ヤマハギ

ヤマハギ(山萩[3]学名: Lespedeza bicolor)は、マメ科ハギ属の顕花植物。秋の七草のハギは本種を指す[4][3]。アジア原産で[5][6]、山野にふつうに見られるハギ[4]観賞植物として広く栽培されている。

ヤマハギ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
: マメ目 Fabales
階級なし : バラ類 Rosids
: マメ科 Fabaceae
亜科 : マメ亜科 Faboideae
: Desmodieae
: ハギ Lespedeza
: ヤマハギ L. bicolor
学名
Lespedeza bicolor Turcz.
(1840)[1]
シノニム
和名
ヤマハギ、エゾヤマハギ

本種は、非常に様々な見栄えとなり、品種改良されてきた。日本朝鮮半島中国ウスリーに分布する[7]、日本では北海道本州四国九州に分布し[4]。アメリカ合衆国では、最初に1856年に観賞植物として導入され、その後いく度かにわたって導入されたようである。アメリカ合衆国の南西部のような一部地域では、外来種として、また帰化し野生化している[8]

名称

単にハギともよばれ、ハギといえばヤマハギを表わすこともある[7]。「ハギ」には「萩」の漢字があてられており、これは日本で作られた国字である[7]。古株からよく芽を出すことから、ハギの名には「生え芽」の意味がある[7]。英語では、一般名 shrubby bushclover、shrub lespedeza、bicolor lespedeza でも知られる。

形態・生態

落葉広葉樹[4]。一般に、高さと幅が1 - 3メートル (m) まで育つ直生の小低木[3]、寒冷気候ではより小さくなる[8]。単一の生育期の間に、地表から1.5 mまで成長できる[6]。品種の Little Buddy は3フィート (0.91メートル)に成長し[9]、とヤクシマでは1.5フィート (0.46メートル)[10]、本種はしっかりした根系から育つ。樹皮は淡赤褐色で、皮目が縦のすじに並ぶ[11]は直径3センチメートル (cm) となりえる。細い小枝が多数出て、枝には稜と毛がある[11]。枝はほとんど垂れないので、枝が下垂するミヤギノハギとは区別がつく[4][3]3出複葉で、小葉は広楕円形または広倒卵形で長さ5 cmまで、裏面は微毛があり、白色を帯びる[3]。秋は黄葉し、黄色から褐色に色づく[3]。母種はエゾヤマハギで、ヤマハギの葉はややとがる[3]

花期は6 - 9月[4]花序は、葉のつけ根から長い柄を出して、エンドウのような総状花序となり[8]、長さ12 - 15ミリメートル (mm) の蝶形の紅紫色の花を10個ほどつける[4][3]。花のの先が丸い[12]。果期は10 - 11月[3]。実は長楕円形の約1 cmの豆果で、種子は1粒入る[4]

冬芽は互生し、楕円形で褐色をしている[11]。冬芽を包む芽鱗は、内側に白い毛が密生する[11]。冬芽のわきに托葉が残り、葉痕は半円形で維管束痕は不明瞭である[11]。冬に枯れる枝も多いが、黒ずんだ果実や花序軸、葉をつけて残る枝もある[11]

利用・文化

日本での利用としては、観賞用に庭木や公園樹としてよく植えられ[11]茶花として好まれる[4]。マメ科で栄養価が高く、放牧で食べられてもすぐに芽を出して再生力が強いことから、古くは家畜の飼料としても用いられた[12]。ヤマハギの葉は、茶葉の代用とされ茶にされることがある[13]。花が咲き終わる時期に根を掘り、根を水洗いし適当な大きさに刻み日干しにし、婦人のめまい、のぼせに対し、3 - 5グラムを水を加え半量まで煮詰めることで煎じて飲む[14]

日本現存で最古の和歌集『万葉集』で詠まれている植物の一つで、その中でもハギが一番多く詠み込まれている[7]。『万葉集』では、秋の到来を告げる花として詠まれ、うち23種は鹿と組み合わされている[7]花札では、ハギはと一緒に描かれている[12]。ヤマハギの花言葉は、「思案」「内気」とされる[7]

葉にジメチルトリプタミン (DMT) を含有することが確認されている[15]。根にジメチルトリプタミン (DMT)、クレアチニンエリオジクチオールが含まれる[14]

出典

  1. 米倉浩司・梶田忠 (2003-). Lespedeza bicolor Turcz.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年3月25日閲覧。
  2. 米倉浩司・梶田忠 (2003-). Lespedeza bicolor Turcz. f. acutifolia auct. non Matsum.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年3月25日閲覧。
  3. 西田尚道監修 学習研究社編 2000, p. 230.
  4. 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 213.
  5. "Lespedeza bicolor". Germplasm Resources Information Network (GRIN). Agricultural Research Service (ARS), United States Department of Agriculture (USDA). 2011年11月25日閲覧
  6. Lespedeza bicolor. Missouri Botanical Garden. Retrieved 09-16-2017.
  7. 田中潔 2011, p. 149.
  8. Gucker, Corey L. (2010) Lespedeza bicolor. In: Fire Effects Information System, [Online]. U.S. Department of Agriculture, Forest Service, Rocky Mountain Research Station, Fire Sciences Laboratory. Retrieved 2011-11-25.
  9. Lespedeza bicolor. Missouri Botanical Garden. Retrieved 2017-09-16.
  10. Lespedeza bicolor. Missouri Botanical Garden. Retrieved 2017-09-16.
  11. 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 190.
  12. 辻井達一 2006, p. 94.
  13. 落合雪野「茶外の茶 嗜好品と医薬品のはざまで」『東洋文化研究所紀要』第164号、2013年12月24日、62-98頁、doi:10.15083/00026847
  14. 岡田稔・監修『原色牧野和漢薬草大圖鑑』(新訂版)北隆館、2002年、220頁。ISBN 4-8326-0810-X。
  15. 後藤実、野口友昭、渡邊武「植物中の子宮収縮成分の研究 その2 ヤマハギ中の子宮収縮成分について」『生薬学雑誌』第78巻第5号、1958年、464-467頁。

参考文献

  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、190頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
  • 田中潔『知っておきたい100の木:日本の暮らしを支える樹木たち』主婦の友社〈主婦の友ベストBOOKS〉、2011年7月31日、149頁。ISBN 978-4-07-278497-6。
  • 辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社〈中公新書〉、2006年2月25日、94 - 98頁。ISBN 4-12-101834-6。
  • 西田尚道監修 学習研究社編『日本の樹木』学習研究社〈増補改訂ベストフィールド図鑑 5〉、2000年4月7日、230頁。ISBN 978-4-05-403844-8。
  • 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、213頁。ISBN 4-522-21557-6。

外部リンク

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