ナガエツルノゲイトウ

ナガエツルノゲイトウ(長柄蔓野鶏頭、学名Alternanthera philoxeroides)は、ナデシコ目ヒユ科に分類される多年草の1南アメリカ原産[1]

ナガエツルノゲイトウ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ナデシコ目 Caryophyllales
: ヒユ科 Amaranthaceae
: ツルノゲイトウ属 Alternanthera
: ナガエツルノゲイトウ
A. philoxeroides
学名
Alternanthera philoxeroides
(Mart.) Griseb.
和名
ナガエツルノゲイトウ
英名
Alligator weed
花期の本種
小川における群生

現在では世界中に外来種として定着しており、「地球上で最悪の侵略的植物」と呼ばれる[2]こともある。 2005年に外来生物法の施行と同時に特定外来生物に指定された[3]

分布

南アメリカのパラナ川流域を原産地とする[1]アメリカ合衆国オーストラリアニュージーランドリビア日本台湾に移入分布する[1][4]

特徴

高さ 0.5 - 1.0m以上に成長する。は太さ 4mmほどで、中空構造になっており、水に浮き、流れ着いた先で繁殖する[2]。陸地でも海浜でも育つ。主根を土中深くまで伸ばすため、引き抜いて駆除しようとしても、わずかにでも主根が残っていればそこから再生する[2][5]。葉は対生で、わずかに細かい毛のような鋸歯が確認できる。花期は4 - 10月で、小さく白い花を咲かせる。

外来種問題

アメリカ合衆国では、1897年アラバマ州で初めて確認された[6]。その後1956年には水草として販売・流通が禁止されるも、ごとに警告が出されるほど深刻な事態に陥っている[2]

日本での最初の定着記録は、1989年(昭和64年/平成元年)の兵庫県尼崎市のものである[7]。観賞用の水草として流通していた本種は、本州以南の千葉県印旛沼[2]、ほか)、茨城県[8][9]神奈川県静岡県滋賀県琵琶湖[2])、京都府奈良県[10]大阪府、兵庫県(尼崎市、伊丹市稲美町、ほか、本州地域)[2]淡路島(本田池など〈洲本市域〉[2][注 1])、徳島県香川県島根県宍道湖[11])、福岡県佐賀県熊本県鹿児島県沖縄県といった広い範囲に分布が拡大している[4][12]。琵琶湖、印旛沼など、ブラックバス等の生息地で発見されることが多いため、釣り人が媒介している可能性が指摘されている[2]

在来種の植物と競争するほか、水面上にマット状に繁茂することで水流を停滞させたり、船の通行を妨げたりする[13]

駆除

本種の防除対策として、アメリカ合衆国では1960年代頃からアザミウマなどを利用した天敵導入が行われている[14][4]。日本では、遮光シートで太陽光を遮断することによって光合成を妨げる方法で枯殺を図り、少なくとも繁殖を抑え込む[15][2]ほか、人力[15]、時には重機(建設機械)を利用した物理的除去が行われる。ただし、茎の断片からでも再生する繁殖力の強さがあり、安易な除去は問題を拡散させる可能性があることに留意しなければならない[15]淡路島本田池の場合、すでに近くの水路や下流のへの拡散が確認されたので、それ以上の拡散を防ぐために池の周辺をで囲った上で駆除を行なっている[2]。駆除作業後は、衣服と靴、道具、車両のタイヤなどに茎や根が付着していないか確認する必要もある[2]

除去した草の処分については、特定外来生物であることから草が拡散しないよう管理して枯殺・焼却しなければならない[16]

脚注

注釈

  1. 2021年(令和3年)4月に発見されたが、数年前に侵入したと推定されている[2]。発見時、水面の約6割を覆っていた[2]

出典

  1. 『日本の外来生物』 2008
  2. 「地球上最悪の侵略的植物」淡路島で繁殖、拡大しつつあり完全除去に10年以上か」『読売新聞オンライン』読売新聞社、2021年4月13日。2021年4月13日閲覧。
  3. 特定外来生物等一覧 日本の外来種対策 外来生物法”. 環境省. 2023年11月12日閲覧。
  4. NIES 侵入生物Db, 2021年4月13日閲覧.
  5. 根絶難しい特定外来生物の水草、陸上にも拡大…稲を倒すなど農業被害の懸念”. 読売新聞 (2022年10月21日). 2022年10月22日閲覧。
  6. NISIC.
  7. 『日本の外来生物』 2008
  8. 県内の特定外来生物対策(更新日:2016年5月15日)、茨城県。
  9. 茨城県 県民生活環境部 環境政策課 生物多様性 (2021年4月5日更新). 茨城県内の特定外来生物”. 茨城県. 2021年4月13日閲覧。
  10. 奈良の世界遺産にはびこる外来生物 関西情報サイト Kansai Window。
  11. 山室真澄(陸水学者、東京大学教授) (2016年9月12日). 宍道湖にナガエツルノゲイトウが侵入!”. 研究者の個人ブログ. Limnology 水から環境を考える. 2021年4月13日閲覧。
  12. 久米 2012
  13. 『日本の外来生物』 2008
  14. 『日本の外来生物』 2008
  15. サガテレビ除去しても繁殖するやっかいなヤツ!びっしりと生い茂る水草の正体は?【佐賀発】」『FNNプライムオンライン』フジニュースネットワーク (FNN)、2019年8月10日。2019年8月10日閲覧。
  16. 北九州市環境局 環境監視部 環境監視課. オオキンケイギクは、「特定外来生物」です!”. 北九州市. 2019年8月10日閲覧。

参考文献

書籍、ムック
  • 自然環境研究センター(編著) 著、多紀保彦(監修) 編『日本の外来生物─決定版』平凡社、2008年4月23日。ISBN 4-582-54241-7、ISBN 978-4-582-54241-7、OCLC 227283203
雑誌、広報、論文、ほか
  • 水草研究会会誌 97号(2012.05)」『水草研究会会誌』97号(2012.05)、水草研究会、2012年5月。
    • 久米修「香川水草便り 13. ナガエツルノゲイトウがやってきた」 pp. 43 - 44。

外部リンク

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