フェルミオン・ダブリング
フェルミオン・ダブリング(fermion doubling)とは、格子上の場の理論においてフェルミオンを記述する際に、本来の物理的な粒子(自由度)とは別の、非物理的な複数の自由度が生じる理論上の問題である。このとき現れる非物理的な自由度はダブラー(doubler)と呼ばれ、d次元空間においては2d個のダブラーが現れる。
解説
ニールセン=二宮の定理
フェルミオン・ダブリングが生じる条件を表すのが、1981年にホルガー・ベック・ニールセンと二宮正夫によって証明された[1][2]ニールセン=二宮の定理(Nielsen–Ninomiya theorem)である。この定理によると、格子フェルミオンの作用が以下の全ての仮定を満たすとき、フェルミオン・ダブリングが必ず生じる。
逆に言うと、これらの仮定のどれかが満たされなければ、ダブリングが生じない格子フェルミオンの作用を設定することができる。例えば、ウィルソン・フェルミオンはナイーブな作用にカイラル対称性を破る新たな項を追加することで、ダブリングを回避している。
証明には、 ポアンカレ・ホップの定理を用いる。
解決法
フェルミオン・ダブリングの問題を解決するために、様々な形式の格子フェルミオンの作用が考案されている。
- ウィルソン・フェルミオン : カイラル対称性を破る項を導入する。
- スタッガード・フェルミオン : 16個のダブラーの自由度を4つの4成分フェルミオンとして扱う。
- ドメインウォール・フェルミオン : 5次元時空中の4次元的なドメインウォール上でフェルミオンを扱う。
- オーバーラップ・フェルミオン : ギンスパーグ・ウィルソン関係式(格子上で修正されたカイラル対称性に相当)を満たすディラック演算子を導入する。
参照
- H.B. Nielsen, M. Ninomiya (1981). “Absence of Neutrinos on a Lattice. 1. Proof by Homotopy Theory”. Nucl.Phys. B 185 (1): 20–40. doi:10.1016/0550-3213(81)90361-8.
- H.B. Nielsen, M. Ninomiya (1981). “Absence of Neutrinos on a Lattice. 2. Intuitive Topological Proof”. Nucl.Phys. B 193 (1): 173–194. doi:10.1016/0550-3213(81)90524-1.
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