メルー峰


メルー峰(Meru Peak)は、インド ウッタラーカンド州にあるガルワール地方のヒマラヤ山脈の山である。タレイ・サガーとシブリン峰の間にあり、非常に難しいルートがいくつかある。「メルー」という名前は、タミール語の原始語である背骨を意味し、山の形を指していると考えられる。標高は、6,660メートル (21,850 ft) である。2006年6月に、グレン・シングルマンとヘザー・スワンは、メルー峰の6,604メートル (21,667 ft)地点から、当時の世界最高記録(Earthから)となるベース・ジャンピングをおこなった。しかし、その後、 2013年にヴァレリー・ロゾフが、エベレスト北壁からのジャンプを行い記録を更新した[1] [2] [3]

メルー峰
メルー峰の左から右の3つのピーク:南峰、中央峰、北峰。 シャークス・フィン(サメのひれ)は中央の広い雪斜面のすぐ左にある。
標高 6660 m
所在地 Gangotri国立公園, ウッタラーカンド州, インド
位置 北緯30度52分5秒 東経79度1分56秒
メルー峰の位置(インド内)
メルー峰
メルー峰
プロジェクト 山

メルー峰には、3つのピークがある:南峰(6,660メートル (21,850 ft))、中央峰(6,310メートル (20,700 ft) )、北峰(6,450メートル (21,160 ft))。 2つの高いピークは、もっとも難しい中央峰よりも早く登頂されている、すなわち、2001年にヴァレリー・ババノフがソロ登山で最初に登り[4]、さらに2006年には他のチームで2回目の登頂[5]、そして2011年には「シャークス・フィン」ルート沿いで初めて登頂した。

シャークス・フィン・ルート

メルー中央峰への1400メートル[6]の直登ルートは、「シャークス・フィン(Shark's Fin、サメのヒレ)」を越え、北東の石柱 に続いている、この北東壁の巨大な特徴ある花崗岩[7]には、「船首(prow)」、「刀(blade)」、「鼻(nose)」といったように名前が付けられている[8] 。中央峰の頂上近くで最高度のロック・クライミング技術を要するという点が、その登頂難度を並外れたレベルに増大させている、つまり、重い登山用具類をすべて運び上げる必要があるということである。この登攀ルートは、「ヒマラヤ全体で最も登頂が試みられ、最も征服が望まれたルートの1つ」および「大岩壁登山の最後の残課題の1つ」と言われてきた[9]

このルートは、アプローチとして、700mの雪の斜面と岩の斜面を2日間かけ登った後に始まる[8]。次は、難度A4の登攀技術を要する「インド洋の壁(Indian Ocean Wall)」と呼ばれる急勾配のオーバーハングである 。これに続いて、「クリスタル・ピッチ(Crystal Pitch)」があり、このオーバーハングはエイド・クライミングを必要とする。最後のセクションでは、ミックス・クライミングとエイド・クライミングを組み合わせ登攀する。

ルート制覇の試み

1986年にアメリカ人のマグス・スタンプが挑戦したが、低斜面での雪崩により阻止された。1988年に彼は再び挑んだが、長い雪嵐に打ち負かされた[10]

1993年、ポール・プリチャード、ジョニー・ドーズ、ノエル・クレーン、デイブ・ケンダル、フィリップ・ロイドの英国チームが重大な挑戦を行った。このとき、ドーズが登山ブーツを紛失、その後に大きく滑落するトラブルが発生し失敗に終わった[6]

1990年代にも、さらに失敗は続いた、この中には米国有数の高山登山者の一人であるスコット・バックスが含まれる[10]。1997年、ニック・ブロック、ジュール・カートライト、ジェイミー・フィッシャーは、6,100mまでの高さの登攀を達成した[6]

ピート・タケダとデイブ・シェルドンは、1998年、1999年、2001年と3回試みたが、すべて失敗した[11]

2001年、ロシアのヴァレリー・ババノフは、ルート下部の5,800mまで登攀した。さらに、彼は別のルートを経由して、中央峰に登頂したが、同年に[7] そのルートは「シャングリラ(Shangri-La)」[6]として知られるようになった。メルー中央峰が、ルートにかかわらず、登頂されたのはこれが初めてであった[12]

2003年、アメリカ人のコンラッド・アンカー、ダグ・シャボット、ブルース・ミラーが壁の下部まで登攀した後、ルートをそれて氷壁の溝に変更しようとするも、最終的に引き返した[7]

2004年、日本の遠征は、事故によりチームメンバーの1人が負傷したため、失敗した。同じチームが2006年に再び試みたが、登頂するためにシャークス・フィン・ルートを回避した[10]

2006年10月、チェコの登山家マレック・ホレセクとヤン・クライシンガーはこのシャークス・フィン・ルートを試みたが、登頂を成功させるため、より簡単なルートを選び、尾根を途中で離れた[13]

2008年には、チームのコンラッド・アンカー、ジミー・チン、レナン・オズタークは、頂上まであと2ピッチ(150m)以内にまで迫ったが、引き返さざるを得なかった。彼らは激しい嵐に遭い、ポータレッジ(崖に吊るすテント)で4日間足止めされ、食料を使い果たした[8]

2009年、スロベニア人シルボ・カロ 、マルコ・ルキッチ、アンドレイ・グルモフセクは、岩壁の根元で方向転換し、ルート挑戦に失敗した、不十分なギア、順応性の低さ、アルパインスタイルのアプローチが要因であった[8]

初めての成功は、コンラッド・アンカー、ジミー・チン、レナン・オズタークにより、2011年10月に達成された[14]、このメンバーは、さきの2008年に登頂にあと少しまで迫ったチームと同じである。レナン・オズタークは、スキー事故で深刻な脊椎頭蓋骨の負傷を負ったが、そのわずか5か月後にこの登頂をおこなった[15] 。彼らは、ポータレッジの破損、オズタークのケガの後遺症である「軽度の発作」といったトラブルを克服した[16]、成功の主な要因として天気に恵まれたことが挙げられる[8]ギネス世界記録でもメルー中央峰のシャークス・フィン・ルートにおける最初の登頂と認められた[17]。彼らは8日目に山頂に到着し[10] 、それから下山に3日かかった[18]

2015年、長編ドキュメンタリー映画『MERU/メルー』が公開された、コンラッド・アンカーのチームによる2008年と2011年の2つの挑戦が記録されている。それは、元々あとに残すために、ジミー・チン、レナン・オズタークが撮影した映像を含んでいる[18]

参照

  • MERU/メルー 日本公式サイト、シャークス・フィン・ルート登攀の2015年のドキュメンタリー映画

参考文献

  1. Reuters (2013年5月29日). Everest: Valery Rozov records world’s highest base jump – video”. 2017年9月25日閲覧。
  2. Leap from the top of the world”. The Sydney Morning Herald (2006年6月8日). 2011年10月20日閲覧。
  3. Blog by one of the BASE Jump climbing team Archived copy”. 2011年7月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年1月22日閲覧。
  4. Meru Peak: The Gate to the Sky”. The Himalayan Club (via Internet Archive) (2002年). 2011年10月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月20日閲覧。
  5. Japanese Climb Meru Before Czechs”. alpinist.com (2006年11月20日). 2011年10月20日閲覧。
  6. India's Shark's Fin finally climbed”. www.thebmc.co.uk. 2018年7月2日閲覧。
  7. Journal, The Outdoor (2015年8月6日). “Himalaya's Hardest Climb - The Shark's Fin on Meru Central” (英語). The Outdoor Journal. https://www.outdoorjournal.com/focus-2/himalayas-hardest-climb-the-sharks-fin-on-meru-central/ 2018年7月2日閲覧。
  8. Shark's Fin Full Report - Alpinist.com”. www.alpinist.com. 2018年7月2日閲覧。
  9. Bailey, Mark (2017年6月1日). “Jimmy Chin: why climbing Meru Peak is tougher than Everest” (英語). The Telegraph. ISSN 0307-1235. https://www.telegraph.co.uk/health-fitness/body/jimmy-chin-why-climbing-meru-peak-is-tougher-than-everest/ 2018年7月3日閲覧。
  10. “Conquering the Himalaya's Shark's Fin: The First to Climb Mount Impossible” (英語). Men's Journal. (2014年7月9日). https://www.mensjournal.com/features/conquering-sharks-fin-the-first-to-climb-mount-impossible-20140709/ 2018年7月2日閲覧。
  11. Marmot Athlete Pete Takeda | Marmot US (英語). www.marmot.com. 2018年7月2日閲覧。
  12. Meru Peak (英語). The Armchair Mountaineer. 2018年7月2日閲覧。
  13. MERU'S SHARK'S FIN REMAINS UNCLIMBED - Alpinist.com”. www.alpinist.com. 2018年7月2日閲覧。
  14. Shark's Fin Full Report”. alpinist.com (2011年10月17日). 2011年10月20日閲覧。
  15. Kurt, Alex (2015年11月13日). “Climber Renan Ozturk On Injury, Setbacks & Persistence” (英語). GearJunkie. https://gearjunkie.com/climber-renan-ozturk-injury 2018年7月2日閲覧。
  16. “Climbing Film ‘Meru’ Wins Audience Choice at Sundance”. (2015年2月1日). https://www.nationalgeographic.com/adventure/adventure-blog/2015/02/01/climbing-film-meru-wins-audience-choice-award-at-sundance-interview-with-filmmaker-renan-ozturk/ 2018年7月3日閲覧。
  17. American explorers recognised by Guinness World Records for completing the first ever ascent of Meru Peak Shark's Fin”. guinnessworldrecords.com (2016年10月6日). 2016年10月13日閲覧。
  18. “9 Facts About Climbing Mount Meru—And Making a Documentary Out of It” (英語). (2015年8月14日). http://mentalfloss.com/article/67362/9-facts-about-climbing-mount-meru-and-making-documentary-out-it 2018年7月2日閲覧。
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