フィアット・850
フィアット・850はフィアットが製造・販売した自動車である。
概要
ベルリーナ
| 850 ベルリーナ | |
|---|---|
![]() 850スペシャル | |
| 概要 | |
| 販売期間 | 1964-1971年 |
| ボディ | |
| 乗車定員 | 4名 |
| ボディタイプ | 2ドアセダン |
| 駆動方式 | RR |
| パワートレイン | |
| エンジン | 843cc I4 |
| 変速機 | 4速MT |
| 前 |
前: ウィッシュボーン・横置リーフ 後: 独立 セミトレーリングアーム・コイル |
| 後 |
前: ウィッシュボーン・横置リーフ 後: 独立 セミトレーリングアーム・コイル |
| 車両寸法 | |
| ホイールベース | 2,030mm |
| 全長 | 3,575mm |
| 全幅 | 1,425mm |
| 全高 | 1,385mm |
| 車両重量 | 670kg |
| 系譜 | |
| 後継 | フィアット・127 |
1955年にデビューしたフィアットの代表的小型車・600の拡大版・上級版として開発された大衆車で、設計者も同じダンテ・ジアコーサであった。600のレイアウトを踏襲しつつ、ホイールベースを3cm弱延長し、エンジンを843ccにまで拡大し、出力を600の21馬力から34馬力(ノルマーレ)または37馬力(スーパー)に強化、車体後部はノッチバックとされて普通乗用車らしく見えるようになっていた。大きなヘッドライトと短いテールを特徴とするこのスタイルには独特の愛嬌もあり、1960年代を代表する小型大衆車として600同様にヒットした。600がそうであったように、アバルトなどによって、何種類ものチューニングされたスペシャルモデルが作られ、中にはDOHC1592cc150馬力エンジンを押し込め、最高速度210km/hとした「アバルトOT1600」のようなモンスターもあった。
1968年には上級版の「スペシャル」が登場、後述する850クーペの47馬力エンジン、前輪ディスクブレーキ、スポーティーなデザインのステアリングホイール、13インチのホイール・タイヤが与えられていた。
クーペ
| 850 クーペ | |
|---|---|
![]() 850クーペ(初期型) | |
![]() 850クーペ(中期型) | |
| 概要 | |
| 販売期間 | 1965-1971年 |
| ボディ | |
| 乗車定員 | 2名 |
| ボディタイプ | 2ドアクーペ |
| 駆動方式 | RR |
| パワートレイン | |
| エンジン | 843cc/903cc I4 |
| 変速機 | 4速MT |
| 前 |
前: ウィッシュボーン・横置リーフ 後: 独立 セミトレーリングアーム・コイル |
| 後 |
前: ウィッシュボーン・横置リーフ 後: 独立 セミトレーリングアーム・コイル |
| 車両寸法 | |
| ホイールベース | 2,030mm |
| 全長 | 3,610mm |
| 全幅 | 1,500mm |
| 全高 | 1,300mm |
| 車両重量 | 730kg |
| 系譜 | |
| 後継 | フィアット・128クーペ |
1965年のジュネーヴモーターショーでデビューした。デザインはフィアット社内で、初期モデルのエンジンは843ccのまま47馬力に強化され、最高速度はベルリーナの120km/hに対して135km/hに高められていた。1968年にはエンジン排気量が903ccに拡大され、出力も52馬力となり「850スポルト・クーペ」と改称された。フロントエンドのデザインが改められ、補助ランプとV字型のエンブレムが装着された。1971年には再度マイナーチェンジが行われ、V字マークが取り外され、ヘッドライトは4灯式となった。クーペは1971年末に、一回り上級の128にクーペ版が登場するとこれに後を譲って生産終了となった。
スパイダー
| 850 スパイダー | |
|---|---|
![]() 850スパイダー(後期型) | |
| 概要 | |
| 販売期間 | 1965-1973年 |
| デザイン | ベルトーネ |
| ボディ | |
| 乗車定員 | 2名 |
| ボディタイプ | 2ドア・コンバーチブル |
| 駆動方式 | RR |
| パワートレイン | |
| エンジン | 843cc/903cc I4 |
| 変速機 | 4速MT |
| 前 |
前: ウィッシュボーン・横置リーフ 後: 独立 セミトレーリングアーム・コイル |
| 後 |
前: ウィッシュボーン・横置リーフ 後: 独立 セミトレーリングアーム・コイル |
| 車両寸法 | |
| ホイールベース | 2,030mm |
| 全長 | 3,780mm |
| 全幅 | 1,500mm |
| 全高 | 1,220mm |
| 車両重量 | 735kg |
| 系譜 | |
| 後継 | フィアット・X1/9 |
クーペと同時に発表された2座席のオープンモデルで、ベルトーネ在籍時代のジョルジェット・ジウジアーロの傑作デザインのひとつとされている。843ccエンジンはシリーズ中最強の49馬力とされ、空力的な車体によって最高速度も145km/hと最速であった。車体製造もベルトーネが担当した。初期型は傾斜したヘッドライトを特徴としていた。1968年にはクーペ同様エンジン排気量が903ccに拡大されて「850スポルト・スパイダー」となったが、米国の安全基準に対応するためヘッドライトが普通の形状に改められ、初期型の美しさが大きく損なわれた。
850スパイダーはアメリカ市場で好評であったため、ベルリーナやクーペよりも長く、1973年まで製造された。後継者は128ベースのミッドシップエンジン車・X1/9であった。
T/ファミリアーレ
| 850 T/ファミリアーレ | |
|---|---|
![]() | |
| 概要 | |
| 販売期間 | 1964-1976年 |
| ボディ | |
| 乗車定員 | 5人 |
| ボディタイプ |
3ドアバン 4ドアミニバン |
| 車両寸法 | |
| ホイールベース | 2,030mm |
| 全長 | 3,735mm |
| 全幅 | 1,500mm |
| 全高 | 1,655mm |
| 車両重量 | 900kg |
| 系譜 | |
| 先代 | フィアット・600T |
| 後継 | フィアット・900T |
商業用・ワゴンとしてはキャブオーバー型の「850T」(貨物バンモデル)および「850ファミリアーレ」(乗用モデル 標準で7人乗り)が開発された。前身の600ムルティプラのような個性は乏しかったが、600の車体前半分のみを強引にキャブオーバーワゴン化したようなムルティプラと異なり、コンポーネンツを通常モデルと共用しつつも車体は完全な専用ワンボックススタイルを採用、リアのエンジンフード部より上にも後部ハッチを与えたことで、その車内容積と機能性は著しく向上された。またパワー増強により、最高速度も当初から100km/hを公称していた。1976年にエンジンが903ccに増強されて「900T」となったものの、1985年まで基本的には同じ設計のまま生産され、結局850系のシリーズ中ではもっとも長く生産されることになった。
日本への輸入
当時の総代理店であった西欧自動車によってセダン・クーペ・スパイダーとも相当数が輸入され、比較的手ごろな価格(100万円台前半で、当時のトヨタ・クラウンの高級モデルとほぼ同じ価格帯)であったため、日本市場でも人気を博した。
参考文献
- 二玄社 別冊CG「自動車アーカイブVol2 60年代のイタリア/フランス車編」ISBN 4-544-09172-1




