パルワールド

パルワールド』(英語: Palworld)は、日本のコンピュータゲームソフト制作会社ポケットペアによるオープンワールド・サバイバルクラフトゲーム。

パルワールド
ジャンル アクションアドベンチャーサバイバルクラフトオープンワールド
対応機種
開発元 ポケットペア
発売元 ポケットペア
プログラマー Hiroto Matsutani[1]
音楽 矢野達也
美術 Daiki Kizu[1]
人数 1人、最大4人(協力)、最大32人
発売日 2024年1月19日(早期アクセス)
エンジン Unreal Engine 5

ゲームの舞台であるパルパゴス島には「パル」と呼ばれる多種多様な生物が生息しており、プレイヤーはパルと戦って捕獲することで拠点を構築したり戦闘に利用したりする。1人でプレイすることもできるが、オンラインでの4人協力プレイや1つのサーバー上での32人プレイにも対応する[2]

『パルワールド』は発売から5日半で800万本以上を売り上げ、Steamの同時接続者数が歴代2位の200万人超えを記録した[3]

ゲームプレイ

『パルワールド』では、プレイヤーはカスタマイズ可能なキャラクターを三人称視点で操作し、「パルパゴス島」と呼ばれるオープンワールドの空間を探索して島の秘密を解き明かすことを目指す。プレイヤーは空腹ゲージを管理しながら、素材を集め、道具を作り、拠点を建設していく。プレイヤーのレベルが上がると技術ツリー内のより高度な道具や設備が解除される[4][5][6]

島には「パル」と呼ばれるモンスターが100種類以上生息している。プレイヤーはパルと直接戦闘して弱体化させた後、「パルスフィア」と呼ばれる道具でパルを捕獲する。パルにはそれぞれ特技や得意分野があり、プレイヤーは捕まえたパルを戦闘に利用したり、建築の手伝いをさせたり、解体して食材にしたりできる[4][6]。拠点のレベルが上がるにつれ同時に出せるパルの数が増えるので、プレイヤーはさまざまな作業をパルに手伝わせることで拠点を発展させていく[7]

『パルワールド』にはパルの密猟団、パル愛護団体、自警団、遺伝子研究部隊などのさまざまな勢力が存在し、島に点在する塔にはそれぞれの勢力のパルトレーナーがボスとして登場する[8]。『パルワールド』にはゲーム世界独自の法律があり、プレイヤーがNPCを攻撃するなどの行動をとると『Grand Theft Auto』シリーズに似た指名手配システムが発動する。プレイヤーは犯罪者として扱われ、自警団が出現してプレイヤーを攻撃する[9][10]

開発

『パルワールド』の開発は『クラフトピア』の早期アクセス配信が始まってから約半年後に始まった。初期の開発チームは新規採用した4名ほどの社員で構成されており、『クラフトピア』とは別に作っていた。開発チームは2年後には30人ほどに増え、アート系の人員を加えていったため最終的に40人以上の規模になった[11]

発売後の2024年2月1日以降、マイクロソフトの技術支援を受け、サーバーの構築やグラフィックスとメモリの最適化を行なった[12]

公開

『パルワールド』は2021年6月5日、INDIE Live Expo 2021で発表された[13]。公開されたゲームプレイ映像では、パルを使って移動、戦闘、建築、工業自動化を行なったり、パルの繁殖をしたりできることが示され、この時点での発売は2022年とされていた[14][15]。その後東京ゲームショウ 2022 Xbox Streamにて、Xbox Series S/XとXbox One向けにも発売されることを明らかにした[16]。2023年6月のSummer Game Festで2024年1月に早期アクセスが開始されることを発表した[17]

2024年1月19日にXbox Series X/SXbox One、PC(Microsoft StoreSteam)向けに早期アクセス版を発売した。また、Xbox Game PassXbox Cloud Gamingにも対応している[18][19]

2024年3月13日、ポケットペア社長の溝部拓郎はブルームバーグとのインタビューにおいて、「究極的には多くのプレーヤーに遊んでもらいたい」と語り、XboxやPC以外のプラットフォームでの展開も検討していることを明らかにした[20]

類似性に対する論争

ポケモン盗作疑惑

『パルワールド』に登場するモンスターはポケモンのコピーであると非難されている[21]

ポケットペアの代表取締役社長の溝部は、TheGamerのインタビューで、『パルワールド』はポケモンから着想を得ておらず、コンセプトとしてはArk: Survival Evolvedから、パルの全体的な見た目はドラゴンクエストの影響を受けていると述べているが[22]、パルの多くは既存のポケモンに似ていると指摘する声もある[23]。ポケモンに似たゲームとしては『Cassette Beasts』『Temtem』『Anode Heart』などがあり[24]、株式会社ポケモンの元最高法務責任者のドン・マクゴーワンもGame Fileのインタビューに対し、「私が株式会社ポケモンの最高法務責任者だった頃に年間で何千回も目にした、よくあるパクリのナンセンスなゲームに似ています。」とコメントしている[25]

ポケットペアのアーティストに対して誹謗中傷が送られることもあった[26][27][28]

専門家の見解

海外メディアのIGNは、疑われている類似点の多くはありふれたものであるが、一部のものは露骨であると述べる[29]。Gamer Networkの顧問弁護士であるTim Cottonは「ポケモンがデザインの侵害について主張するには、厳しいものになるだろう」と指摘したほか、別の弁護士も「ゲーム自体についてはゼルダの伝説モンスターハンターMinecraftの寄せ集めであり、既存のポケモンと異なる故に、任天堂に勝ち目はない」と述べ、モンスターの見た目に関して勝訴するのはとても難しいと結論づけた[30]Rock Paper Shotgunの記者Edwin Evans-Thirlwellは、著作権は抑圧の手段にもなり得ると述べ、どんな些細な類似点も法廷に持ち込もうとする「熱意」は哀れだと批判した[31]フランスコンピュータゲーム開発企業Arkane Studioのディレクターを務めるDinga Bakabaは、ソウルライクなどを例に挙げ、「模倣は最高の褒め言葉だ」と述べている[32]

日本のメディアのReal Soundもかつて争われた『ファイアーエムブレム』と『エムブレムサーガ』をめぐる任天堂エンターブレインの訴訟結果[33]が、不当競争防止法違反に関して任天堂側の請求が一部認められた一方で著作権侵害については全面的に棄却されたことを挙げ、「どれだけ似通った世界観、ゲーム性、キャラクターデザインなどを持ち合わせていたとしても、著作権の侵害には問われなかった」ことから、ファンに受け入れがたい内容であっても法律上は問題がないだろうと推測した[34]。Forbes Japanも「IPに関して言えば、『パルワールド』ではポケモンの表現やキャラクターがそのまま使用されているということはない」と指摘した上で、「コンセプトには、著作権はない」と著作権法上の観念を紹介し、アセット(素材)盗用が確認されない限りにおいて「他の作品をまねただけの『怠惰なデザイン』だとしても、実際の窃盗行為があったことが証明できない限り、盗用とは認められない」と報じた[35]。前川知的財産事務所所属の弁理士、砥綿洋佑は、商業上の秘密や営業上の信用など、著作権等によって直接的にはカバーされない分野を保護する不正競争防止法の面から、株式会社ポケモンではなく、ポケモンのキャラクターデザインにも関与している株式会社クリーチャーズが行動を起こすかどうか論点になりうるとしている。だが「様々な論点があり予測が難しい」としており、著作権の面でも「一部のパルと一部のポケモンとの間に共通点とみられる部分があるとしても、それがアイデアの段階にとどまり、具体的表現として一致しなければ、著作権の侵害とは言えない」と述べている[36][37]

任天堂に在籍していた大阪国際工科専門職大学教授今村孝矢は自身のX(旧Twitter)で、「多くの人にポケモンと酷似している印象を与えたのは事実でしょう。これらのリスクを承知でしっかりとしたゲームを作り上げるクリエイターの出現に私個人驚きを隠せません。」と述べた上で、「今回の成功で他社もここまで似せた印象を作っても良いんだと言う目安にならない様に任天堂側もなんらかの策を講じているのではないでしょうか?」とし、ポケモンそのものの価値が下がるのを絶対に避けたいと考えているはずと綴っている[38]。ゲームプロデューサーの岡本吉起も、自身のYoutubeチャンネルで、任天堂はこれでは動かないとした上で、「本当はコピー屋を支える行動は控えるべき」、「(ゲーム業界の発展のために)膿出しはしっかりした方がいい」と暗に否定した[39]。またゲーム内で、パルが銃を持っている描写に対して、Rock Paper Shotgunは上記と同記事内で、「訴える手段になり得る」とも述べている[30]

株式会社ポケモンは2024年1月25日、パルワールドに関する問い合わせに対するとみられる「他社ゲームに関するお問い合わせについて」という声明を発表し[40][41]、「いかなる利用も許諾していないこと」、また「ポケモンに対する知的財産権の侵害行為に対しては調査の上で適切な対応を取っていくこと」を表明した[40]任天堂の社長を務める古川俊太郎は『パルワールド』について「自社の知的財産権を侵害しているものに対しては、適切な対応を取ることになる」と一般論に留めた[42]

ポケモンに対する批判

『パルワールド』の成功に伴い、多くのメディアがポケモンの停滞を指摘した。TheGamerは「ポケモンは私にもう何も感じさせない」と題する記事の中で、Switchで発売されたポケモンゲームは『New ポケモンスナップ』以外はプレイしていて何も感じなかったと述べ[43]、別の記事でもポケモンの物語構造がほとんど変わらないことを問題視した[44]。The Escapistは、歴代のポケモンゲームがあまり進化してこなかったことを指摘し、ポケモンは『パルワールド』から多くを学べるだろうと述べた[45]。Forbesは、ポケモンは「Nintendo Switchの限られたグラフィック性能でさえも引き出しきれていなかった」と非難し、ポケモンと『パルワールド』のグラフィックには歴然とした差があると指摘した[46]。IGN Japanは、ポケモンシリーズではポケモンと人間の間にある倫理的な問題が曖昧にされてきたと指摘し、『パルワールド』はこの問題を解消していると評した[47]

IGNPolygonは、『パルワールド』の成功はポケモンの停滞に対するファンの不満が要因であると指摘する[48][49]。一部のポケモンファンは、近年のポケモンゲームが進化しておらず動作も悪いため、『パルワールド』の成功が形式的、技術的に陳腐化したポケモンに革新を促すきっかけになることを期待している[48][50][51][52]

評価

発売前

『パルワールド』の発表トレーラーはTwitter(現:X)上で33,000件以上のいいねを得たが、視聴者の反応は興奮から嫌悪までさまざまだった[53]。発表後は「があるポケモン(Pokémon With Guns)」という愛称で呼ばれるようになった[54]。一部の人はこのゲームは「偽物のゲーム(fake game)」であると考えており、開発者たちはこうした否定的な反応に驚いた[55]。またポケットペアの以前の作品『オーバーダンジョン』と『クラフトピア』は未完成の状態であるため、『パルワールド』を懐疑的に見る人もいた[56]。発表トレーラーの社会風刺的な描写は、野生動物を捕獲して戦わせるという行為の暗い側面に光を当てていると分析されている[53][54]

早期アクセス

『パルワールド』は批評家からおおむね肯定的な評価を得た。IGNとPC Invasionは楽しい戦闘と夢中になるゲームプレイループを称賛した[57][58]。The Escapistは『パルワールド』の拠点構築はパルの協力のおかげでとても順調に行えるため、サバイバルクラフトの面では『Valheim』よりも楽しいと評価した[59]。PCGamesNは、本作の「プレイヤーの行為主体性(Player Agency)」が中立であり、パルの扱い方が自由になっていることを評価した[60]。GameSpotは、モンスター収集ジャンルがその「ゲームプレイとしての搾取システム」を初めて認めたことを称賛し、言っていることと見せていることが違うというこのジャンルの認知的不協和が解消されたと評価した[61]

PC Invasionは、広大なマップには空っぽに感じる場所があり、NPCとの交流も同様に味気ないと述べた[58]。PCGamesNは本作の乱雑なHUDやキーの割り当て、しばしば立ち往生する質の悪いAIを批判した[60]。Wccftechは、戦闘部分は本作の「もっともつまらない部分(its weakest aspect)」であると指摘し、プレイヤーキャラクターがパルと比べて攻撃も防御も弱いため、「敵と戦うのではなく、パルが敵を倒すことを祈りながら自分は敵の攻撃を回避しているだけだ」と批判した[62]

売上

『パルワールド』は発売から8時間で100万本を売り上げ[2]、発売初日に売上本数が200万本に達した[63]。発売から40時間後には売上が300万本に達した[64]。1月21日には売上本数が400万本を超え、Steamの同時接続者数が120万を突破し歴代5位を記録した[65]。1月23日には売上が600万本を超えたほか[66]、同時接続数が185万人以上になり『PUBG: BATTLEGROUNDS』に次ぐ歴代2位の接続者数を記録した[67]。1月25日には売上が800万本に達し、同時接続数は200万人を超えた[3][68]。2月1日には売上1200万本を達成した[69][70]

2月23日にはSteam版が売上1500万本を達成、Xbox版のプレイヤー数(Game Pass込)も1000万ユーザーに到達した[71]

脚注

  1. Stewart, Marcus (2023年11月24日). Creature Feature – Capturing The Curious Story Of Palworld”. GameInformer. 2024年1月20日閲覧。
  2. Kawase, Ayuo (2024年1月19日). オープンワールドサバイバル『パルワールド』発売から8時間で「売上100万本」突破。同時接続37万、Steam売上全世界1位、バズり方モンスター級”. AUTOMATON. 2024年1月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月20日閲覧。
  3. 株式会社インプレス (2024年1月25日). 「パルワールド」リリースから5日半で売上本数800万本を達成! 最大同時接続数も200万人を達成”. GAME Watch. 2024年1月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月26日閲覧。
  4. Yokoyama, Keiichi (2023年9月21日). オープンワールドモンスター育成ゲーム『パルワールド』にはリリース時から100種類以上のパル登場へ。無慈悲に“地上爆撃”するパルなどいろいろお披露目”. AUTOMATON. 2024年1月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月26日閲覧。
  5. 株式会社インプレス (2024年1月24日). 【パルワールド小ネタ】食べ物の消費期限は“実質永久”! 食べ物管理のコツを紹介”. GAME Watch. 2024年1月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月26日閲覧。
  6. 株式会社インプレス (2024年1月19日). “ポケモンライクなキャラ”だけじゃない! モンスター収集サバイバル「パルワールド」プレイレポート 「ポケモン」×「ゼルダ」×「ARK」のような“ゲーマーに刺さる”タイトル”. GAME Watch. 2024年1月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月26日閲覧。
  7. 株式会社インプレス (2024年1月26日). 発売直後の大ヒットはなぜ? 「パルワールド」の今とこれからを考える【石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』】”. 窓の杜. 2024年1月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月26日閲覧。
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外部リンク

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