メディアゾナ

メディアゾナロシア語: Медиазона英語: Mediazona)は、ロシアの独立系ニュースサイトである。

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特にロシア国内の汚職、裁判、刑務所での問題を報じており、ベラルーシ中央アジア版ではその地域の社会問題を取り上げている。

創立者はプッシー・ライオットのメンバーであるナディア・トロコンニコワとマリア・アリョーヒナで、発行者はピュートル・ヴェルジロフ[1]、編集長は政治ジャーナリストのセルゲイ・スミルノフ。メディアゾナは正確にはロシアのサイトではなく、アイスランドに登録されている。

概要

設立の経緯と報道姿勢

フェミニストパンク・ロック集団でアクティヴィストであるプッシー・ライオットは、2012年2月21日ウラジーミル・プーチンが再選された大統領選挙への抗議活動の一環として、モスクワロシア正教会救世主ハリストス大聖堂で「Панк-молебен Богородица, Путина прогони(聖母様、プーチンを追い出してください)」の無許可演奏を行った。逮捕されたメンバー3人のうち、トロコンニコワとアリョーヒナが実刑判決を言い渡されて服役し、2013年12月に釈放された。

その半年後の2014年9月に、2人はスミルノフと協力し、エレナ・シュマラエバ、エゴール・スコボロダ、マリア・クリモワなどの記者たちも参加してメディアゾナの設立に至った[2]。 設立理由について、トロコンニコワとアリョーヒナは「釈放されて以来、ロシアのメディアは何が起こっているのかを報道できなくなったと感じている。当局による厳しい検閲のため、プーチンの政策を批判し、ロシアの裁判所や法執行機関による人権侵害を追跡するメディアがない。裁判所、刑務所、逮捕、有罪判決、施設での暴動、政治犯罪事件、法執行官による犯罪—私たちの新しいメディアはそのすべてをカバーしようとしています」「ロシアの裁判所の透明性とメディア報道が非常に必要で、メディアゾナがそのギャップを埋めるのに役立つことを願っている」とプレスリリースで説明している[3]。同年12月より、ロシアの司法・人権問題についてガーディアンと協力関係となっている[4]

運営資金については、ロシアでクラウドファンディングを行うことは支援者を危険に晒すため、 トロコンニコワやアリョーヒナが講演をしたり、寄付を集めて工面している[5]

法執行機関による人権侵害に関しての報道の一例としては、2012年から2014年の間に、ロシアのチタ州シルカで服役中の少なくとも2人の遺体が警察署内で拷問の痕跡が疑われる状態で発見され、2014年9月に警察に対して刑事訴訟が提起された事件[6]や、2014年9月にドネツクの親ロシア分離主義者が刑務所を乗っ取り、服役者を虐待・殺害した事件の報道がある[7]

トロコンニコワが2007年以来、アレクセイ・ナワリヌイと親交があることから、その動向についても取り上げている。

2022年ロシアのウクライナ侵攻以降

2022年2月24日ロシアのウクライナ侵攻以来、他の独立系メディア(Republic、Snob.ru、プロエクトなど)とともに当局によってロシアからのアクセスをブロックされた。サイトの削除要求を受けたが、ブロックの準備は出来ており、ジャーナリストたちは仕事を止めないと宣言した[8]ビリニュストビリシに避難しているという[9]

以来、動員されたロシア連邦軍兵士(職業軍人徴集兵)や家族、戦災を受けたウクライナの一般市民や避難民などから独自に取材を行い、調査・インタビュー記事を精力的にアップロードしている。

トロコンニコワの元夫であるピュートル・ヴェルジロフは、同年4月にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領にインタビューをしている[10]ほか、同年5月11日には、アゾフスタリ製鉄所でロシア軍と戦っているアゾフ連隊の兵士の妻たちとローマ教皇フランシスコとの面会に同席した[11]

同年7月12日より、英語でもロシア版のニュースをアップロードしている[12]

独自のデータ収集

  • 侵攻以来、BBCロシア支局やボランティアと協力して死亡したロシア兵に関するデータを収集している。これは死者の実数の反映ではなく「公式に死亡報告が出た数」をカウントしているという。この死亡報告には家族によるSNS投稿、地域メディアによる報道、地方自治体からの哀悼文なども含まれる。 2022年7月29日までのまとめによると、5,185人の死亡が公式に確認されており、中佐以上の少なくとも100人の士官が戦死している。年齢は21~23歳の割合が最も高く、20歳未満の戦死者もあるという。ダゲスタン共和国ブリヤート共和国など中央アジア先住民族の戦死者が多く、貧困のため軍隊に入る者が多い地域の事情が考えられるという。一方、首都モスクワサンクトペテルブルクなど、ロシア国内で裕福な地域出身者の死亡は少ない[13][14]。同年11月18日に更新されたデータでは、死亡者数は9000人を超えた。そのうち259名が動員兵である。動員兵の死亡場所が判明しているのは71例で、ほとんどはロシア軍の撤退前にヘルソン付近で死亡している[13][15]
  • 2022年4月3日、ベラルーシのブロガーがロシア兵たちがロシアの宅配サービスSDEKのマズィル支店のカメラの映像を公開[16]。ロシア兵が略奪品をロシア国内に送っているとして、一部の送信者のデータ、特に大きな小包の重量と宛先アドレスも公開された[17][18]。メディア・ゾナは、SDEKの荷物追跡サービスを利用して同年2月21日以降のすべての出荷に関するデータを収集。そのうちロシアとベラルーシ、ウクライナ国境近くのSDEKの支店発の荷物で同じ場所に1日に2つ以上の大口荷物が送られた場合をチェックし、60箇所の "疑わしい宛先" (そのいずれも軍事大隊の拠点であった)をまとめ、「最も完全な略奪者マップ」を作成。3月末にキーウからロシア軍が撤退する時期に怪しい注文が増加、ピークは4月4日のほぼ4tとその1週間後の3tの大口注文で、以降、徐々に減っていったという[19]
  • 2022年11月19日、9月と10月の2ヶ月間で、23000人以上の囚人がロシアの刑務所から姿を消したことを報じている。9月1日には34万8000人の囚人がいたが、11月1日までに服役中の人数は32万5000人。また、2022年にはウクライナ派兵に関連しない恩赦が無かった。囚人の大幅な減少時期は、ワグナー・グループがウクライナへの志願兵として戦闘に参加させようとした時期と一致。徴兵された囚人、死亡者数は不明だが、関与の規模は明らかに数千人にのぼるとみられる[20]

受賞

  • 2015年 - ニュースサイトMeduzaのメディア・オブ・ザ・イヤー[21]
  • 2020年 - ゲルト・ブセリウス東欧報道自由推進賞
  • レッドコレギア賞
    • 2017年 - エゴール・スコボロダ(3月)[22]、マリア・クリモワ(7月)[23]
    • 2018年 - アンドレイ・カガンスキフ(3月)[24]、エリザベータ・ペストヴァ(10月)[25]、ユリア・スグエバ(12月)[26]
    • 2020年 - ミハイル・マグロフ、エゴール・スコボロダ、アラ・コンスタンティノワ、ポリーナ・グルホワ(11月、共著者)[27] 
    • 2021年 - エレナ・ユリシナ(11月)[28]
    • 2022年 - ドミトリー・トレシャニン(5月、『最も完全な略奪者マップ』取材チーム代表者)[29]

出典・脚注

  1. Редакция (ロシア語). Медиазона. 2022年11月11日閲覧。
  2. Nast, Condé (2014年9月4日). Two Pussy Riot Members Start a News Service (英語). Vanity Fair. 2022年7月28日閲覧。
  3. Pussy Riot Members Launch Independent Russian News Service (英語). SPIN (2014年9月5日). 2022年7月28日閲覧。
  4. Staff, Guardian (2014年6月9日). From Soviet Union to New East: welcome to our new network (英語). the Guardian. 2022年11月11日閲覧。
  5. “Pussy Riot founder sets sites on Russian media” (英語). Reuters. (2016年5月9日). https://www.reuters.com/article/us-russia-pussyriot-media-idUSKCN0Y01M4 2022年7月28日閲覧。
  6. network, Nikita Sologub for MediaZona, part of the New East (2015年3月9日). Under suspicion: death in a Siberian cell (英語). the Guardian. 2022年7月28日閲覧。
  7. What Life Is Like in a Prison Camp in the Donetsk People’s Republic (英語). www.vice.com (2015年7月20日). 2022年7月28日閲覧。
  8. «Медиазону» заблокировали за освещение войны. Заявление редакции — и наши планы (ロシア語). Медиазона (2022年3月6日). 2022年7月28日閲覧。
  9. Путеводитель по российским медиа времен тотальной цензуры”. Proekt (2022年8月15日). 2022年8月15日閲覧。
  10. «Факт бойни никуда не убрать». Интервью Владимира Зеленского «Медиазоне» (ロシア語). Медиазона (2022年4月21日). 2022年7月28日閲覧。
  11. ローマ教皇に製鉄所の兵士救済訴え 「アゾフ連隊」隊員の妻ら”. www.afpbb.com (2022年5月12日). 2022年7月28日閲覧。
  12. https://twitter.com/mediazona_en/status/1546850146398396424”. Twitter (2022年7月12日). 2022年9月28日閲覧。
  13. Потери России в войне с Украиной. Сводка «Медиазоны» (ロシア語). Медиазона. 2022年8月2日閲覧。
  14. ロシアの戦死者、若年・貧困地出身・少数民族が大半”. www.afpbb.com (2022年5月24日). 2022年8月2日閲覧。
  15. https://twitter.com/mediazona_en/status/1594050461648424960”. Twitter (2022年11月20日). 2022年11月21日閲覧。
  16. (日本語) Российские солдаты отправляют через СДЭК краденные в Украине вещи в РФ. Мозырь, Беларусь, 2.04.2022, https://www.youtube.com/watch?v=6vyY4rnJ7lA 2022年8月2日閲覧。
  17. «Беларускі Гаюн» опубликовал данные солдат-мародёров ВС РФ, которые могут быть причастны к преступлениям на территории Украины”. Motolko.Help (2022年4月4日). 2022年8月1日閲覧。
  18. Карта мародеров. Куда отправились посылки российских военных из Мозыря (ロシア語). Медиазона Беларусь (2022年4月5日). 2022年8月2日閲覧。
  19. Самая полная карта мародеров. «Медиазона» проследила, как военные за три месяца отправили от границы с Украиной 58 тонн посылок (и один «Орлан») (ロシア語). Медиазона (2022年5月26日). 2022年8月2日閲覧。
  20. https://twitter.com/mediazona_en/status/1594050461648424960”. Twitter (2022年11月20日). 2022年11月21日閲覧。
  21. «Рижский бальзам» за год: спасибо, коллеги! Лучшее, что случилось с российской журналистикой в 2015 году по версии «Медузы» (ロシア語). Meduza (2015年12月29日). 2022年11月11日閲覧。
  22. Море скитов. Как гражданка США по совету родственников-староверов приехала «посмотреть Россию» и на 15 лет стала пленницей таежного монастыря — Редколлегия (ロシア語) (2017年3月31日). 2022年11月11日閲覧。
  23. «По селу ходили слухи». Почему на Северном Кавказе женщин убивают их родственники, и как расследуют «убийства чести» — Редколлегия (ロシア語) (2017年7月31日). 2022年11月11日閲覧。
  24. Революция Руслана Д. Как оперативники создали, а затем разоблачили организацию «Новое величие» — Редколлегия (ロシア語) (2018年3月1日). 2022年11月11日閲覧。
  25. Секретные свидетели против «Свидетелей Иеговы». После решения Верховного суда по всей России арестованы уже десятки верующих — Редколлегия (ロシア語) (2018年10月18日). 2022年11月11日閲覧。
  26. «А тела оставьте себе». История восьми приятелей, которых сначала похитили в Дагестане, а затем расстреляли и сожгли в Чечне — Редколлегия (ロシア語) (2018年12月27日). 2022年11月11日閲覧。
  27. Неизвестные убийцы Немцова. Что следствие упустило, расследуя нападение на политика — Редколлегия (ロシア語) (2020年11月30日). 2022年11月11日閲覧。
  28. Латают дыры. Как репрессивное законодательство меняют по следам скандалов, политических процессов и протестов — Редколлегия (ロシア語) (2021年10月31日). 2022年11月11日閲覧。
  29. Самая полная карта мародеров — Редколлегия (ロシア語) (2022年5月31日). 2022年11月11日閲覧。

外部リンク

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