オリエント工業
オリエント工業(オリエントこうぎょう)とは、日本の東京都台東区にあるラブドール製造会社。創業は1977年、代表者は土屋日出夫。
| 種類 | 有限会社 |
|---|---|
| 本社所在地 |
〒110-0005 東京都台東区上野5-23-11 |
| 設立 | 1977年 |
| 業種 | その他製品 |
| 事業内容 | ラブドールの製造販売 |
| 代表者 | 土屋 日出夫 |
| 支店舗数 | 1(上野) |
| 外部リンク | http://www.orient-doll.com/ |
かつては、ダッチワイフを販売していたが、現在はリアルなラブドールを主に製造販売している。
概要

土屋日出夫は、もともと東京都台東区の上野および浅草[1]でアダルトショップを経営していたが、当時のダッチワイフがあまりにも空気漏れが多く、女性用の性具(バイブレータ)と比べて著しく実用性が低いことから、これの根本的な改良に乗り出し、ダッチワイフ製造会社、オリエント工業の起業に至った。
その際、親交のあった脳神科医から、障害者が実際の性行為を行うこともままならぬ状況におかれながらも性欲をもてあまし[2]、また風俗嬢にも相手にされないなど非常に難儀しているという実情を知り、優れたダッチワイフの必要性を痛感した事が、起業の動機だった[3]。
障害者については、性処理相談や10%の障害者割引制度などで支援を行っている[4]。同社によればそもそも開業当時は障害者へ向けての販売しか行っておらず、通信販売時にも障害者手帳の写し提示を必要としていた[5]。それが「高齢者なら」「独身男性なら」「既婚者でも単身赴任中なら」と、徐々にハードルは下がっていった[6]。
1977年(昭和52年)創業の老舗であり、長年にわたって使用者のニーズに合わせて様々な商品を開発、販売している。2012年ではシリコーン製、ソフトビニール製の製品が多い。シリコーンを使うことで、透明感のあるヒトの肌の再現を実現している[7]。購入は原則として通信販売であるが、東京都台東区上野のショールームでは、直接納品後に持ち帰ることも可能[8]。
同社のラブドールのボディと頭部の原型は、それぞれ専門の造形師が担当している。なお一般企業と同じくアルバイトも受け入れており、ボディ原型の担当者は、東京藝術大学で彫刻を学んでいた際、アルバイトでラブドール制作に関わり、そのままオリエント工業に就職した[9]。
また、オリエント工業製ドールを時間貸しするレンタル業者、ラブドール風俗も存在する。同社との関係は不明である。ドールが高額な事がレンタルを利用する一因であり、そのサイズ・存在感を鑑み、購入後の維持出来るかを確認する意味合いからも、実際に試してから購入するというケースも多い。
2010年には歯学部生の訓練用として、テムザックと昭和大学歯学部が共同開発した患者ロボット『昭和花子』の軟部組織再現に技術協力しており、ラブドール以外の分野にも進出を始めている。なおテムザックのプレスリリース[10]では、オリエント工業の関与について触れられていない。
エピソード
製品のリアリティーさから、ショールームへの搬入時に死体と間違われ、警視庁に踏み込まれたことが幾度かある。
また、不要になった際にはオリエント工業に郵送すれば「里帰り」として引き取り、処分と人形供養を行うといったサービスもある[11]。ちなみに、出荷は嫁入りと称する。
歴史
創業初期
1980年代
1990年代
- 頭部のバリエーション選択
- 1992年に全体的な改良を施した「影華」(えいか)、更に1997年には頭部を3種類から選択可能な「華三姉妹」が登場した[14]。
- ソフトビニール化
- 「面影」系のラテックス製ダッチワイフは、何分ラテックス自体がデリケートな素材であり、メンテナンスも大変だったことから、1997年には従来の商品をソフトビニール仕様に改めた「明日香」を発売した。
- ロリータ系
- そして1999年には造形を現代風に改めた上で、全身をソフトビニールで造形した新製品、身長140cmの少女系プチソフト「アリス」を発売。体型自体は幼児体型、少女体型という訳ではなく、成人女性のミニチュアである。これが大ヒットとなり、売り上げは従来の5 - 6倍にも達した[15]。
2000年代
- シリコン素材によるリアルドール化
- その後、世間ではリアルドールが流行を見せ、「アリス」のリアルドール化、すなわちシリコン化を要望する声が強くなった。いかんせん新素材であるため、色や耐久性の追求など、開発には苦労があったものの、「アリス」のヒットで開発に資金をつぎ込める環境にあり、2年の開発期間を経て、2001年にはシリコン製のプチジュエル「アリス」を発売[16]。販売価格は56万円にまで跳ね上がった。
- オリエント工業のウェブサイトにて、当初は差し当たって初回50体の受注生産を行う予定だったが、受け付け開始から予想を上回る注文が入り、20分後に慌てて受付を停止した時にはその注文数は実に120件、新規の受注を3ヶ月間停止せざるを得ないという事態に陥る。次の受注でもやはり3ヵ月で100件といった状態であり、注文が落ち着くまで生産工場は修羅場だった。
- ただし、まだ技術的な蓄積が足りず、後発の製品と比較すれば、やはり強度を優先したために皮膚のシリコンの肌触りは、若干固かった[17]。
ファンタスティック
2000年[23]から、「オリエント工業」とは別ブランドである「ファンタスティック」での活動も行っていた。2012年3月22日にファンタスティックとしての運営を終了している[24]。
比較的写実的なオリエント工業ブランドのドールとは全く赴きが異なり、アニメ・マンガなど、2次元の世界の美少女をそのまま等身大で立体化したかの様な造形の頭部を持ったドールを販売していた[25]。2010年現在では、10万円 - 20万円台の商品が多い。
なお、首から下の胴体部分は、ソフトビニール製のほか、シリコン製のものも選択可能である[26][注 2]。
ラインナップ
オリジナルペイントを行うユーザー向けに、ティナ・ティセヘッドの無塗装ヘッドも発売されていた。ティナとティセは目のペイントの違いのみで、造形は共通である。
ファンタスティックブランドとしてオリジナルの着せ替え衣装、靴、ウィッグなどを販売していた。また、ティナとティセは専用メイド服が設定されていた。
胴体部分はオリエント工業のCandyGirlプチアリス(後にプチソフト)と共通の為、ホール部分や頭部の接続方式は共通である。2012年3月よりシリコンボディは頭部の接続方式が改良された為、ファンタスティックの各ヘッドも新型シリコンボディとは互換性は無い。但し購入時に別途改造を申し込むことにより球型接続方式に対応可能(ジュエル136/146、ナノシリコン製胴体のみ対応可)[27]。ヘッド、衣装、靴等の衣類はオリエント工業ブランドでも発売されており、各パーツが個別に注文が可能であった。
その他
脚注
注釈
- 『南極1号伝説』 p.98 によれば、日本初、あるいは世界初の構造の可能性がある。
- (本体の素材について)“Q&A 本体の素材は”. ファンタスティック. 2011年3月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年8月20日閲覧。 シリコン製を選んだ場合は、50万円程度の価格となる。
出典
- 『セックスメディア30年史』 p.223
- 『風俗の人たち』 p.53
- 『風俗の人たち』『ニッポン「もの物語」』および『セックスメディア30年史』
- 『南極1号伝説』 pp.93-94、pp.98-99、『あやしい取材に逝ってきました』
- 『風俗の人たち』 p.54
- 『風俗の人たち』 p.55
- 水口幸広のレポート漫画『週刊アスキー 2007SUMMER 特別編集 カオスだもんね! 特別編』143ページによる。
- “Q&A - よくいただくご質問”. オリエント工業. 2011年8月20日閲覧。
- 東京藝術大院卒→オリエント工業の造形師が、究極の機能美を追究した先に見た「ドール×Tech」の未来 - エンジニアtype
- “プレスリリース”. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年4月19日閲覧。
- 『セックスメディア30年史』p.223、“Q&A - よくいただくご質問”. オリエント工業. 2011年8月20日閲覧。
- 『南極1号伝説』(文庫版) p.66、pp.92-96
- 『風俗の人たち』 p.56
- 『南極1号伝説』 pp.96-100
- 『南極1号伝説』 pp.101-104
- 『セックスメディア30年史』p.226
- 『南極1号伝説』 p.42、pp.104-111
- “(期間限定)ドールの世界「ヴァニラ画廊 人造乙女博覧会」【東京】”. 日本珍スポット100景 (2007年6月28日). 2018年6月19日閲覧。
- “銀座ヴァニラ画廊で『人造乙女博覧会IV』開催中、8月23日まで。製造風景や金型の展示も”. Engadget 日本版 (2014年8月19日). 2014年8月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年6月19日閲覧。
- “女性客が6割! オリエント工業40周年記念展「今と昔の愛人形」で感じた「不気味の谷」が潜む場所 | ロボスタ - ロボット情報WEBマガジン”. ロボスタ. 2020年4月13日閲覧。
- 『南極1号伝説』 p.121
- オリエント工業の歴史 2020年より
- オリエント工業の歴史 2000年より
- ファンタスティック 運営終了のお知らせ
- 『セックスメディア30年史』p.228
- (「ファンタスティック」の節について)『南極1号伝説』 pp.111-115
- 頭部接続方式の改良について
- “歯科実習用患者ロボ「昭和花子2」を公開”. AFP. (2011年6月30日)
- オリエント工業の歴史 2011年より
参考文献
- 小沢カオル、2009、『あやしい取材に逝ってきました。』、秋田書店 ISBN 978-4253107167 pp. pp.128-
- 荻上チキ、2011、『セックスメディア30年史 ― 欲望の革命児たち』、筑摩書房〈ちくま新書〉 ISBN 978-4-480-06606-0 pp. pp.218-232
- 高月靖、2008、『南極1号伝説 ダッチワイフからラブドールまで 特殊用途愛玩人形の戦後史』、バジリコ
- 永沢光雄、1997、『風俗の人たち』、筑摩書房 ISBN 4-480-81807-3
- 夏目幸明、2009、『ニッポン「もの物語」』、講談社 ISBN 978-4-06-215315-7 pp. pp.240-
外部リンク
- リアルラブドール オリエント工業 - 公式サイト(年齢認証あり)