マカオの競馬
歴史
- 17世紀、ポルトガル居留地マカオ市内で競馬が行われていた記録が残る[1]。
- 1829年、イギリス人がマカオ半島北部で最初の近代競馬を開催[1][2]。
- 1846年、香港にハッピーバレー競馬場開設。マカオにおける競馬開催が中断[1]。
- 1927年、黒沙環地区に競馬場(現在の祐漢街市)開設。競馬開催が再開[1][2]。
- 1941年、太平洋戦争勃発により競馬開催中断[1][2]。
- 1980年、タイパ競馬場開設。ハーネス競馬(繋駕速歩競走)を開始[1][2]。
- 1988年、マカオ・トロッティングクラブによるハーネス競馬開催中断[2]。
- 1989年、マカオジョッキークラブ設立。平地競走に移行し競馬開催を再開[1][3]。
- 1990年、経営難により競馬開催中断。カジノ経営者スタンレー・ホーが買収[2]。
- 1991年、競馬開催を再開[2]。
- 2000年、国際セリ名簿基準書のパートIIIに認定[4]。
- 2004年、国際セリ名簿基準書のパートIIに昇格[4]。香港との交流競走を開始[5]。
- 2018年、マカオジョッキークラブが2042年までの競馬運営権契約延長を承認される[6]。
- 2024年、競馬運営権契約が解除され、競馬の開催を停止[7][8][9][10][11][12][13]。
特徴
東アジアにおける最初のヨーロッパ人居留地であったマカオの競馬は歴史が古く、1637年にマカオを訪れたイギリスの商人が聖ドミニコ教会前の広場で競馬が開催されていたことを書き残している[1]。近代競馬は数回の中断・廃絶と再開を経ており、現在のタイパ競馬場は1980年に繋駕速歩競走の競馬場として開設され、1989年にマカオジョッキークラブによりサラブレッドの平地競走に転換した後、経営難に陥ったクラブを1991年から当時のマカオでカジノの1社独占経営権を握っていたスタンレー・ホーの企業集団が買収し、民間企業により運営されてきた[2][3]。
マカオには競馬以外にも庶民向けのギャンブルとして1991年までハイアライ、2018年までドッグレースがあり、競馬が大きな人気を得たことはなかった。さらに2004年にカジノへの外資参入が許可されて競争が激しくなり、カジノのサービスが向上する反面で他のギャンブルは衰退し、競馬についても廃止説が何度か上がってきた[14]。
2023/2024年シーズンには、2023年9月29日の開始直前までマカオ政府の開催承認が認可されずに廃止危機が取りざたされ[6]、シーズン開始後の同年11月には、マカオジョッキークラブが財政難から賞金額の30%減額の計画を発表したところ、調教師と騎手がストライキの実施を警告する騒ぎとなり、撤回に追い込まれた[15]。
当シーズン中の2024年1月15日、マカオ政府とマカオジョッキークラブは競馬運営権契約を同年4月1日付けで解除し、競馬の開催を停止することを発表した[7][9][10][11]。発表によれば、マカオジョッキークラブの累積損失は2024年1月時点で25億パタカ(当時のレートで約450億円)に及んでおり[7]、クラブ側からの申し出により契約解除が合意されたとされている[9]。マカオ行政法務庁長官の張永春は、契約解除発表の記者会見において、競馬が衰退産業であり、マカオに社会経済的利益をもたらさないことを理由として将来の運営権入札を行わないと説明しており、競馬開催は将来的にも再開されない見通しである[10][11]。
競走
競馬シーズンは9月末から翌年の8月末までで、毎週1~2回、金曜日にはナイター競走、週末には日中競走または薄暮競走が開催されていた。馬場は芝とサンド(ダート)があり、双方の平地競走が行われていた[16]。2022/2023年シーズンの施行競走のコース種別は芝が186回、サンドが141回だった[17]。
2003年頃が競馬開催の最盛期で年間1200回の競走が施行されていたが、2020年代までに大幅に衰退し、開催日は週に1日がほとんどで、1日の施行競走数は5回程度になっていた[6]。2022/2023年シーズンの開催日数は65日、施行競走数は327回だった[17]。
大レースとしては2007/2008年シーズンに開始されたマカオギニー、マカオダービー、マカオゴールドカップからなる三冠競走(トリプルクラウンシリーズ)があったが[18][19]、マカオギニーは2022/2023年シーズンには施行されなかった[20]。
マカオギニー以外にもカップレース(盃賽)は減少しており、2018/2019年シーズンまでは年間40回以上施行されていたが[21]、2022/2023年シーズンには12回だった[20]。重賞も年間14回であったものが[22]、年間3回となっていた[23]。
主な競走
マカオは『国際セリ名簿基準書』のパートII国であり、同基準書のパートIIに記載されている国内重賞は、国際的にはブラックタイプで記載することのできるリステッド競走とみなされる[27]。
2018/2019年シーズンに『国際セリ名簿基準書』に記載されていた重賞は次のとおり。
| 開催月 | 格付け | 競走名 | 馬場・距離 | 出走条件 |
|---|---|---|---|---|
| 10月 | G2 | オータムトロフィー | 砂1600m | 3歳以上 |
| 1月 | G2 | ウインタートロフィー | 芝1800m | 3歳以上 |
| 2月 | G2 | スプリングトロフィー | 芝1500m | 3歳以上 |
| 3月 | G1 | マカオ香港トロフィー | 芝1500m | 4歳以上 |
| 3月 | G1 | チェアマンズチャレンジカップ | 芝1200m | 3歳以上 |
| 3月 | G3 | マカオスプリントトロフィー | 芝1200m | 3歳以上 |
| 4月 | G2 | ディレクターズカップ | 芝1500m | 3歳以上 |
| 4月 | G3 | ダービートライアル | 芝1500m | 4歳 |
| 5月 | G1 | マカオギニー | 芝1500m | 4歳以上 |
| 6月 | L | リスボンチャレンジ | 芝1500m | 2・3歳 |
| 6月 | G2 | サマートロフィー | 砂1350m | 3歳以上 |
| 7月 | G1 | マカオダービー | 芝1800m | 4歳 |
| 7月 | G1 | マカオスターオブサンドS | 砂1600m | 3歳以上 |
| 8月 | G1 | マカオゴールドカップ | 芝1800m | 3歳以上 |
| 出典 |
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主な競馬場
脚注
- “A History Of Racing In Macau”. Macau Jockey Club (2011年10月4日). 2023年10月16日閲覧。(アーカイブコピー - ウェイバックマシン)
- “澳門街市:祐漢街市”. 澳門記憶. 澳門基金會. 2023年10月16日閲覧。
- “マカオの競馬場”. 公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナル. 2023年10月16日閲覧。(アーカイブコピー - ウェイバックマシン)
- “The Blue Book - Previous Years”. International Federation of Horseracing Authorities. 2023年10月16日閲覧。
- “港澳賽馬交流歷史”. 香港地方志中心. 香港基金. 2023年10月16日閲覧。
- “マカオの競馬が終了するという憶測が広がる(マカオ)[開催・運営]”. 公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナル (2023年8月31日). 2023年10月16日閲覧。
- “マカオジョッキークラブ、政府との競馬運営権契約を解除”. 公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナル. 2024年1月21日閲覧。
- “Termination of Horse Racing Concession Contract”. Macau Jockey Club. 2024年1月21日閲覧。(アーカイブコピー - ウェイバックマシン)
- 「マカオ競馬の廃止が決定…約40年の歴史に幕」『マカオ新聞』大航海時代新聞出版社、2023年1月15日。2023年1月21日閲覧。
- “Government pulls the plug on racing in Macau as authorities struggle with huge losses”. Racing Post. (2024年1月15日) 2023年1月21日閲覧。
- “Game Over for Macau Horse Racing”. BloodHorse. (2024年1月15日) 2023年1月21日閲覧。
- “China’s gambling hub of Macao holds its final horse race, ending a tradition of over 40 years”. AP. (2024年3月30日) 2024年4月1日閲覧。
- “マカオ競馬、44年の歴史に幕 カジノ人気で経営難に”. 日本経済新聞. (2024年4月2日) 2024年4月3日閲覧。
- 須田鷹雄『世界の中心で馬に賭ける 海外競馬放浪記』中央公論新社、2022年、198-201頁。
- “Macau Jockey Club permanently cancels plan to reduce prize money”. Inside Asian Gaming. (2023年11月29日) 2023年12月13日閲覧。
- “Macau Jockey Club”. Asian Racing Federation. 2023年10月16日閲覧。(アーカイブコピー - ウェイバックマシン)
- “Racing Statisitcs for 2022/2023 Racing Season”. Macau Jockey Club (2023年9月26日). 2023年10月16日閲覧。(アーカイブコピー - ウェイバックマシン)
- Cataloguing Standards and International Statistics 2023. The Jockey Club Information Systems. (2023). p. 5-19
- “Macau Triple Crown”. HorseRacing.co.uk. 2023年10月16日閲覧。
- “Cup Race Results 2022/2023”. Macau Jockey Club. 2023年10月16日閲覧。(アーカイブコピー - ウェイバックマシン)
- “Cup Race Results 2018/2019”. Macau Jockey Club. 2023年10月16日閲覧。(アーカイブコピー - ウェイバックマシン)
- Cataloguing Standards and International Statistics 2019. The Jockey Club Information Systems. (2019). p. 2-7
- Cataloguing Standards and International Statistics 2023. The Jockey Club Information Systems. (2023). p. 2-8
- 馮家超 (2003年). “香港《賭博條例》修訂對澳門的影響與反思”. 澳門虛擬圖書館. 澳門基金會. 2023年10月16日閲覧。
- “澳門獲准接受香港賽馬單邊投注”. 香港政府新聞網. 香港政府新聞處編輯小組 (2005年1月25日). 2023年10月16日閲覧。
- Cataloguing Standards and International Statistics 2023. The Jockey Club Information Systems. (2023). p. 5-3
- Cataloguing Standards and International Statistics 2023. The Jockey Club Information Systems. (2023). p. viii