カオジロトンボ

カオジロトンボ(顔白蜻蛉、学名Leucorrhinia dubia (Vander Linden ,1825))は、トンボ科カオジロトンボ属[2]トンボの1[3]英名和名は本種の特徴である顔面が白色であることに由来する[3][4]

カオジロトンボ
カオジロトンボのオス、籾糠山の木平湿原(高層湿原)にて、2012年6月30日
Leucorrhinia dubia orientalis カオジロトンボのオス
カオジロトンボのメス、ベルギーのアルデンヌにて、2006年7月31日
Leucorrhinia dubia dubia カオジロトンボのメス
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: トンボ目 Odonata
: トンボ科 Libellulidae
: カオジロトンボ属 Leucorrhinia
: カオジロトンボ L. dubia
学名
Leucorrhinia dubia
(Vander Linden ,1825)
和名
カオジロトンボ
英名
White-faced Darter
亜種
  • L. dubia dubia
  • L. dubia orientalis カオジロトンボ

分布

ユーラシア大陸ヨーロッパロシア中国朝鮮半島から日本にかけて分布する[5]。ヨーロッパには亜種(L. dubia dubia (Vander Linden ,1825))が分布し、ロシアから日本かけては亜種カオジロトンボ(L. dubia orientalis Selrs ,1887[6])が分布する[5]

日本では北海道中部地方以北の本州山岳地帯に分布する[5][6]青森県では八甲田山系のみに分布する[7]福井県では赤兎山の赤池のみで分布が確認されていて、その生息域の南西限である[8]

形態

成虫は小型で、オスは全長32-39 mm、腹長20-26mm、後翅長25-30 mm、メスは全長31-38 mm、腹長20-26mm、後翅長24-30 mm[5]。体色は黒味が強く[4]、顔が乳白色、の縁紋外側が白い[5]。翅の基部には褐色斑がある[5]。腹部の第2-3節の斑紋は、成熟したオスが赤色、成熟したメスは黄色型と赤色型の2種類がある。オスの背面に橙色斑があり、メスには黄色斑がある[5]DNA解析により、北海道から青森県にかけて分布する個体群と本州中部の個体群との間に若干の差異が確認されている[5]。近縁種として同エゾカオジロトンボ(学名:Leucorrhinia intermedia Bartenef, 1910)がある[2]

幼虫ヤゴ)は全長約19mm で、北海道と本州との個体間には側棘の長さに差異がある[5]。本州の個体の腹面には黒色の帯状紋がある[5]

生態

寒冷地の高原の植生豊かな池塘、高層湿原などに生息する(籾糠山の木平湿原)

生息環境

寒冷地の高原の植生豊かな池塘、高層湿原[9]などに生息し[6]、開放的な環境を好む[5]

交尾中のカオジロトンボ

生活史

期間は10日-3週間程度[5]幼虫期間は2年程度で(2年1世代)、幼虫で越冬する[5]成虫は5月下旬頃から9月上旬ごろに出現する[5]。オスは水辺の枝先などに静止し縄張りを持ち、メスを見つけると連結して空中で交尾態となり、周辺のの上などに留まる[3]。交尾後メスは単独で水辺を訪れ、池塘などの水面を腹端で打って産卵を行う[3]。A型3連結(オス-オス-メス)とMMM型3連結(オス-オス-オス)が見られることが報告されている[10]

種の保全状況評価

国際自然保護連合(IUCN)により、レッドリスト軽度懸念(LC)の指定を受けている[1]

日本では以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている[11]

脚注

注釈

  1. 青森県の希少野生生物(Bランク)は、環境省の準絶滅危惧相当。

出典

  1. Leucorrhinia dubia (Small Whiteface) in IUCN Red List of Threatened Species. Version 2013.2 (英語). 国際自然保護連合(IUCN). 2014年2月19日閲覧。
  2. 尾園 (2012)、370頁
  3. 尾園 (2012)、369頁
  4. 井上 (1999)、61頁
  5. 尾園 (2012)、368頁
  6. 井上 (1999)、146-147頁
  7. 青森県レッドデータブック(2010年改訂版) (PDF). 青森県. pp. 253 (2010年). 2014年2月19日閲覧。
  8. 福井県レッドデータブック(動物編)・カオジロトンボ”. 福井県 (2004年). 2014年2月19日閲覧。
  9. 希少トンボ、白山に楽園 寒冷好むカオジロトンボ、初確認の高層湿原で繁殖”. 北國新聞富山新聞 (2010年6月8日). 2014年2月20日閲覧。
  10. 尾園 (2012)、512頁
  11. 日本のレッドデータ検索システム「カオジロトンボ」”. (エンビジョン環境保全事務局). 2014年2月19日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
  12. 山形県レッドリスト(昆虫類) (PDF). 山形県 (2015年). 2022年12月27日閲覧。
  13. レッドデータブックとちぎ・カオジロトンボ”. 栃木県 (2011年). 2014年2月19日閲覧。
  14. いしかわレッドデータブック動物編2009 (PDF). 石川県 (2009年). 2014年2月19日閲覧。

参考文献

  • 井上清、谷幸三『トンボのすべて』トンボ出版、1999年6月1日。ISBN 4887161123。
  • 尾園暁、川島逸郎・二橋 亮『日本のトンボ』文一総合出版〈ネイチャーガイド〉、2012年6月19日。ISBN 978-4-8299-0119-9。

外部リンク

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