マロン酸ジエチル
マロン酸ジエチル(Diethyl malonate)またはDEMは、マロン酸のジエチルエステルである。ブドウやイチゴに含まれるリンゴ様臭の無色液体で、香水の成分としても用いられる。バルビツール酸、人工香料、ビタミンB1、ビタミンB6等のほか、ファビピラビルの製造にも用いられる。消防法に定める第4類危険物 第3石油類に該当する[1]。
| マロン酸ジエチル | |
|---|---|
![]() | |
![]() | |
1,3-Diethyl propanedioate | |
| 識別情報 | |
| 略称 | DEM |
| CAS登録番号 | 105-53-3 |
| PubChem | 7761 |
| ChemSpider | 13863636 |
| UNII | 53A58PA183 |
| EC番号 | 203-305-9 |
| MeSH | Diethyl+malonate |
| ChEBI | |
| ChEMBL | CHEMBL177114 |
| RTECS番号 | OO0700000 |
| バイルシュタイン | 774687 |
| |
| |
| 特性 | |
| 化学式 | C7H12O4 |
| モル質量 | 160.17 g/mol |
| 外観 | 無色液体 |
| 密度 | 1.05 g/cm3, 液体 |
| 融点 |
−50 °C (223 K) |
| 沸点 |
199 °C (472 K) |
| 水への溶解度 | ほぼなし |
| 危険性 | |
| 安全データシート(外部リンク) | Oxford University MSDS |
| 主な危険性 | Harmful (X), Flammable (F) |
| 引火点 | 200 °C (392 °F; 473 K) |
| 関連する物質 | |
| 関連物質 | マロン酸ジメチル マロン酸 |
| 特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 | |
構造と性質
マロン酸は比較的単純なジカルボン酸であり、2つのカルボキシ基が接近している。マロン酸からマロン酸ジエチルを形成する際には、両方のカルボキシ基のヒドロキシ基がエトキシ基に置き換わる。マロン酸部分の中央にあるメチレン基は、2つのカルボニル炭素の隣にある[2]。
カルボニル基の隣の炭素原子上にある水素原子は、アルキル基の隣の炭素原子上にある水素原子の最大30桁も酸性が強い。2つのカルボニル基と隣り合う炭素原子上の水素原子は、間のメチレン基からプロトンが除去されて生じるカルバニオンを安定化させるため、酸性はさらに高まる。
この化合物の共役塩基の共鳴安定化の範囲は、以下の3つの共鳴式で描かれる。
反応
マロン酸エステル合成
この化合物の主要な用途の1つは、マロン酸エステル合成である。マロン酸ジエチル(1)と適当な塩基の反応で合成されるカルバニオン(2)は、適当な求電子剤でアルキル化することができる。このアルキル化1,3-ジカルボニル化合物(3)は、すぐに脱炭酸して置換酢酸を得る。
塩基としてはナトリウムエトキシドを用いることが望ましい。苛性アルカリや他のアルコキシドを用いると加水分解やエステル交換反応により副生成物を生じてしまう。
生産
日本では唯一、デンカが製造を行っていたが、海外メーカーとの価格競争を受けて2017年4月までに生産を休止した。2020年に2019年新型コロナウイルスの感染が拡大すると、デンカに対して治療薬の原料として国産原料を使用したいとの要請があり、同年5月に再び生産を再開している[4]。
出典
- 法規情報 (東京化成工業株式会社)
- IR spectrum of Malonic acid Archived 2010年6月26日, at the Wayback Machine.
- C. S. Palmer and P. W. McWherter. "Ethyl Bromomalonate". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 1, p. 245
- “新潟でアビガン原料の生産再開へ”. SANKEI Biz (2020年4月2日). 2020年6月1日閲覧。





