サン・ズーム・スパーク:1970・トゥ・1972
『サン・ズーム・スパーク:1970・トゥ・1972』 (Sun Zoom Spark: 1970 to 1972) は、キャプテン・ビーフハート名義の4枚組CDである。キャプテン・ビーフハートことドン・ヴァン・ヴリートが率いたキャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンドが1970年代前半にリプリーズ・レコードから発表した3作のアルバムのデジタル・リマスター音源と、彼等がこれらの作品の制作期間に録音した未発表音源を収録して、彼の没後の2014年に発表された。
| 『サン・ズーム・スパーク:1970・トゥ・1972』 | |
|---|---|
| キャプテン・ビーフハート の CD box<meta itemprop='albumReleaseType' content='アルバム' /> | |
| リリース | |
| 録音 | 1970年-1972年 |
| ジャンル |
ブルース・ロック サイケデリック・ロック |
| レーベル |
ライノ リプリーズ |
解説
背景
キャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンドは、キャプテン・ビーフハート・アンド・ヒズ・マジック・バンドと名乗っていた1968年に、ヴァン・ヴリートの旧友フランク・ザッパ[注釈 1]が設立したストレイト・レコードに移籍して、1969年にザッパのプロデュースによる大作『トラウト・マスク・レプリカ』を発表した。ストレイト・レコードのミュージシャンのレコードはアメリカではワーナー・ブラザーズ・レコード系列の会社によって製造販売されており、『トラウト・マスク・レプリカ』はリプリーズ・レコードから発売された。1970年、彼等はヴァン・ヴリートのプロデュースで[1]次作『リック・マイ・デカルズ・オフ、ベイビー』[2][3]を制作し、キャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンド名義で発表した。
やがてリプリーズ・レコードはストレイト・レコードを吸収し、『トラウト・マスク・レプリカ』や『リック・マイ・デカルズ・オフ、ベイビー』のアメリカでの売り上げが振るわなかった[注釈 2]事実を踏まえて、彼等に新作の内容をもっと売れそうな内容にすることを希望した[4]。彼等は1972年に『ザ・スポットライト・キッド』[注釈 3][5][6]、1973年に『クリア・スポット』[注釈 4][7][8]を発表した。前者のプロデューサーはヴァン・ヴリート、後者のプロデューサーはワーナー・ブラザーズ・レコードに所属するテッド・テンプルマンであった。
内容
『ザ・スポットライト・キッド』の収録曲の'Blabber 'N' Smoke'を作詞したのは、発表時にはヴァン・ヴリート夫人のジャンであるとされ、後年発売されたCDでも、そのようになっていたが、本作では作詞作曲ともヴァン・ヴリートによるとされている。
Out-takesに収録された'Pompadour Swamp'は、『ブルージーンズ・アンド・ムーンビームズ』(1974年)に収録された同名曲とは異なり、『シャイニー・ビースト(バット・チェイン・プラー)』(1978年)に収録された’Suction Print’である。
添付された18ページのブックレットには、トム・ウェイツがヴァン・ヴリートを偲んで詠んだ"Now Don Is Like The Bones In A Watermelon"という詩が掲載されている。ウェイツは1970年代半ばにヴァン・ヴリートに出会い、彼の音楽に大きな影響を受け[注釈 5]、彼が病没する2010年まで接触を保った数少ない人物である[9]。
ボックスのジャケットとOut-takesのジャケットの絵は、ヴァン・ヴリートの1970年の作品である。
収録曲
参加ミュージシャン
- CD 1
Lick My Decals Off, Baby
[Captain Beefheart and The Magic Band]
- Captain Beefheart (Don Van Vliet)- ボーカル、ベース・クラリネット、テナー・サックス、ソプラノ・サックス、ハーモニカ
- Zoot Horn Rollo (Bill Harkleroad)- ギター、グラス・フィンガー・ギター
- Rockette Morton (Mark Boston)- ベース・ギター
- Drumbo (John French)- ドラムス、ブルーム
- Ed Marimba (Art Tripp)- マリンバ、パーカッション、ブルーム
- CD 2
The Spotlight Kid
[Captain Beefheart and The Magic Band]
- Captain Beefheart (Don Van Vliet)- ボーカル、ハーモニカ、ジングル・ベルズ
- Zoot Horn Rollo (Bill Harkleroad)- ギター、グラス・フィンガー・アンド・スティ―ル・アッペンデイジ・ギター
- Ed Marimba (Art Tripp)- マリンバ、ピアノ、ハープシコード
- Rockette Morton (Mark Boston)- ベース・ギター
- Winged Eel Fingerling (Elliot Ingber)- ギター
- Drumbo (John French)- ドラムス(#2-9)
- Ted Cactus (Art Tripp)- ドラムス(#1)
- Rhys Clark - ドラムス(#10)
- CD 3
Clear Spot
[Captain Beefheart and The Magic Band]
- Captain Beefheart (Don Van Vliet)- ボーカル、ハーモニカ
- Zoot Horn Rollo (Bill Harkleroad)- ソロ・ギター、スティ―ル・アッペンデイジ・ギター、グラス・フィンガー・アンド・マンドリン
- Rockette Morton (Mark Boston)- リズム・ギター、ベース・ギター(#12)
- Ed Marimba (Art Tripp)- ドラムス、タトゥ―、パーカッション
- Oréjon (Roy Estrada)- ベース・ギター
[客演]
- Milt Holland - パーカッション
- Russ Titelman - ギター(#3)
- The Blackberries - バッキング・ボーカル(#3, 8)
- クレジットなし - ホーン(#2, 3, 9)
- CD 4
Out-takes
脚注
出典
- Barnes (2011), p. 120.
- French (2010), pp. 814–821.
- Harkleroad & James (2000), pp. 51–52, 61–64.
- Harkleroad & James (2000), p. 71.
- French (2010), pp. 821–827.
- Harkleroad & James (2000), pp. 71–76.
- French (2010), pp. 827–834.
- Harkleroad & James (2000), pp. 79–90.
- Barnes (2011), pp. 327–328.
注釈
- 二人は高校の同級生だった。
- 両方のアルバムとも、音楽雑誌では好意的な評価を得たが、チャートインしなかった。因みに、イギリスのチャートでの最高位は、『トラウト・マスク・レプリカ』が21位、『リック・マイ・デカルズ・オフ、ベイビー』が20位であった。
- 1971年に制作され、1972年1月にキャプテン・ビーフハート名義で発表された。実質はキャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンド名義の作品であった。
- 1972年に制作されて、1973年1月に発表された。
- ウェイツは1983年に発表した『ソードフィッシュトロンボーン』への影響を公言している。
参考文献
- Barnes, Mike (2011), Captain Beefheart: The Biography, Omnibus Press, ISBN 978-1-78038-076-6
- French, John "Drumbo" (2010), Beefheart: Through the Eyes of Magic, Proper Music Publishing, ISBN 978-0-9561212-5-7
- Harkleroad, Bill; James, Billy (2000). Lunar Notes: Zoot Horn Rollo's Captain Beefheart Experience. Gonzo Multimedia Publishing. ISBN 978-1-908728-34-0