マッチングアプリ

マッチングアプリ和製英語: Matching app)は、モバイルアプリケーションを介して提供されるオンライン恋愛サービスであり、多くの場合、スマートフォンのGPS機能、携帯性、デジタルフォトギャラリーやモバイルウォレットへの簡易なアクセスを利用して、インターネット上の出会いの利便性を向上させている。

これらのアプリは、インターネット上で知り合った相手とチャットしたり、会合したりする、従来のオンライン恋愛サービスのプロセスを簡素化したり迅速化することができる。

2012年のTinderの公開は、新しい事業者の参入と、従来のオンライン恋愛サービス業者のモバイルアプリ市場への進出を促進させ、マッチングアプリの成長に繋がった。

マッチングアプリは現在、アメリカ合衆国で主流となっている。2017年の時点で、インターネットはアメリカ合衆国のカップルが出会う方法として最も多い[1]。現在、新しいカップルの39%が最初にインターネット上で出会っており、専門家は2040年までにこの数値が70%に増加すると予測している[2]
日本でも2023年の調査では53.1%がオンライン上で出会っており、22.8%がマッチングアプリで出会っている。という結果がでている[3]

起源

Tinderは、マッチングアプリの急増を導いたアプリケーションだった[4]

人口統計上の使用頻度

マッチングアプリは、若い人口統計集団を対象としている。以前は、人々はオンライン恋愛にほとんど触れていなかったが、今日では、ほぼ50%の人々が、アプリを使用していたり、またはアプリを通じて愛する人に出会った人を知っている[5]。2007年にiPhoneが発売されてから、携帯機器の使用量が増えるにつれて、オンライン恋愛の数値は増加した。2005年には、18から24歳の10%だけがオンライン恋愛サービスを利用したと報告されていたが、この数はこの人口の27%以上に増加した[6]ピュー・リサーチ・センターの2016年の調査によると、アメリカ合衆国の成人の59%が、2005年の44%と比較して、オンライン恋愛が人々が出会う良い方法であることに同意した。18歳から24歳の約5人に1人(22%)[5]が、2016年にマッチングアプリを使用したと報告されたが、2003年には5%しか使用していなかった[6]

新型コロナウイルス感染症の世界的流行の間、モーニング・コンサルトはその世論調査を通じて、これまで以上に多くのアメリカ人がマッチングアプリを使用していることを発見した。2020年4月のある調査では、マッチングアプリを使用するアメリカの成人の53%が、パンデミックの際にアプリをより多く使用していることが分かった[7]。2021年2月の時点で、その割合は71%に増加した[8]

人気のアプリケーション

Tinderの成功後、他の多くの人が独自のマッチングアプリを作成しようとし、Match.Comなどのアプリケーションを作成した。アプリ経済に関する研究グループであるARC[9]は、2016年に、アメリカ合衆国の150万人の顧客が人気のある97のマッチングアプリをどのように評価したかについて調査研究を実施した。調査結果によると、アプリストアからのレビューが10,000件を超え、スコアが50以上(100点満点)のアプリは11件のみだった。これらには、OkCupidが含まれる。スコアが50以上のアプリは成功したと見なされた。イーハーモニーMatch.comなどの他の人気のあるアプリケーションのスコアは40以下だった[9]

国内で利用率の高いマッチングアプリ

(出典:[10][11][12]

恋愛における影響

マッチングアプリの使用には、利点と欠点の両方がある。

利点

  • 多くのアプリは、マッチングのための性格検査を行うか、アルゴリズムを使用してユーザーをマッチングさせる[13]。これらの要因により、ユーザーが好みの候補者とマッチングする可能性が高まる。それらには多くの選択肢が用意されているため、ユーザーは特定の好みのタイプと十分マッチングする可能性がある。興味が持てないことが分かっている候補とはマッチングしないことを選択するだけで、選択肢を絞り込むことができる。候補者とはチャットして人柄を知ることができる。 この種のコミュニケーションは、ユーザーが従来の方法で恋愛している場合に避けられない時間、費用、およびリスクを軽減させる[14]

欠点

  • 選択肢が多すぎると、収拾がつかない場合がある。非常に多くの候補が選択可能であるため、ユーザーは選択に迷い、実際の関係を築くために時間を使用する代わりに、「完璧な」候補を探すのに多くの時間を費やしてしまう可能性がある[14]。さらに、導入されているアルゴリズムとマッチングシステムは、ユーザーが考えるほど正確であるとは限らない。二人の性格を毎回完全に一致させることができる完璧なシステムはない[15]
  • オンラインでのコミュニケーションには、潜在的なパートナーを選択するために不可欠な物理学的な側面も欠けている。テキストメッセージによる交流では、多くのことを知ることができない。オンライン恋愛は恋愛を非常に表面的なものにした。ユーザーのプロフィールの写真は、誰かが自分の性格を知る前に、誰かの好みに合っていたり合わなかったりする可能性がある[16]
  • 研究者は多種多様なマッチングアプリを分析した後、主要なマッチングアプリのほとんどが、性的指向、好み、電子メールアドレス、恋愛の進め方の様子などの非常に機微性の高い個人情報を流出させる可能性のある単純な盗聴攻撃に対して脆弱であると結論付けた[17]
  • マッチングアプリによって増幅される問題は、「ゴースティング」と呼ばれる現象であり、知り合った相手が前触れや説明なしに相手との全ての通信を遮断することである。ゴースティングは、ユーザーがアプリから退会する可能性があるため、アプリ恋愛に深刻な問題を引き起こす。このため、BumbleBadooなどの企業は、ユーザーがチャットの会話をより丁寧に終了しやすくする新機能を導入して、この慣習を取り締まっている[18]
  • オンライン恋愛は汚名を着せられているが[19]、時間の経過とともに受け入れられるようになっている。
  • マッチングアプリでは、メッセージのやり取りに多くの時間がかかり、それをやるだけで体力的に負担が大きい。「バチェラーデート」を運営するバチェラーデート(東京都品川区)は、「マッチングアプリ疲れ」に関する調査を実施し、その結果、利用者の9割の人が「マッチングアプリ疲れを感じたことがある」こと、その疲れの原因ランキングの1位が「メッセージのやりとり」であることが判明した[20]

データプライバシー

マッチングアプリは、データの悪用に関する事件に巻き込まれることがよくある。2018年、ゲイ同士の交際を対象とした最初のマッチングアプリであるGrindrは、ユーザーのHIVステータスに関するデータを多数の企業と共有したと非難されている[21]

Taimiは、銀行級のセキュリティを導入して、これまでのゲイの人々にとって「最も安全なマッチングアプリ」となった[22]

マッチングアプリに絡んだ犯罪

マッチングアプリの利用者の増加に伴い、それに絡んだ犯罪も増えている。

2022年4月20日、16歳の少女と18歳の2人の少年は出会い系サイトで知り合った男性から現金を脅し取り、警察に恐喝容疑で逮捕された[23]。島根県警松江署によると、彼らは松江市東津田町の会社員男性方で、「お前のやっていることは犯罪だぞ!」「財布出せ!」などと怒鳴り、男性の頭を踏みつけたりして、3000円を脅し取った。

2022年8月8日、大阪市東淀川区の無職の男(31歳)がマッチングアプリで知り合った20代の女性を「一緒に映画を見よう」などと言って自宅に誘い込み、そこで女性の腹や腕を何度も殴り、女性の運転免許証などを携帯電話で撮影した。男は「誰かに言ったら家に行く」「まじで殺す」などと脅迫した上で性的暴行を加え、午前5時頃まで女性を自宅に監禁し、約3週間のけがを負わせた。その後、大阪府警は、この男を強制性交等致傷や監禁致傷などの疑いで逮捕した[24]

2022年8月27日、佐賀県警鳥栖署は、鳥栖市内の男性(40代)が、マッチングアプリで知り合った人物から投資の話をもちかけられ、計1億円をだましとられたと発表した[25]。男性は、マッチングアプリで知り合った日本人女性と面識がないままSNSでやりとりをし、「外国為替取引すればもうかる」などと言われた。男は8月11から8月26日までの間、指定された12の口座に17回にわたって入金し、計1億円を振り込んだが、その後、「これは詐欺ではないか?」と気づいたという。

2022年11月30日、滋賀県警草津署は、滋賀県栗東市の看護師の女性(51)がマッチングアプリで知り合った男に410万円をだまし取られたと発表した[26]。女性はその男から暗号資産の投資話を勧められて、暗号資産サイトに登録。7月4日から19日にかけて指定口座に3回にわたって計410万円を入金したという。

参考文献

  1. Yau, Nathan (2019年3月15日). Shifts in How Couples Meet, Online Takes the Top (英語). FlowingData. 2021年8月28日閲覧。
  2. Wild new world of dating will make 'swiping right' seem quaint (英語). NBC News. 2021年8月28日閲覧。
  3. 【2023年の恋愛事情まとめ】今年恋人ができた人の53.1%がオンラインきっかけと回答
  4. Wood, Molly (2015年2月4日). “Led by Tinder, a Surge in Mobile Dating Apps”. The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2015/02/05/technology/personaltech/led-by-tinder-the-mobile-dating-game-surges.html 2016年10月26日閲覧。
  5. Online dating usage by demographic group”. Pew Research Center: Internet, Science & Tech (2016年2月10日). 2016年10月26日閲覧。
  6. “5 facts about online dating”. Pew Research Center. (2016年2月29日). http://www.pewresearch.org/fact-tank/2016/02/29/5-facts-about-online-dating/ 2016年10月26日閲覧。
  7. Online Dating Use Rises Amid Coronavirus Pandemic (英語). Morning Consult (2020年4月27日). 2021年2月18日閲覧。
  8. Spurred On by COVID-19, Millennials Lead the Way in Destigmatizing Online Dating - Morning Consult Amid Pandemic, Millennials Lead the Way in Destigmatizing Online Dating (英語). Morning Consult (2021年2月11日). 2021年2月18日閲覧。
  9. The Best And Worst Dating Apps For 2016”. ARC (2016年2月10日). 2016年10月26日閲覧。
  10. 現在のパートナー/恋人と出会った場所は20代が「職場や学校」「マッチングサービス・アプリ」、30代~60代が「職場や学校」「友人や家族からの紹介」利用したことがあるマッチングサービス・アプリは「Pairs」が最多
  11. 家計簿で出費が減った人は39.2%、2023年|マッチングアプリ実態調査|経験者1000人対象に30項目のアンケートを実施。
  12. 大学生のマッチングアプリ利用率と人気度の調査結果を恋活・婚活メディア「KyoKoi」が発表
  13. Free Online Dating | OkCupid”. OkCupid | Free Online Dating. 2016年10月26日閲覧。
  14. Pros and Cons of Online Dating”. Psychology Today. 2016年10月26日閲覧。
  15. Dewey, Caitlin (2015年11月11日). “The one thing about 'matching' algorithms that dating sites don't want you to know” (英語). The Washington Post. ISSN 0190-8286. https://www.washingtonpost.com/news/the-intersect/wp/2015/11/11/the-one-thing-about-matching-algorithms-that-dating-sites-dont-want-you-to-know/ 2016年10月26日閲覧。
  16. The Superficiality of Online Dating Apps”. The Huffington Post (2015年2月20日). 2016年10月26日閲覧。
  17. Patsakis, Constantinos; Zigomitros, Athanasios; Solanas, Agusti (15 June 2015). Analysis of privacy and security exposure in mobile dating applications. International Conference on Mobile, Secure and Programmable Networking. Paris. pp. 151–162. doi:10.1007/978-3-319-25744-0_13
  18. Horton, Helena (2018年10月29日). “Dating apps crack down on 'ghosting', as 'epidemic' of ignoring partners puts off users” (英語). The Telegraph. ISSN 0307-1235. https://www.telegraph.co.uk/news/2018/10/29/dating-apps-crack-ghosting-epidemic-ignoring-partners-puts-users/ 2020年3月18日閲覧。
  19. Online dating: Determining the presence of a stigma”. 2021年11月13日閲覧。
  20. 約9割が「マッチングアプリ疲れ」に悩んでいる 疲れの原因は?”. ITmedia ビジネスオンライン. 2023年1月13日閲覧。
  21. Moylan, Brian (2018年4月4日). “Grindr was a safe space for gay men. Its HIV status leak betrayed us | Brian Moylan” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/commentisfree/2018/apr/04/grindr-gay-men-hiv-status-leak-app 2019年4月1日閲覧。
  22. New gay dating app has 'bank-level' security for those afraid to be outed (英語). Gay Star News (2018年5月4日). 2019年9月19日閲覧。
  23. 出会い系サイトで知り合った男性から美人局で現金脅し取る…少女と共謀の少年2人を逮捕”. 読売新聞オンライン (2022年4月20日). 2023年1月13日閲覧。
  24. マッチングアプリで出会った女性に性的暴行の疑い 31歳男を逮捕:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2022年9月26日). 2023年1月13日閲覧。
  25. マッチングアプリで知り合い、1億円だまし取られる 詐欺事件で捜査:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2022年8月27日). 2023年1月13日閲覧。
  26. マッチングアプリで知り合った男から投資話、51歳女性が410万円被害|社会|地域のニュース|京都新聞”. 京都新聞. 2023年1月13日閲覧。

関連項目

外部リンク

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