モノサシトンボ

モノサシトンボ学名Copera annulata (Selys, 1863)[1])は、モノサシトンボ科モノサシトンボ属分類されるトンボの1[2]。本種が別Psilocnemis Selys, 1863)の種として扱われる場合がある[2]

モノサシトンボ
モノサシトンボ♂、愛知県、2013年6月7日
モノサシトンボ♂
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: トンボ目(蜻蛉目) Odonata
亜目 : イトトンボ亜目(均翅亜目) Zygoptera
: モノサシトンボ科 Platycnemididae
: モノサシトンボ属 Copera
: モノサシトンボ C. annulata
学名
Copera annulata (Selys, 1863)[1]

分布

中国朝鮮半島日本に分布する[1][2]

日本では、北海道本州四国九州に広く分布する[1][2][3]小笠原諸島南西諸島での生息は確認されていない[4]

形態

成虫は中型で[5]、イトトンボ亜目の中では大きい[6]。秋に出現する個体は小さい[2]。近縁種のオオモノサシトンボ(学名:Copera tokyoensis (Asahina, 1848))[7]と形態が酷似する[2]部に物差しのような等間隔[8]の環状紋があり[3][9]和名の由来となっている[2][6]。後頭部に青白い斑紋があり[2]複眼は左右に離れていて、複眼の内側に波状の斑紋がある[8]グンバイトンボに似るが、頭に後頭条がない[3]。前と後翅は同じ形で同じ大きさ[10]。翅に黄色と黒の斑紋があり、若い個体の斑紋は赤色[11]

オスの成虫

全長39-50 mm、腹長31-40mm、後翅長18-26 mm[2]。成熟すると斑紋が水色となる[2]。中脚と後脚のは白くやや拡がるが[2][11]、グンバイトンボ程は軍配状にはならない[3]。腹部第9節、10節が青白い[2]。オオモノサシトンボのように斑紋が黒化した個体も時々見られる[2]

メスの成虫

全長38-51 mm、腹長31-41mm、後翅長19-26 mm[2]。黄緑色と水色の個体がいる[2]

ヤゴ

全長は約27 mm[2]。木の葉の3枚の尾は長大な柳葉状で、長さは腹長とほぼ同じ[2]。下スプーン[12]

生態

池のほとりの薄暗い茂みで連結したまま静止するペア

平地から丘陵地にかけて分布する[3]河川の中流域の樹林に囲まれた湿地[3]でよく見られ[13]、岸辺が暗い環境を好む[14]。成熟したオス縄張りを持ち水辺の植物に翅を閉じて[15]静止し、時々周囲を飛翔してメスを探す[16]。他のオスが近づくと追い払う[16]。メスを見つけたオスは連結し、植物に止まって移精と交尾を行う[16]。交尾は午前中に行われることが多い[16]。交尾後連結態のまま水面付近の植物に産卵したり、メス単独で産卵したりする[16]

ヤゴは捕獲されると脚を縮め、U字型に体を曲げて死んだふりをする[2]生物化学的酸素要求量(BOD)が10-20 (mg/l)の汚れた止水の水質環境に生育する[17]

生活史

みどりヶ池(多度山三重県桑名市)の周囲の林床のシダ植物に静止する若いオス(2012年6月13日)

期間は、1-2週間程度[2]幼虫(ヤゴ)期間は4カ月-1年程度(1年1-2世代)[2]。幼虫で越冬する[2]。成虫の主な出現期間は5月末-9月、4月や10-11月に見られることもある[2]

分化系統

グンバイトンボPlatycnemis foliacea)の中脚と後脚のは、モノサシトンボより軍配状に幅が大きく拡がる。

日本産のモノサシトンボ科の種のDNA解析による分化系統図を以下に示す[18]。DNA解析では、モノサシトンボとオオモノサシトンボとには明瞭な差異がない[2]新潟県でモノサシトンボとオオモノサシトンボで種間雑種が確認されている[19][20]

モノサシトンボ科 Platycnemididae

タイワンルリモントンボ(マサキルリモントンボ) Coeliccia flavicauda

リュウキュウルリモントンボ Coeliccia ryukyuensis

グンバイトンボ Platycnemis foliacea

アマゴイルリトンボ Platycnemis echigoana      

モノサシトンボ Copera annulata

オオモノサシトンボ Copera tokyoensis      

種の保全状況評価

国際自然保護連合(IUCN)により、軽度懸念(LC)の指定を受けている[1]。個体数は安定傾向にある[1]

日本では以下の都道府県レッドリストの指定を受けている[21]関東地方で個体数が減少している地域がある[2]

オオモノサシトンボは、環境省で絶滅危惧ⅠB類(EN)、宮城県 絶滅危惧IA類(C)+絶滅危惧I類(EN)、新潟県 絶滅危惧I類(EN)、栃木県 絶滅危惧I類(Aランク)となっており、新潟県では松浜の池を除いて絶滅した。

脚注

注釈

  1. 千葉県のカテゴリー「要保護生物(C)」は、環境省のカテゴリー「絶滅危惧II類」相当。

出典

  1. Copera annulata in IUCN Red List of Threatened Species. Version 2015.3 (英語). 国際自然保護連合(IUCN). 2015年9月23日閲覧。
  2. 尾園 (2012)、92頁
  3. 槐 (2013)、31頁
  4. 井上 (1999)、126-127頁
  5. 尾園 (2012)、6頁
  6. 井上 (1999)、48頁
  7. 尾園 (2012)、94頁
  8. 新井 (2004)、30頁
  9. 日高 (1996)、78頁
  10. 新井 (2001)、161頁
  11. 新井 (2001)、149頁
  12. 井上 (1999)、112頁
  13. 尾園 (2012)、489頁
  14. 尾園 (2012)、507頁
  15. 井上 (1999)、106-107頁
  16. 尾園 (2012)、93頁
  17. 井上 (1999)、6-7頁
  18. 尾園 (2012)、背表紙
  19. 尾園 (2012)、32頁
  20. 尾園 (2012)、99頁
  21. 日本のレッドデータ検索システム「モノサシトンボ」”. (エンビジョン環境保全事務局). 2015年9月23日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
  22. 千葉県レッドデータブック動物編(2011年改訂版) (PDF). 千葉県. pp. 241 (2011年). 2015年9月24日閲覧。
  23. 神奈川県レッドリスト2006、トンボ類”. 神奈川県 (2006年). 2015年9月24日閲覧。
  24. 高知県レッドリスト(動物編)H13.9改訂版 (PDF). 高知県. pp. 4 (2001年9月). 2015年9月24日閲覧。
  25. 「東京都の保護上重要な野生生物種」(本土部)~東京都レッドリスト~2010年版 (PDF). 東京都. pp. 65 (2010年). 2015年9月24日閲覧。

参考文献

  • 新井裕『トンボの不思議』どうぶつ社、2001年6月。ISBN 4886223168。
  • 新井裕『トンボ入門』どうぶつ社、2004年7月。ISBN 4886223281。
  • 井上清、谷幸三『トンボのすべて』トンボ出版、1999年6月1日。ISBN 4887161123。
  • 尾園暁、川島逸郎、二橋亮『日本のトンボ』文一総合出版〈ネイチャーガイド〉、2012年6月19日。ISBN 978-4-8299-0119-9。
  • 日高敏隆(監修) 編『日本動物大百科 昆虫Ⅰ』平凡社、1996年9月。ISBN 4582545580。
  • 槐真史 編『日本の昆虫1400』伊丹市昆虫館監修、文一総合出版〈ポケット図鑑②トンボ・コウチュウ・ハチ〉、2013年5月31日。ISBN 978-4-8299-8303-4。

関連項目

外部リンク

This article is issued from Wikipedia. The text is licensed under Creative Commons - Attribution - Sharealike. Additional terms may apply for the media files.