ラモン空港

ラモン空港(ラモンくうこう、ヘブライ語: נמל התעופה רמוןアラビア語: مطار رامون英語: Ramon Airport(IATA: ETM, ICAO: LLER))は、イラン・ラモーンアサフ・ラモーンに因んで命名され、非公式にはエイラート・ラモン空港としても知られる国際空港で、イスラエル南部地区にあるティムナ渓谷に位置している。イスラエルではベン・グリオン国際空港に次いで交通量の多い空港であり、それまで旧エイラート空港オブダ国際空港が担っていた民間機の発着を引き継いでいる。この空港はまた、イスラエルにおける主要な迂回空港となっている。

ラモン空港
נְנמל התעופה רמון
لواء الجنوب
Ramon Airport
ラモン空港
IATA: ETM - ICAO: LLER
概要
国・地域 イスラエルの旗 イスラエル
所在地 イスラエルの旗 イスラエル 南部地区
母都市 エイラート
種類 民間
運営者 イスラエル空港庁
座標 北緯29度43分25.3秒 東経35度00分41.1秒
公式サイト iaa.gov.il
地図
ETM/LLERの位置(イスラエル内)
ETM/LLER
ETM/LLER
滑走路
方向 長さ (m) 表面
01/19 3,600 ?
出典:
Source:[1]
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空港の一覧

この空港は、エイラートから北へ 18km、ベール・オラに隣接する位置にある。エイラートにあった旧空港とは異なり、この空港にはエプロンの空間が豊富にあり、従来より長い3600mの滑走路があって、より大型の機材が離着陸、駐機できるようになっている。この空港は、当初の予定では2017年4月に開港するはずだったが[2][3]、開港は遅れ、2019年1月21日に開港した。アイルランド格安航空会社ライアンエアーが、ボーイング737-800の機材を用いてポーランドポズナン=ワヴィツァ空港から最初の国際線を就航させたのは、2019年3月4日のことだった[4][5][6][7]

沿革

管制塔
ラモン空港の飛行機

背景

エイラート空港は、1949年に開港したが、当時はまだ後に市街地となる地域の大部分は空き地であった。市街地が開発されていくにしたがって、空港周辺も市街地化が進んだ。1994年イスラエル・ヨルダン平和条約が締結されると、航空機の運航はエイラート空港から、ヨルダンアカバ空港に移されることとなった。当初の計画では、アカバ空港を改称してアカバ=エイラート平和国際空港 (Aqaba–Eilat Peace International Airport) とすることになっていた[8]。しかし、この合意は実現せず、1997年3月の両国間の合意に基づいて、国内線は引き続きエイラート空港を使用することとされたが、国際線については、それ以上の決定はなされなかった[9]。それにもかかわらず、ラモン空港の建設は、ヨルダン側から見れば1990年代における空港共用の約束を踏みにじるものと映り、ヨルダンを怒らせることとなった[10][11]

エイラートの更なる発展のためには、空港を市街地中心部から遠ざけることが必要だと考えられたが、これは、そうすれば沿岸部に近い位置にホテルを追加して建設できると見られたためであった。空港の移設は、騒音対策にもなるとされた。空港移転は、市のより広範囲な開発計画の一環とされ、エイラート港をヨルダンとの国境近くに移設する計画(そのためには空港の移転が必須であった)、テルアビブ=エイラート高速鉄道計画公道90号線の改修なども含まれていた[12]

この空港は、イスラエル最初の宇宙飛行士で、コロンビア号空中分解事故で死亡したイラン・ラモーンと、その息子で6年後にF-16 戦闘機の訓練飛行中の墜落事故で死亡したアサフ・ラモーンに因んで命名されている[13][14][15]

計画と建設

南部地区の計画建設委員会 (Planning and Construction Committee) は、新空港建設プロジェクトを2003年に承認し[16]、さらに高次計画は2010年7月にイスラエル政府によって承認された[13]

建設は2011年7月24日に認可されたが、これは高次計画が完成するより先んじていた[17]。プロジェクトに見込まれた費用は 19.5億新シェケル[18]、 費用の一部はエイラート空港の敷地を売却して賄われた[17]2010年5月6日に承認された計画予算は、5600万新シュケルであった[19]。当初は空港を一括事業請負後譲渡方式 (BOT) で建設することも検討されたが、イスラエル空港庁 (IAA) が反対し、政府も空港庁が計画管理に当たることを認めた[17]。こうした経緯にもかかわらず、もしIAAが全ての事業を自身の予算で賄ったなら、赤字となって破綻することが見込まれた[18]Danya Cebus が、旅客ターミナルの建設業者に選ばれた[20]。このターミナルには、事実上国内線の空港だったエイラート空港にはなかった免税店が設けられた。Mer Group は、空港内の監視カメラや敷地周辺の防護策など管理設備を提供した[2]

2013年5月、礎石を置く起工式が、政府関係者やラモーン家の人々が出席して執り行われた。実際の建設作業は、その2週間後から始まった[21]

最初にテスト飛行で飛行機が着陸したのは、2017年9月5日であった[22]2019年1月には、ヨルダンがイスラエルによるこの空港の開港に反対し、新空港の運用はヨルダンの空域への脅威となる、と主張した[23]

オブダ国際空港は、もともと空軍基地として建設され、今もその機能を保っているが、エイラート空港の施設が大型機に対応できなかったため、2010年代にはイスラエル南部地区にとって国際線の主要空港となっていた。しかし、ラモン空港の開港後は、オブダにおける民間機の運用は閉鎖された。

設備

この空港は、エイラートの北、18km に位置している[19]公道90号線が通っているほか、将来の計画としては、イスラエル中部地区やエイラートから、高速鉄道計画や、ライトレールで市街地と結ぶことも構想されている。空港に隣接して、バスターミナルとパークアンドライド施設が、4億新シュケルの費用をかけて建設されている。このバスターミナルは、エイラートの中央バス駅に取って代わるものである[24]。 2019年に空港が開港した際には、まだ新しいバス停留所が完成していなかったため、空港をエイラート市街地を結ぶシャトルバスが旅客のために用意されていた[25]。いずれにしろ、この空港は、年間200万人の旅客を処理する能力を備えている[2]

この空港は、3,600mの滑走路と、大型機なら8機、ターボプロップ機なら9機が駐機できる駐機場を備えている[13]。空港の敷地は、5,500ドゥナム (5.5 km2)であり、主要なターミナルの建物は 45,000 m2 (480,000 sq ft)の広さをもっている[26]。この空港には、世界で最も高いとされる 26 m (85 ft) の対ミサイル・フェンスが、全長4.5kmにわたって張り巡らされている[27]。滑走路は、年間200万人規模の空港としては例外的に長いが、これはひとつには周囲が砂漠で土地収用が容易だったことにもより、もうひとつには迂回空港としての機能を果たすために、ベン・グリオン空港に飛来するあらゆる種類の機材に対応可能にしてあるためでもある。これによって、ベン・グリオン空港を目指して飛行してきた飛行機が、イスラエル国外の迂回ルートを取った場合に生じる様々な問題を回避できるわけである。

就航航空会社と就航地

以下の航空会社は定期便を就航させており、この他にもチャーター便がラモン空港に就航している[28]

航空会社就航地
イスラエルの旗 アルキア・イスラエル航空[29] テルアビブ
イスラエルの旗 イズレール航空テルアビブ
オランダの旗 トランサヴィア[30]季節便: パリ=オルリー空港

脚注

  1. Eilat/Ilan & Assaf Ramon International Airport – Declaration and General Information”. Israel Airports Authority (2016年2月9日). 2016年8月27日閲覧。
  2. Yeshayahu, Kobi (2016年8月26日). “Mer Group will Build Command and Control Center in Timna Airport” (ヘブライ語). Globes. http://www.globes.co.il/news/article.aspx?did=1001148396 2016年8月27日閲覧。
  3. JNS.org (2015年3月13日). “IDF Outlines Defense of Southern Airport, Braces for Islamic State-Linked Attack”. Algemeiner. http://www.algemeiner.com/2015/03/13/idf-outlines-defense-of-southern-airport-braces-for-islamic-state-linked-attack 2016年8月27日閲覧。
  4. “New Eilat airport to open April 2018”. Globes. (2017年12月12日). http://www.globes.co.il/en/article-new-eilat-airport-to-open-april-2016-1001215366
  5. Eilat Ramon Airport Guide”. 2017年7月1日閲覧。
  6. Noam, Rotem (2018年5月23日). “צה"ל חושף: הגדר הגבוהה בעולם [The IDF Presents: The World's Tallest Fence] (ヘブライ語). https://www.ereverev.co.il/article.asp?id=36225 2018年6月18日閲覧。
  7. Blumental, Itay (2018年12月12日). “השער האווירי הבא: נמל התעופה "רמון" ייחנך בחודש הקרוב [The Next Aerial Gate: Ramon Airport to Be Inaugurated in the Coming Month]. Ynet. https://www.ynet.co.il/articles/0,7340,L-5437207,00.html 2019年1月2日閲覧。
  8. Ben Hussein, Mohammad (1999年7月8日). Jordan, Israel Agree to Construction of Aqaba-Eilat Airport”. 2007年9月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年4月9日閲覧。
  9. Eilat to Maintain Internal Flight Service”. Israel Business Today (2007年3月15日). 2012年10月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年4月9日閲覧。
  10. “Israel's New Airport is Angering Jordan, a Rare Friend in the Region”. Haaretz. https://www.haaretz.com/opinion/.premium-israel-flying-in-the-face-of-jordanians-1.5297285
  11. “Airport planned for Israel-Jordan border clouds neighborly ties | Reuters”. (2016年6月22日). https://www.reuters.com/article/us-israel-jordan-airport-idUSKCN0Z81KD
  12. Gil, Yasmin (2011年7月18日). Is This What Will Save the City's Decline? The Prime Minister Assembled Ministerial Committee for Eilat Development (ヘブライ語). 2012年4月9日閲覧。
  13. “Timna Airport to be Named After Ilan and Assaf Ramon” (ヘブライ語). Ynet. (2010年7月18日). http://www.ynet.co.il/articles/0,7340,L-3921515,00.html 2012年4月9日閲覧。
  14. Timna Airport, Israel deot. Transport, retrieved 28/04/2012
  15. Boudreaux, Richard (2009年9月14日). “Israel pilot Assaf Ramon, astronaut's son, dies in F-16 crash”. Los Angeles Times. http://articles.latimes.com/2009/sep/14/world/fg-israel-crash14 2015年4月1日閲覧。
  16. Alternative Airport in Eilat Area (ヘブライ語). Israel National News (2003年3月5日). 2012年4月18日閲覧。
  17. Gil, Yasmin (2011年7月24日). he:הממשלה אישרה: נמל תעופה בינלאומי יוקם בתמנע [The Government Approved: International Airport to be Built in Timna] (ヘブライ語). Calcalist. 2012年4月9日閲覧。
  18. Bar-Eli, Avi; Blumenkranz, Zohar (2013年2月26日). “Israel Airports Authority Will Lose ₪9.4 Billion From Operating Timna Airport” (ヘブライ語). TheMarker. http://www.themarker.com/dynamo/1.1937981 2013年2月26日閲覧。
  19. Shihor-Aharonson, Anat (2010年5月6日). Green Light for Building the New Airport in Timna (ヘブライ語). nrg Maariv. 2012年4月9日閲覧。
  20. “Danya Cebus Wins Ramon Airport Tender” (ヘブライ語). Globes. (2015年3月8日). http://www.globes.co.il/en/article-danya-cebus-wins-ramon-airport-tender-1001016396 2015年3月8日閲覧。
  21. “Construction on Israel's New International Airport Takes Off – Features – Haaretz”. Haaretz. http://www.haaretz.com/news/features/construction-on-israel-s-new-international-airport-takes-off.premium-1.526442 2016年8月28日閲覧。
  22. הדר, רעות (2017年9月5日) (ヘブライ語). Arutz 7. http://www.inn.co.il/News/News.aspx/354596+2017年9月5日閲覧。
  23. Jordan hits out at Israel's new Red Sea airport”. AFP (2019年1月21日). 2019年6月1日閲覧。
  24. Bar-Eli, Avi; Blumenkranz, Zohar (September 5, 2010). “Light Rail Will Connect Timna Airport to Eilat and Taba Terminal” (ヘブライ語). TheMarker. http://www.themarker.com/realestate/1.580497 2012年4月9日閲覧。.
  25. How to get from Ramon Airport to Eilat, How to get from Ramon Airport to Eilat, retrieved 14/08/2016
  26. Shemer, Hila. [Israel's Southern Gateway: Eilat–Ramon Airport Takes Off] (ヘブライ語). XNet. https://xnet.ynet.co.il/articles/0,7340,L-5450387,00.html 2019年2月2日閲覧。
  27. Ahronheim, Anna (2018年5月17日). “State of the art smart fence to protect future airport, Jordanian border”. The Jerusalem Post. https://www.jpost.com/Israel-News/State-of-the-art-smart-fence-to-protect-future-airport-Jordanian-border-557722 2018年7月5日閲覧。
  28. Online Flight Timetable”. iaa.gov.il. 2023年11月27日閲覧。
  29. Raz-Chaimovich, Michal (2019年1月20日). “Can Ramon Airport breathe new life into Eilat?”. Globes. https://en.globes.co.il/en/article-can-ramon-airport-breathe-new-life-into-eilat-1001269663/
  30. Transavia ouvre ses ventes hiver”. tourmag.com. 2023年11月27日閲覧。

関連項目

外部リンク

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