ポルノ・買春問題研究会

ポルノ・買春問題研究会(ポルノ・かいしゅんもんだいけんきゅうかい、Anti Pornography and Prostitution Research Group、略称:APP研)は、ポルノグラフィや買春をはじめとしたセクシュアリティの諸問題の研究を目的として、1999年12月に結成された「反ポルノグラフィ」、「反・売春」、「反・買春」を掲げる保守的なラディカル・フェミニズム団体。外郭団体としてぱっぷす(旧ポルノ被害と性暴力を考える会(People Against Pornography and Sexual Violence:PAPS))がある。

中心スタッフ

  • 中里見博(代表、ポルノ被害と性暴力を考える会副理事長、大学教員)[1][2]

徳島大学ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部准教授。元福島大学行政社会学部准教授[3]。日本公法学会、全国憲法研究会、民主主義科学者協会法律部会、ジェンダー法学会所属[3]。
著書に「憲法24条+9条―なぜ男女平等がねらわれるのか」(2005年)、「ポルノグラフィと性暴力―新たな法規制を求めて」(2007年)、論文として「性支配と人権」(2000年)、「権力・ポルノグラフィ・セクシュアリティ」(2000年)、「ジェンダーが揺さぶる憲法構造の変容」(2001年)、共訳書としてマッキノン/ドウォーキン「ポルノグラフィと性差別」(2002年)などがある。

弁護士(静岡県弁護士会所属)。明治大学法科大学院教員。国際的フェミニズム団体イクオリティ・ナウ理事、ジェンダー法学会理事[4][5]。日本政府に対して慰安婦への賠償を求めている「女性・戦争・人権」学会運営会委員。東京・強姦救援センターでは法律アドバイザーを務めている。1994年から96年まで、ミシガン大学ロースクールでラディカル・フェミニストの第一人者であるキャサリン・マッキノンに師事した経験を持つ。

2006年、APP研ホームページを通じてセクシャルハラスメントの相談をした女性から守秘義務違反で告訴され、代表を辞任(後述)。防衛医科大教授の名倉正博の痴漢冤罪事件の逆転無罪判決に対して「性的被害を訴える女性は虚偽の供述をしているという古く誤った前提に基づいた判決である」と批判したことがある[6]。
著書として「性の法律学」(1991年)、「性差別と暴力」(2001年)などがある。

翻訳家、駒澤大学経済学部非常勤講師。ポルノ被害と性暴力を考える会世話人。西島栄という別名で[7]、トロツキズムを掲げた日本革命的共産主義者同盟(第四インターナショナル日本支部)が運営するトロツキー研究所の幹事を務めていた[8]。
著書として「資本主義と性差別―ジェンダー的公正をめざして」(1997年)、「資本と剰余価値の理論―マルクス剰余価値論の再構成」(2008年)ほか。訳書としてレフ・トロツキー「トロツキーわが生涯〈上〉」(2000年)、同「永続革命論」(2008年)などがある。

  • 北原みのり(ポルノ被害と性暴力を考える会理事、作家・ラブピースクラブ代表)
  • 横田千代子(ポルノ被害と性暴力を考える会理事、婦人保護施設いずみ寮施設長)
  • 金尻カズナ(ポルノ被害と性暴力を考える会理事、主任支援員、相談員・相談支援マネージャー)
  • 常岡裕道(ポルノ被害と性暴力を考える会理事、法人役員)
  • キャロライン・ノーマ(ポルノ被害と性暴力を考える会国際顧問、RMIT大学教員)

概要

「女性の人権・性的自由・性的平等を擁護するフェミニズムの見地から、ポルノ・買春問題をはじめ、セクシュアリティをめぐるさまざまな問題を研究する」ことを目的として結成された。行動としてアダルトビデオ・アダルトゲーム・男性向けアダルトコミック・ボーイズラブなどにおける性表現の規制強化、ポルノをめぐる諸問題に関する勉強会に取り組む[9][10][11][12]。

相談メール漏洩訴訟

2002年8月にAPP研のホームページを介してセクハラ被害を相談した女性が、当時依頼していた担当弁護士にメール内容を漏洩されたとして、2006年、角田由紀子代表(当時)に対して守秘義務違反による慰謝料を請求する訴えを起こした。これにより角田は代表を辞任。なお、一審では原告が勝訴したが[13]、控訴審では原告の訴えが棄却された[14]。

理論社に対する抗議運動

2007年10月、アダルトビデオ監督のバクシーシ山下が書き下ろした性教育本「ひとはみな、ハダカになる。」を発行した理論社に対して、森田成也を始めとするAPP研のスタッフと立教大学教授の湯澤直美などで構成されている外郭団体ポルノ被害と性暴力を考える会と合同で同書の回収と絶版を求める署名運動を起こした。その理由としてAPP研らは、読者対象として設定されている高校生未満の児童が同書を読むことで、山下が製作した暴力的な内容のアダルトビデオを視聴する可能性を挙げている。またこの要求は、あくまで理論社の自主規制を求めたものであって、悪書追放運動とは異なると主張している[15]。なお理論社はこの要求を拒否、批判している[16]。

性暴力ゲーム事件

2009年2月、角田由紀子が理事を務めている国際的フェミニズム団体イクオリティ・ナウが、日本のアダルトゲーム会社ILLUSIONが製作した「レイプレイ」は女性の人権を蹂躙するだけでなく、性犯罪も誘発させる「性暴力ゲーム」であるとして、同ソフトの販売禁止を求める運動を開始した。かねてよりアダルトゲームに対する法規制を訴えていたAPP研も[17]、イクオリティ・ナウに協力する形で性暴力ゲーム批判をマスメディアで繰り返し[18]、自由民主党女性局による「性暴力ゲームの規制に関する勉強会」の発足や[19]、公明党のプロジェクトチームに参加するなど積極的な活動を見せている[20]。

天皇制批判

ジェンダーフリーという観点から公式サイトなどで天皇制を批判している。

  • 「天皇のような差別的・特権的・反動的地位に就く権利というのは基本的に、レイプ権に近い差別的特権的「権利」であると思います」(ポルノ・買春問題研究会公式サイト 2001年12月4日)[21]。
  • 「女の人権を侵害することによってしか成り立たない制度に依拠しなければならない人を、なぜ私達は象徴として仰がなければならないのか。そのことが議論されていないんじゃないかと思います」(角田由紀子、週刊金曜日2006年9月15日号)

なおAPP研のメンバーの一人である山本有紀乃[22]は「女性と天皇制研究会」[23]という反天皇制サークルでも活動している[24]。

支援組織

参加組織であるポルノ被害と性暴力を考える会は、2010年から朝日新聞厚生文化事業団の「子どもへの暴力防止プロジェクト」の助成金を受けている[25]。

関連項目

脚注

  1. ポルノ・買春問題研究会. “組織概要”. ポルノ・買春問題研究会. 2009年11月18日閲覧。
  2. PAPSポルノ被害と性暴力を考える会
  3. “法学専攻教員一覧”. 行政政策学類. 福島大学. 2009年11月30日閲覧。
  4. Equality Now. “Equality Now Board of Directors” (英語). Equality Now. 2009年10月18日閲覧。
  5. ジェンダー法学会. “第三期理事会・監事・事務局”. ジェンダー法学会. 2009年10月18日閲覧。
  6. 2009年4月15日 河北新報「痴漢逆転無罪・「供述頼み」に警鐘・補強証拠の収集強化必要」
  7. 森田成也訳『永続革命論』(光文社古典新訳文庫)を吟味する
  8. トロツキー研究所. “トロツキー研究所の紹介”. トロツキー研究所. 2000年4月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年10月17日閲覧。
  9. 6・26アジア連帯講座 ポルノ被害とは何か | アジア連帯講座
  10. 2005年7月19日 アジア連帯講座 公開講座 性差別と性暴力をなくすために私たちはなにができるか | アジア連帯講座
  11. 秋葉原でAV産業の裏側を知るツアー | Travel the Problem (トラベル・ザ・プロブレム)
  12. リディラバ — 2017年11月12日開催「秋葉原でAV産業の裏側を知るツアー」に関して
  13. “主文” (PDF). 裁判所webサイト (2006年10月6日). 2009年5月14日閲覧。
  14. 2007年2月28日 朝日新聞. “守秘義務違反認めず弁護士逆転勝訴 相談メール漏洩訴訟”. 朝日新聞. 2007年3月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年10月17日閲覧。
  15. ポルノ・買春問題研究会. “理論社問題とポルノ被害”. ポルノ・買春問題研究会公式サイト. 2009年5月15日閲覧。
  16. ポルノ被害と性暴力を考える会. “理論社問題:ポルノ被害と性暴力を考える会”. ポルノ被害と性暴力を考える会公式サイト. 2015年7月26日閲覧。
  17. ポルノ・買春問題研究会. “パソコンゲームに起因する性暴力事件”. ポルノ・買春問題研究会公式サイト. 2002年6月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年10月18日閲覧。
  18. 2009年5月9日 読売新聞朝刊「日本製の性暴力ゲームソフト海外から批判の嵐・人権団体「なぜ流通止めぬ」」
  19. 2009年7月9日 LAP21 自由民主党女性局. “性暴力ゲームの規制に関する勉強会”. 自由民主党女性局. 2010年7月24日閲覧。
  20. 2009年5月20日 公明新聞. “「性暴力ゲーム規制で議論 中里見准教授 日本の研究の遅れ指摘」”. 公明新聞. 2009年10月18日閲覧。
  21. ポルノ・買春問題研究会. “皇室典範改訂問題”. ポルノ・買春問題研究会公式サイト . 2003年7月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年9月25日閲覧。
  22. 日本女性学会. “ポルノ被害としての盗撮”. 日本女性学会. 2009年10月18日閲覧。
  23. 女性と天皇制研究会. “女性と天皇制研究会のホームページにようこそ”. 女性と天皇制研究会. 2009年10月18日閲覧。
  24. fem-net Web. “女性と天皇制研究会「女性天皇はいらない!天皇制はもっといらない!12・1シンポジウム」”. fem-net Web. 2009年10月18日閲覧。
  25. ポルノ被害と性暴力を考える会 第3回シンポジウム「子どもの日常を取り巻く性被害~学校・ストリート・施設」

外部リンク

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