フランコ公爵

フランコ公爵スペイン語: Duque de Franco)は、かつて存在したスペイン公爵位。総統フランシスコ・フランコの娘カルメン・フランコ・イ・ポロ王政復古後の1975年に叙されたが、2022年の国民記憶法施行により称号廃止となった。

フランコ公爵
Duque de Franco
創設時期1975年11月26日
創設者フアン・カルロス1世
貴族スペイン貴族
初代カルメン・フランコ
最終保有者カルメン・マルティネス=ボルディウ(2代女公)
断絶時期2022年10月21日
2022年に国民記憶法施行により称号廃止

歴史

総統フランシスコ・フランコの娘だったマリア・デル・カルメン・フランコ・イ・ポロは、1950年に第10代ビリャベルデ侯爵クリストバル・マルティネス=ボルディウと結婚し、その間に7人の子を儲けた[1]

1975年11月20日にフランコ総統が死去し、フランコの遺言によりフアン・カルロス1世がスペイン王に即位して王政復古した。フアン・カルロス1世は11月26日にもフランコの娘であるカルメンをフランコ女公爵に叙した[1]グランデの特権を有する公爵位であった。

2017年12月29日に初代女公が死去[1]。先立つ1998年の10代ビリャベルデ侯の死去に際しては、夫妻の長男であるフランシスコ・フランコ・イ・マルティネス=ボルディウが11代ビリャベルデ侯爵位を継承していたが、2006年の法律により当時貴族の爵位の継承は叙爵時の特別の指定や当人が他者に譲らない限り、性別に関係なく第1子が優先となっていたため、長女マリア・デル・カルメン・マルティネス=ボルディウ・イ・フランコが公爵位を請求した[2][3]

極左政党の統一左翼党は「独裁者」の爵位を嫌い、フランコ公爵位を葬ろうと「フランコ公爵位は歴史の記録法に違反する」という訴えを国王フェリペ6世に対して行った。しかし貴族の爵位の創設や剥奪の権限は国王にあり、法律の対象ではなかった[4]。このときは結局、マリア・デル・カルメン・マルティネス=ボルディウの2代フランコ女公位の継承が認められ、2018年7月4日官報で爵位継承が発表された[5]。しかし2020年に入り、ペドロ・サンチェス率いる社会労働党が政権を握ると、フランコ総統時代の負の遺産への対処を掲げて国民記憶法を制定する意向を示した[6]。同年9月15日、サンチェス政権は同法案を議会に提出することを閣議決定した[7]。法案は議会内でも成立に向かい、2022年10月21日に国民記憶法として施行された[8]。同法の定めるところによりフランコ公爵位は称号廃止となった[9]

フランコ公爵(1975年)

フランコ公爵家の系図

スペイン王
アルフォンソ13世
(1886-1941)
 
フランシスコ・フランコ・バアモンデ
(1892–1975)
 
初代メイラス女卿
マリア・デル・カルメン・ポロ・イ・マルティネス=バルディス
(1900-1988)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
セゴビア公
ハイメ・デ・ボルボーン・イ・バッテンベルグ
(1908-1975)
 
 
 
初代フランコ女公
ビリャベルデ侯爵夫人
マリア・デル・カルメン・フランコ・イ・ポロ
(1926–2017)
 
10代ビリャベルデ侯爵
クリストバル・マルティネス=ボルディウ
(1922–1998)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
カディス公
アルフォンソ・デ・ボルボーン・イ・ダンピエレ
(1936-1989)
 
 
 
2代フランコ女公
カディス公爵夫人
マリア・デル・カルメン・マルティネス=ボルディウ・イ・フランコ
(1951-)
 
11代ビリャベルデ侯爵
2代メイラス卿
フランシスコ・フランコ・イ・マルティネス=ボルディウ
(1954-)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アンジュー公(名目上)
ルイス・アルフォンソ・デ・ボルボーン・イ・マルティネス=ボルディウ
(1974-)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
フィーユ・ド・フランス(名目上)
エウヘニア・デ・ボルボーン・イ・バルガス
(2007-)
 
 
 
 

脚注

出典

  1. “カルメン・フランコさん死去 スペインのフランコ元総統の1人娘”. 産経新聞. https://www.sankei.com/world/news/171229/wor1712290042-n1.html 2020年6月20日閲覧。
  2. 2018年7月4日付けの公布で、マリア・デル・カルメン・マルチネス=ボルディウ・フランコ閣下に第2代フランコ公爵襲爵の許諾が発表されていた模様”. 世界の王室ニュース. 2020年3月28日閲覧。
  3. “Marquesado y distrito de Villaverde, dos realidades diferentes”. Periódico Distrito Villaverde. (2018年3月9日). https://www.distritovillaverde.com/marquesado-y-distrito-de-villaverde-dos-realidades-diferentes/ 2021年3月30日閲覧。
  4. Felipe VI no puede suprimir el Ducado de Franco sin un proceso previo del Consejo de Estado”. Monarquia Confidencial. 2020年3月28日閲覧。
  5. Título de Duque de Franco”. Ministry of Justice. 2020年3月28日閲覧。
  6. “The Spanish government proposes a new law on history”. The Economist. ISSN 0013-0613. https://www.economist.com/europe/2020/09/17/the-spanish-government-proposes-a-new-law-on-history 2022年10月27日閲覧。
  7. La Moncloa. 15/09/2020. Government approves draft bill of Democratic Memory Act [Government/Activity of the Council of Ministers]” (英語). www.lamoncloa.gob.es. 2022年10月27日閲覧。
  8. Spain assumes the Law of Democratic Memory - Prensa Latina (英語) (2022年10月21日). 2022年10月27日閲覧。
  9. Jefatura del Estado: “Ley 20/2022, de 19 de octubre, de Memoria Democrática”. Boletín Oficial del Estado (Madrid: Agencia Estatal Boletín Oficial del Estado): 33–34. (20 October 2022). ISSN 0212-033X. https://www.boe.es/buscar/pdf/2022/BOE-A-2022-17099-consolidado.pdf.
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