ニューヨーク・スクール

ニューヨーク・スクール (New York School) は、1950年代および1960年代のニューヨーク市で活動していた詩人、画家、ダンサー、およびミュージシャンの非公式のグループである。絵画の抽象表現主義者と同義に使われることが多い。彼らの絵画の多くはシュルレアリスムおよびコンテンポラリー・アバンギャルドのアート・ムーブメント、具体的には、アクション・ペインティング抽象表現主義ジャズ即興劇実験音楽、およびニューヨーク・アート界の前衛サークルの交流関係にインスパイアされていた。

詩人

ニューヨーク・スクールの詩人に関しては、彼らの作品は現代詩における告白主義者運動に対する反動であると評論家たちは議論している。彼らの詩の主題は軽く、暴力的で、観察的であり、一方で彼らの文体はよくコスモポリタンや世界中を旅行したようなと表現される。これらの詩人たちは意識の流れという文芸技法を思い起こさせる即興的で自然発生的なやり方で、鮮明な修辞表現を頻繁に用いて、詩を作成していた。彼らの作品はシュルレアリスムおよびコンテンポラリー・アバンギャルドのアート・ムーブメント、特に彼らのニューヨーク・アート界のサークルの友人であるジャクソン・ポロックウィレム・デ・クーニングらのアクション・ペインティングにインスパイアされていた。

ニューヨーク・スクールの詩人としてよく言及されるのは、ジョン・アッシュベリーフランク・オハラケネス・コッホジェームズ・スカイラーバーバラ・ゲストテッド・ベリガンベルナデット・メイヤーアリス・ノートリーケンワード・エルムズリーフランク・リマロン・パジェットルイス・ウォーシュ、そしてジョゼフ・チェラヴォロらである。

オハラは1966年に亡くなるまでこのグループの中心人物であった。彼は友人関係が広くまたニューヨーク近代美術館で働いていたことから、彼はジェーン・フライリッヒャーフェアフィールド・ポーター、そしてラリー・リヴァーズ(彼の恋人でもあった)ら詩人と画家の間のつながりを取り持っていた。こうして、多くの共同作業やコラボレーションが生まれた。例えば、リヴァーズはコッホによる演劇をインスパイアした、コッホとアッシュベリーは共同で"A Postcard to Popeye"という詩を作成した、アッシュベリーとスカイラーはA Nest of Ninniesという小説を執筆した、そしてスカイラーはオハラと頌歌でコラボレーションした。オハラの肖像はリヴァーズによって描かれた[1]

コッホ、オハラ、スカイラー、そしてアッシュベリーは詩人としてはとても異なっていたが、お互いを尊敬し合っており、共通点も多かった:[1]

  • スカイラー以外は、ハーバード大学の在学期間が重なっていた
  • コッホ以外はホモセクシャルであった
  • アッシュベリー以外は従軍経験があった
  • コッホ以外は芸術批評も行った,
  • アッシュベリー以外は詩人としての発育期をニューヨークで過ごした

この四人は全て、レーモン・ルーセルピエール・ルヴェルディ、そしてギヨーム・アポリネールらフランスのシュルレアリスム画家たちにインスパイアされていた。David Lehmanのニューヨーク詩人に関する著作には次のように記されている:"彼らの詩人サークルがニューヨーク・スクールと呼ばれるようになった由来であるニューヨーク・スクール抽象表現主義画家たちよりもジャスパー・ジョーンズロバート・ラウシェンバーグを連想させるようなやり方で、彼らはウィットユーモア、先進的なアイロニーの効いたでたらめ(小馬鹿にするようないたずらやからかい)を好んでいた。"[1]

作曲家

ニューヨーク・スクールは1950年代の作曲家たちのサークルも指すことがある。その中には、ジョン・ケージモートン・フェルドマンアール・ブラウンそしてクリスチャン・ウォルフらが含まれる[2]。彼らの音楽はフルクサスのグループの音楽とイベントを並行させていた。またその名前は、上述の抽象表現主義画家から取って命名されていた。

ダンサー

1960年代、グリニッジ・ヴィレッジジャドソン・メモリアル教会で活動していたジャドソン・ダンス・シアターは、モダン・ダンスに革命をもたらした。彼らは、パフォーマンスアートのアイデア、急進的で新しい振付アバンギャルドな作曲家による楽音、そしてニューヨーク・スクールのヴィジュアル・アーティストたちとのコラボレーションによるダンスを新しい方法で組み合わせていた。ジャドソン・ダンス・シアターを設立したアーティストグループはポスト・モダンダンスの創始者であるとみなされている。このシアターは、ジョン・ケージと共に学んできた音楽家のロバート・ダンが教えるダンス構成のクラスから育った。ジャドソン・ダンス・シアターの関わりのあるアーティストはバレエの技術、用語、理論の中だけに閉じこもるのを拒否したアバンギャルド・エクスペリメンタリスト(実験主義者)である。

ジャドソンの最初のコンサートは1962年7月6日に開催された。この時のダンスはSteve Paxton、フレッド・ヘルコデヴィッド・ゴードン、Alex and Deborah Hay、Yvonne Rainer、Elaine Summers、William Davis、そしてRuth Emersonによって行われた。ジャドソン・ダンス・シアター出身の影響力のあるダンス・アーティストたちは次のような人物である:デヴィッド・ゴードンスティーヴ・パクストンイヴォンヌ・レイナートリシャ・ブラウン、Lucinda Childs、Deborah Hay、エレイン・サマーズ、Sally Gross、Aileen Passloff、そしてメレディス・モンク。1962年から1964年はジャドソン・ダンス・シアターの黄金期であると言われている。

1950年代、1960年代、そして1970年代の間は、ニューヨーク・スクールのアーティストはSimone Forti、Anna Halprin、マース・カニングハムマーサ・グレアム、そしてポール・テイラーのような他の振付師やダンサーともコラボレーションしていた。

1950年代および60年代のニューヨーク・スクール抽象表現主義者

1950年代のニューヨーク抽象表現主義者を表すニューヨーク・スクールは、アーティストの委員会による一連の招待制の展覧会を通して記録されている。これは、1951年の9丁目アート展覧会を始めとし、続いて1953年にSecond Annual Exhibition of Painting and Sculptureがニューヨーク市のStable Galleryで開催され[3]、1954年にはThird Annual Exhibition of Painting and Sculptureが[4]、1955年にはFourth Annual Exhibition of Painting and Sculptureが[5]、1956年にはFifth Annual Exhibitions of Painting and Sculptureが[6]、1957年にはSixth New York Artists’ Annual Exhibitionが開催された[7]ブラッドリー・ウォーカー・トムリン (1899–1953)、ローズマリー・ベック (1923–2003)、そしてフィリップ・グスタン (1913–1980) などがニューヨーク・スクールに含まれる。

1960年代のアーティストも含むその他のニューヨーク・スクール・アーティストは、画家としては、リチャード・プゼット=ダートセシル・グレイ・バゼロンシーモア・ボードマンイリヤ・ボロトフスキーアーネスト・ブリッグス、Peter Busa[8]ローレンス・カルカーノニコラス・キャローネナンノ・デ・グルートビューフォード・デラニーリン・マップ・ドレクスラーエドワード・ダグモアアマランス・エーレンハルトペルレ・ファインカール・ハーゲドンジョン・ハルトバーグアルバート・コティンクラレンス・メイジャーミーシャ・レズニコフウィリアム・シャーフエセル・シュワバッハーケンドール・ショウトーマス・シルズマートン・シンプソン、そしてジャック・スチュワートがいる[9][10]。加えて、画家または彫刻家としては、カレル・アペルクレア・ファルケンシュタインベティ・パーソンズ、そしてアントニ・タピエスがニューヨーク・スクールのメンバーとして知られている[11][12][13][14][15][16][17][18][19][20][21]

ギャラリー

ニューヨーク市のアニータ・シャポルスキー・ギャラリーは1950年代および1960年代のニューヨーク・スクール・アートに特化しており、表現主義幾何学的抽象、そして絵画的抽象アートを展示している[12][22][23][24][25]。ここは、彫刻とともにおよびアクリルによる作品を最も頻繁に展示している[12]ティボール・デ・ナジ・ギャラリーおよびステイブル・ギャラリーもニューヨーク・スクール・アートを展示してきており、1998年にはガゴシアン・ギャラリーもニューヨーク・スクール・アートを展示した[26][27][28]

脚注

  1. Yezzi, David, "Last One Off the Barricade Turn Out the Lights", a review in The New York Times of The Last Avant-Garde: The Making of the New York School of Poets, by David Lehman, Thursday, January 3, 1999
  2. David Ni of Music and the Visual Arts, Routledge 2001, pp. 17–56.
  3. Second Annual Exhibition of Painting and Sculpture, (poster) Archived 2012年2月5日, at the Wayback Machine., Albertkotin.com
  4. Third Annual Exhibition of Painting and Sculpture, (poster), Albertkotin.com
  5. Fourth Annual Exhibition of Painting and Sculpture, (poster), Albertkotin.com
  6. Fifth Annual Exhibition of Painting and Sculpture, (poster), Albertkotin.com
  7. New York Artists' 6th Annual Exhibition. (poster), Albertkotin.com
  8. Peter Busa - Biography”. Acme Fine Art. 2013年10月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年7月25日閲覧。
  9. "The Art of Karl Hagedorn", Highbrow Magazine, May 7, 2014
  10. Holland Cotter (July 13, 2005). "'Betty Parsons and the Women'; An Artist and Dealer and the Women She Promoted", The New York Times
  11. 2010 Artist's & Graphic Designer's Market. Writer's Digest Books. (2009). ISBN 1599635682. https://books.google.com/books?id=IR4auZa1dcgC&pg=PT297&dq=%22shapolsky+gallery%22&hl=en&sa=X&ei=bMoDVYCwN7b-sAT1g4GYAQ&ved=0CDIQ6AEwBA#v=onepage&q=%22shapolsky%20gallery%22&f=false
  12. Stephen Pace, Christine A. Berry, Lisa N. Peters (2011). Stephen Pace:Abstract Expressionist. Spanierman Gallery LLC. ISBN 1935617117. https://books.google.com/books?id=HlkC8bpFQCoC&pg=PA10&dq=%22shapolsky+gallery%22&hl=en&sa=X&ei=bMoDVYCwN7b-sAT1g4GYAQ&ved=0CEoQ6AEwCQ#v=onepage&q=%22shapolsky%20gallery%22&f=false
  13. Keith Eldon Byerman (2012). The Art and Life of Clarence Major. University of Georgia Press. ISBN 0820330558. https://books.google.com/books?id=kJ7HAgAAQBAJ&pg=PA260&dq=%22shapolsky+gallery%22&hl=en&sa=X&ei=bMoDVYCwN7b-sAT1g4GYAQ&ved=0CFIQ6AEwCg#v=onepage&q=%22shapolsky%20gallery%22&f=false
  14. 2009 Artist's & Graphic Designer's Market – Listings. F+W Media, Inc.. (2008). ISBN 1582976546. https://books.google.com/books?id=3arlDhPJsBsC&pg=PT177&dq=%22shapolsky+gallery%22&hl=en&sa=X&ei=bMoDVYCwN7b-sAT1g4GYAQ&ved=0CHYQ6AEwEQ#v=onepage&q=%22shapolsky%20gallery%22&f=false
  15. Art Now Gallery Guide: National & international. 18. Art Now, Incorporated. (1999). https://books.google.com/books?id=zW4gAQAAMAAJ&q=%22shapolsky+gallery%22&dq=%22shapolsky+gallery%22&hl=en&sa=X&ei=bMoDVYCwN7b-sAT1g4GYAQ&ved=0CJABEOgBMBc
  16. The Studio Museum in Harlem: Twenty-Five Years of African-American Art. The Studio Museum in Harlem. (1994). ISBN 0942949110. https://books.google.com/books?id=0djpAAAAMAAJ&q=%22shapolsky+gallery%22&dq=%22shapolsky+gallery%22&hl=en&sa=X&ei=ZtEDVYGtKqfbsASb_4B4&ved=0CC4Q6AEwAzgo
  17. Marcia G. Yerman (2015年3月9日). A Conversation With Amaranth Ehrenhalt”. The Huffington Post. 2015年8月14日閲覧。
  18. Peter Plagens (2012年5月26日). Art Confronts Issues of War And Bigotry”. The Wall Street Journal. 2015年8月14日閲覧。
  19. David Cohen (2008年7月10日). The Location of the Second Generation”. The New York Sun. 2015年8月14日閲覧。
  20. The Writer's Brush”. CBS News (2007年12月16日). 2015年8月14日閲覧。
  21. Magda Salvesen, Diane Cousineau (2005). Artists' Estates: Reputations in Trust. Rutgers University Press. ISBN 0813536049. https://books.google.com/books?id=m4WP-3ppltgC&pg=PA131&dq=%22shapolsky+gallery%22+spring&hl=en&sa=X&ei=JpMEVaQvxuGwBJPagfAB&ved=0CB4Q6AEwAA#v=onepage&q=%22shapolsky%20gallery%22%20spring&f=false
  22. Marika Herskovic (2003). American Abstract Expressionism of the 1950s: An Illustrated Survey: with Artists' Statements, Artwork and Biographies. New York School Press. ISBN 0967799414. https://books.google.com/books?id=PIdIAQAAIAAJ&q=%22shapolsky+gallery%22&dq=%22shapolsky+gallery%22&hl=en&sa=X&ei=bMoDVYCwN7b-sAT1g4GYAQ&ved=0CD0Q6AEwBg
  23. About”. anitashapolskygallery.com. 2015年3月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年7月12日閲覧。
  24. Jane Maulfair (1987年8月7日). Her Concrete Love of Abstract Art Turned a Jim Thorpe Church into a Gallery”. The Morning Call. 2015年8月14日閲覧。
  25. Cate McQuaid (2015年1月31日). Helen Frankenthaler’s art prompts new take on history at the Rose”. Boston Globe. 2015年8月14日閲覧。
  26. "Raymond Spillenger of the New York School Gets Noticed", The New York Times, June 8, 2014
  27. The New York School – March 17 – April 25, 1998 – Gagosian Gallery”. gagosian.com. 2015年8月14日閲覧。

参考文献

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