コアホウドリ

コアホウドリ(小阿呆鳥、小信天翁、Diomedea immutabilis)は、ミズナギドリ目アホウドリ科アホウドリ属に分類される鳥類

コアホウドリ
コアホウドリ
コアホウドリ Diomedea immutabilis
保全状況評価[1]
NEAR THREATENED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: ミズナギドリ目 Procellariiformes
: アホウドリ科 Diomedeidae
: アホウドリ属 Diomedea
: コアホウドリ D. immutabilis
学名
Diomedea immutabilis
(Rothschild, 1893)
和名
コアホウドリ
英名
Laysan albatross

分布

北太平洋

夏季はベーリング海アラスカ湾アリューシャン列島周辺に渡り、冬季になるとハワイ諸島クラリオン島ミッドウェー島で繁殖する。日本では小笠原諸島の聟島、聟島の属島の聟島鳥島、嫁島で繁殖が確認されている[2]

形態

全長80cm (79-81cm) 、翼開長199cm (195-203cm)[3]体重2.3-2.8kg[4]アホウドリより小さい。雌雄同色で、頭部から体の下面にかけては白く、体上面は黒褐色の羽毛で覆われる。眼先から耳羽(耳孔を覆う羽毛)にかけて黒い。腰から上尾筒は白くて、尾羽の先は黒褐色。翼上面は黒褐色で、翼下面は白いが外縁は黒褐色で太く囲まれ一部に斑がある。

嘴の色彩はピンク色で、先端は青みがかった灰色。足はピンク色。

本種の若鳥や幼鳥の羽色は成鳥とあまり変わらず、嘴の色彩が灰色がかっているぐらいであり、種小名の immutabilis も不変を意味する[5]。雛は全身が先端が白い黒褐色の羽毛で覆われる。

生態

繁殖期以外は海洋に生息する。

食性は動物食で、魚類甲殻類軟体動物などを食べる。

集団繁殖地(コロニー)を形成する。11-12月に飛来して[6]、斜面に窪みを掘って周囲を盛り上げたり、窪みに小石や枯草を敷いた皿状の巣に、12月のうちに1個の卵を産む[6]。卵は淡黄褐色で鈍端近くには褐色の小斑が密にあり、大きさは約10.1 × 6.8cm[6]。雌雄交代で抱卵し、抱卵期間は約65日。足環標識から42年間を生きた個体の例がある。2018年には、最低67歳以上の雌(愛称ウィズダム:英語で知恵の意)がミッドウェー島で雛を孵した。この雌は1956年に推定5歳以上の時に抱卵中に足環をつけられた。通常は求愛行動に数年を費やし、8~9歳で番になるので、62歳をもっと上回ることも考えられる。[7]この雌は2014-2015年の繁殖期にも産卵をした[8]が、2015年1月6日に卵が消失しているのが確認された。[9]2016年においてもこの雌は雛を孵し、巣立ちまで育て上げた。[10]この時点で推定65歳とされる。[11]推定66歳とされる2016年12月現在、新たに抱卵中である[12][13]。2018年1月にもミッドウェー島の営巣地に戻ってきた姿が映像に収められた[14]。2021年12月10日には推定70歳の誕生日を迎えた[15]。2022年も12月9日までに営巣地に戻ってきた[16] [17]

人間との関係

ミッドウェー海戦の慰霊碑の後ろで群れる、ミッドウェー島のコアホウドリ

繁殖地として知られる小笠原諸島の聟島属島の鳥島では、当初1976年2月に成鳥5羽が発見され、雛が1977年6月に確認された[6]

ミッドウェー島では空軍基地の電線や飛行機との衝突などにより生息数が減少している。また漁業による混獲などによる生息数の減少が懸念されている。

海洋汚染

ミッドウェイ諸島のコアホウドリは海面近くのイカなどを餌としているが、海洋汚染によって海面に浮かんでいるプラスチックを餌と間違えて飲み込むようになった。ヒナがいる親鳥は餌を吐き戻してヒナに与えるが、その際にプラスチックもヒナに与えている。そのため、ヒナの胃には消化できないプラスチックが詰まってゆく。胃の中のものを吐き戻せるようになるのは生後4ヶ月半ほどからであるため、異物を吐き戻せないヒナの死亡が多発している[18]。写真家のクリス・ジョーダンは、プラスチックが体内にたまって死亡したヒナの写真を2009年から3年間にわたって撮影し、その数は数千羽にのぼる[注釈 1][19]。ジョーダンによれば、その他に漁船の釣り針にかかって数千羽が死亡しているという[18]。ジョーダンは「The Midway Project」としてKickstarterで資金を集め、ミッドウェイのコアホウドリについての映画『ALBATROSS』(2017年)を発表した[注釈 2][18]

絶滅危惧IB類 (EN)環境省レッドリスト

画像

脚注

注釈

    1. ジョーダンは、この問題について他の写真家が被写体に敬意を払っていないように見えたため、自らは敬意をもって悲劇を伝えようと考えた[19]
    2. 『ALBATROSS』はネットにて全編が公開されている[20]

    出典

    1. BirdLife International (2013). "Phoebastria immutabilis". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2013.2. International Union for Conservation of Nature. 2013年11月26日閲覧
    2. コアホウドリの新たな繁殖場所(小笠原諸島嫁島)の確認について”. 東京都 (2013年5月27日). 2014年3月19日閲覧。
    3. Peter Harrison, SEABIRDS an identification guide, (Paperback, 1985) p. 52, p227. ISBN 0-395-60291-2
    4. Brazil, Mark (2009). Birds of East Asia. Princeton University Press. p. 74. ISBN 978-0-691-13926-5
    5. 三省堂編修所・吉井正 『三省堂 世界鳥名事典』、三省堂、2005年、208-209頁。ISBN 4-385-15378-7。
    6. 高野伸二 『カラー写真による 日本産鳥類図鑑』、東海大学出版会、1981年、190-191頁。
    7. http://www.livescience.com/26868-oldest-bird-hatches-chick.html 余談だがこの雌はミッドウェー島のアホウドリにも多くの犠牲(成鳥2000羽、雛11万羽)を出した東日本大震災津波を生き延びた
    8. https://www.facebook.com/Papahanaumokuakea/videos/vb.194112517290118/882091455158884/?type=2&theater この時点で63歳以上とされている
    9. https://www.facebook.com/Papahanaumokuakea/photos/a.199694546731915.48126.194112517290118/913123895388973/?type=1&theater
    10. https://www.fws.gov/refuge/Midway_Atoll/News/Where_Is_Wisdom.html
    11. https://www.facebook.com/Papahanaumokuakea/photos/a.199694546731915.48126.194112517290118/1252396201461739/?type=3&theater
    12. https://www.facebook.com/usfws/photos/a.419357095774.215156.28248315774/10154719411090775/?type=3&theater
    13. 【海外こぼれ話】世界最高齢出産の野鳥 米保護区”. 産経ニュース (2016年12月12日). 2016年12月14日閲覧。
    14. https://www.facebook.com/PacificIslandsFWS/videos/567366610294627/
    15. https://www.facebook.com/PacificIslandsFWS/photos/a.230691343962157/1585647065133238/
    16. https://twitter.com/USFWSPacific/status/1600901726219161600
    17. うれしいニュース、世界最高齢の71歳のアホウドリが元気な姿で島に帰ってきた”. カラパイア (2022年12月13日). 2022年12月22日閲覧。
    18. SCHILLER, JAKOB (2012年9月6日). “プラスティックに満ちた死:海辺のギャラリー”. WIRED日本語版. https://wired.jp/2012/09/06/albatross-midway-chris-jordan/ 2021年4月8日閲覧。
    19. Renn, Harriet (2018年12月30日). “親鳥から致死量のプラスチックを与えられた雛鳥”. vice. https://www.vice.com/ja/article/gy7ekb/your-plastic-waste-is-killing-tons-of-baby-birds 2021年4月8日閲覧。
    20. “ALBATROSS”. The Midway Project. (2017年). https://www.albatrossthefilm.com 2021年4月8日閲覧。

    参考文献

    • 安部直哉 『山渓名前図鑑 野鳥の名前』、山と渓谷社2008年、37頁。
    • 桐原政志 『日本の鳥550 水辺の鳥』、文一総合出版、2000年、30頁。
    • 黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科7 鳥類I』、平凡社1986年、52-54、176頁。
    • 高野伸二 『フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂版』、日本野鳥の会2007年、68-69頁。
    • 中村登流監修 『原色ワイド図鑑4 鳥』、学習研究社1984年、139、192頁。
    • 真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、平凡社、2000年、22頁。
    • 『小学館の図鑑NEO 鳥』、小学館2002年、16頁。

    関連項目

    外部リンク

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