クモの巣図法

クモの巣図法(クモのすずほう)とは、一次元離散力学系の振る舞いをグラフを用いて図式的に表す手法。英語ではcobweb diagramweb diagramcobweb plot などと呼ばれる[1][2]

クモの巣図法のアニメーション

手順

ある差分方程式 xn+1 = f(xn) 、初期値 x0 が与えられるとき、まず、縦軸を xn+1、横軸をxn としたグラフ上で、f(xn) の曲線を描く[3]。次に、傾き1の45°の線、すなわち xn+1 = xnの線を曲線に重ねて描く[3]。その後、次のような手順を繰り返す[4]

  1. 横軸 x0 の点から曲線 f に突き当たるまで垂直に直線を引く。垂直直線が突き当たる曲線上の点の座標は (x1, x0) となる。
  2. 点 (x1, x0) から、今度は水平に直線を、傾き1の線に突き当たるまで引く。水平直線と傾き1の線が交わる点は (x1, x1) となる。
  3. 点 (x1, x1) から、曲線 f に突き当たるまで垂直に直線を引く。交わる点は (x2, x1) となる。
  4. 点 (x2, x1) から、傾き1の線に突き当たるまで水平に直線を引く。交わる点は (x2, x2) となる。
  5. あとは 3 ⇒ 4 ⇒ 3 ⇒ 4...の順で、手順3, 4を交互に繰り返す。

出来上がる図は、曲線と45°の線の間に線が張り巡らされたような図となっており、このことからクモの巣図法と呼ばれる[5]。行っていること自体は、解の挙動 x1, x2, x3, x4,...を順に計算していることと同じである。 しかし、クモの巣図法を用いることで、解の挙動が一目でわかる全体像が得られる利点がある[6]

脚注

  1. Strogatz 2015, p. 307.
  2. Weisstein, Eric W. "Web Diagram". mathworld.wolfram.com (英語). 2016年1月17日閲覧
  3. アリグッド, サウアー, ヨーク 2012, pp. 3–4.
  4. Hirsch et al. 2007, p. 339.
  5. マレー 2014, p. 43.
  6. Strogatz 2015, p. 383.

参考文献

  • K.T.アリグッド, T.D.サウアー, J.A.ヨーク、シュプリンガー・ジャパン(編)、津田一郎(監訳)、星野高志・阿部巨仁・黒田拓・松本和宏(訳)、2012、『カオス 第1巻 力学系入門』、丸善出版 ISBN 978-4-621-06223-4
  • ジェームス・D・マレー、三村昌泰(総監修)、瀬野裕美・河内一樹・中口悦史・三浦岳(監修)、勝瀬一登・吉田雄紀・青木修一郎・宮嶋望・半田剛久・山下博司(訳)、2014、『マレー数理生物学入門』初版、丸善出版 ISBN 978-4-621-08674-2
  • Steven H. Strogatz、田中久陽・中尾裕也・千葉逸人(訳)、2015、『ストロガッツ 非線形ダイナミクスとカオス―数学的基礎から物理・生物・化学・工学への応用まで』、丸善出版 ISBN 978-4-621-08580-6
  • Morris W. Hirsch; Stephen Smale; Robert L. Devaney、桐木紳・三波篤朗・谷川清隆・辻井正人(訳)、2007、『力学系入門 原著第2版―微分方程式からカオスまで』初版、共立出版 ISBN 978-4-320-01847-1

外部リンク

  • Weisstein, Eric W. "Web Diagram". mathworld.wolfram.com (英語).
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