バレエ・ブラン
バレエ・ブラン(仏: Ballet blanc)は、古典バレエにおいて女性ダンサーたちが白いコスチュームを着用して踊る作品及びその場面を指す用語である[1][2][3]。初出は1832年の『ラ・シルフィード』とされ、ロマン主義時代に作られた多くのリトグラフにバレエ・ブランの場面が残された[1]。バレエ・ブランの有名な例として、『ジゼル』第2幕、『白鳥の湖』第2幕と4幕(湖畔の場面)、『ラ・バヤデール』の『影の王国』などが挙げられる[1][3][4]。

定義
日本語に直訳すると「白いバレエ」という意味である[3]。古典バレエにおいて女性ダンサーたちが白いコスチュームで踊る作品及びその場面を指す用語で、純粋で正統的なバレエの形式といわれる[1][3][5]。
バレエ・ブランの初出は、1832年初演の『ラ・シルフィード』(ジャン・シュネゾフェール作曲、フィリッポ・タリオーニ振付)とされる[1][6]。前年のオペラ『悪魔のロベール』(ジャコモ・マイアベーア作曲)内のバレエシーン「死んだ尼僧たちの踊り」で好評を博したフィリッポが、引き続き娘のマリーを起用して振り付けたこの作品は、マリー自身の妙技はもとより、導入されたばかりのガス灯による神秘的な照明や超自然的な存在として揃いの白いコスチュームをまとった女性ダンサーたちの姿がかもしだす効果によってさらなる好評を得た[6][7]。マリーはロマン主義時代の大スターとなり、多くのリトグラフにバレエ・ブランの場面が残された[1]。
バレエ・ブランは非現実的な世界(妖精や精霊、夢の中など)を表現するのに適した形式で、『ラ・シルフィード』を始め『ジゼル』(アドルフ・アダン作曲、ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー振付)第2幕、『白鳥の湖』(ピョートル・チャイコフスキー作曲、レフ・イワーノフ振付)[注釈 1]第2幕と4幕(湖畔の場面)、『ラ・バヤデール』(レオン・ミンクス作曲、マリウス・プティパ振付)の『影の王国』などが有名な例として挙げられる[1][3]。
ミハイル・フォーキンの『レ・シルフィード』(フレデリック・ショパン作曲、アレクサンドル・グラズノフ他編曲)は20世紀の作品で特定の筋を持たないが、女性ダンサーたちが白いロマンティック・チュチュを着用するなどの表現の引用により、バレエ・ブランへのオマージュとなっている[注釈 2][10][9][11]。
脚注
注釈
- 『白鳥の湖』蘇演時は、まず第2幕を1894年3月にイワーノフが振付上演した。さらに全幕の振付を1、3幕がプティパ、2、4幕がイワーノフが担当して1895年1月に上演している[8]。
- 『レ・シルフィード』の初演時(1907年)は、ピアノを弾くショパンやポーランドの農村での結婚式が登場するディヴェルティスマン要素が強い作品で、1908年及び1909年の振付者自身による改訂で純粋なバレエ・ブラン風作品となった[9][10]。
出典
- 『オックスフォード バレエダンス辞典』、p.405
- 『バレエ用語集』、p.103
- ひなたようこ. “基礎から学ぶバレエ用語集”. ESMELLIA. 2015年10月2日閲覧。
- 『物語とみどころがわかる バレエの鑑賞入門』、pp.24-33.
- 川路、p.107
- 『オックスフォード バレエダンス辞典』、pp.235-236.
- 『物語とみどころがわかる バレエの鑑賞入門』、pp.32-33.
- 『オックスフォード バレエダンス辞典』、pp.377-379.
- 『オックスフォード バレエダンス辞典』、pp.236-237.
- 『物語とみどころがわかる バレエの鑑賞入門』、pp.72-73.
- 『別冊ダンスマガジン バレエって、何?』p. 43.
参考文献
外部リンク
- 『ラ・シルフィード』から『白鳥の湖』へ~バレエ・ブランの展開~ 海野敏のダンス評論活動
- はじめてのバレエ鑑賞 ミハイロフスキー劇場バレエ(光藍社ウェブサイト)