 cmに及ぶ大型の複散形花序をつけ[9]、白色の小型の5弁のを多数、密につける。複散形花序の下に総苞片は無く、小花序の下に細い小総苞片が数個ある。花柄は25-30個あり、小花柄は30-50個ある。花弁の先は内側に曲がる。雄蕊は5個あり、花弁より長く花外に突き出る。果実は長楕円形で、長さ6-7mmになり、分果の背隆条は3脈、側隆条はやや狭い翼が張り出す。油管は、分果の表面側の各背溝下に1個ずつ、分果が接しあう合生面に2個ある[3][4][5]

北海道や中部地方以北の本州に生える近縁種のエゾニュウ(学名: Angelica ursina)は、高さ2 - 3 mとさらに大形で、アマニュウより苦味が強いが食べられる[9]

利用

若芽や葉を摘み取って食用とする[9]。採取時期は、5 - 10月が適期とされる[9]。葉が展開しはじめた直立したころの葉柄は、皮をむいて生のまま、または茹でて食用にされる。若葉は生のままサラダ天ぷら、すき焼きの具にして食される[7][9]。塩ひとつまみ入れて茹でたものを、和え物酢の物などにする[9]

脚注

  1. 米倉浩司・梶田忠 (2003-). Angelica edulis Miyabe ex Y.Yabe アマニュウ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年7月8日閲覧。
  2. Angelica edulis, The Plant List.
  3. 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.475
  4. 『新牧野日本植物圖鑑』p.518, p.1325
  5. 『改訂新版 日本の野生植物 5』p.261
  6. 『山溪名前図鑑 野草の名前 夏』p.19
  7. 『食べられる野生植物大事典(草本・木本・シダ)』p.217
  8. 知里真志保著 分類アイヌ語辞典 植物編 §104 アマニュウ アイヌ民族博物館
  9. 高橋秀男監修 2003, p. 168.

参考文献

  • 高橋勝雄『山溪名前図鑑 野草の名前 夏』山と溪谷社、2003年。
  • 高橋秀男監修 田中つとむ・松原渓著『日本の山菜』学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、168頁。ISBN 4-05-401881-5。
  • 橋本郁三著『食べられる野生植物大事典(草本・木本・シダ)』柏書房、2007年。
  • 牧野富太郎原著、大橋広好邑田仁岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』北隆館、2008年。
  • 門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』山と溪谷社、2013年。
  • 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 5』平凡社、2017年。
  • 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
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