ランセット (航空機)

ZALA ランセット: ZALA Ланцет : ZALA Lancet)(正式名称:Item 52/Item 51)[1]は、ロシアザラエアログループが開発した無人攻撃機 (徘徊型兵器)。2019年6月にモスクワで開催されたARMY-2019軍事博覧会で初めて公開された[2][3]。これは、ZALA KYB をさらに強化し発展させたものである[4]欧米中東メディア・軍事企業はその特徴から「神風ドローン」という名称を使用していることがある[5][6]

ランセット (航空機)

ARMY2020にて

ARMY2020にて

概要

正面図

開発理由はランセット開発前に開発された徘徊型兵器である「KUB-E」が関係していると思われている。KUB-Eはランセットと比べても形が違うほか、一部の顧客からの搭載された「電子機器とオペレータコンソールをより進化させるべき」というクレームがもとになってランセットは開発されたという考え方があり恐らくこれがランセット開発理由である[7]

形は円筒形の胴体の前後に2対のX字型の翼が取り付けられており、前方にプロペラが付いた牽引式とは異なり、後ろにプロペラが付いた推進式が採用されている[8]

ランセットは偵察と攻撃の両方の任務に使用できる。最大航続距離は40キロメートルで、最大離陸重量 (MTOW) は最大12キログラム。戦闘モードでは、高性能爆薬(HE)またはHEフラグメンテーション弾頭のいずれかで武装することが可能で光電子ガイダンスとTVガイダンス ユニットを備えており、飛行の最終段階で弾薬を制御することができる[9]。ドローンは、インテリジェンス、ナビゲーション、および通信モジュールを備えている。ザラエアロのチーフ デザイナーである Alexander Zakharovによると、ランセットはいわゆる「エアマイニング、航空爆雷」の用途に使用できるという。この用途で使用される場合には最高時速300kmで急降下し、飛行中の敵の無人攻撃機(UCAV)を襲撃する。また、ラプター級哨戒艇のような地上または海上プラットフォームからカタパルト ランチャーを介して発射できる[10]。無人機は電気モーターによって駆動される[11]

運用

ランセットは少なくとも2020年11月以降、シリア内戦へのロシア軍の介入中にシリアで戦闘試験が行われている[9] 。2021年4月には、イドリブ県でタハリール アル シャムに対する攻撃を行った[10]

2022年6月8日、ロシアの防衛企業ロステックは、ウクライナ侵攻にランセットとKUBドローンが配備されたと発表した[12]。1か月後、ウクライナでの実戦映像が公開された[4]。2022年後期、ランセット ドローンが防空システム、自走榴弾砲戦車、軍用トラックなど、さまざまなウクライナの軍事目標を攻撃している様子を示す複数の動画がインターネット上に公開された。損傷または破壊された目標の中には、S-300ミサイルシステム、9K37M1-2ミサイルシステム、T-64、西側から供給されたM777 155mm榴弾砲および FH70榴弾砲M109 155mm自走榴弾砲AHSクラブ自走式榴弾砲カエサル 155mm自走榴弾砲が確認されている[13][14][15]。2022年11月4日、ウクライナ海軍のギュルザ-M級砲艦がランセットによって損傷を受けた[16][14]

2023年2月、数少ないウクライナのT-84に対して損傷を与えた。2023年3月、イギリスが供給したストーマーHVKが初めてランセットに攻撃された。イランのシャヘド136がウクライナのエネルギーインフラに対して使用されているのに対し、ランセットは通常、偵察用無人機によって発射前に位置を特定された、価値の高い軍事目標に対する精密な戦場兵器として使用されている。ランセットは多くのウクライナの標的に命中したことが記録されているが、多くの失敗も確認されている。また命中しても確実に倒せるわけではなく、修復可能な小さなダメージを与えることもある。ロシアの無人偵察機は輸入電子機器に依存しており、代替品を見つけるのが困難であるため、ロシアは国際的な制裁によりランセットを大量に生産することを妨げられている可能性がある。

オランダのオープンソース情報サイトであるOryxによると、ランセットは戦争中にウクライナの標的に対して100回以上の命中を記録した。標的のほとんどは牽引砲と自走砲システムであった[17]

2022年春以降、ウクライナ軍はランセットからの防御策として、砲の周りに金網フェンス、金網、さらには木製の丸太を使用して、防衛することを余儀なくされている。2023年1月には撮防衛陣地によって爆発に失敗したランセットの画像が流出している。また、ウクライナ軍はランセットを混乱させるために、囮として膨張式のものやHIMARSを見立てた木製車両を使用している[18][19]

2023年4月18日、ドニプロ川でウクライナの巡視船がランセットに攻撃され撃沈されたという報道がなされた[20]

バリエーション

ランセット-3
原型タイプで大型のバリアント。飛行時間40分、最大積載量3kg、MTOW12kg、最高速度は時速80~110km[3][10]
ランセット-1
ランセット-3の小型化バージョン。飛行時間30分、最大積載量1kg、MTOW5kg[3][10]

ウクライナ侵攻

ウクライナ侵攻でのロシア軍は、アップグレードされたランセットを使用している。アップグレードされたものは飛行時間が1時間延長され、ランセット3より炸薬が少なくとも2kg多い5kg以上のより強力な弾頭を使用している。ランセットは、榴弾またはサーモバリック弾頭で兵員を攻撃したり、成形炸薬 (HEAT)弾頭で装甲車両を攻撃するために使用されている[21][22]。アップグレードされたバリエーションはイズデリエ51と指定され、3kgの弾頭を備えたオリジナルのものはイズデリエ 52 と指定されており、2023年3月の時点でより大きな弾頭と新しいEO誘導システムでアップグレードされたと伝えられている[23][24]

運用国

脚注

出典

  1. ЦАМТО / / ZALA: тренажер барражирующих боеприпасов «Изделие-52/51» может моделировать любые боевые миссии”. armstrade.org. 2023年4月30日閲覧。
  2. Kalashnikov presented precision UAV weapon system ZALA Lancet”. ruaviation.com (2019年6月25日). 2023年4月30日閲覧。
  3. Army 2019: ZALA Aero unveils new loitering munitions”. armyrecognition.com (2019年7月1日). 2023年4月30日閲覧。
  4. 1st Footage Of Russia's Kamikaze 'Suicide' Drone Emerges; Loitering Lancets Bust Ukraine's 'Western Armory'”. eurasiantimes.com (2022年7月23日). 2023年4月30日閲覧。
  5. ロシア製神風ドローンによるシリアでの攻撃「まるで空中の地雷原」(佐藤仁) - 個人”. Yahoo!ニュース. 2023年4月30日閲覧。
  6. 1st Footage Of Russia’s Kamikaze ‘Suicide’ Drone Emerges; Loitering Lancets Bust Ukraine’s ‘Western Armory’”. EurAsian Times. 2023年4月30日閲覧。
  7. ザラとそのランセット弾薬”. TOP WAR. 2023年4月30日閲覧。
  8. Russians destroy first German Gepard anti-aircraft gun system in Ukraine with Lancet drone | Ukraine - Russia conflict war 2022 | analysis focus army defence military industry army”. www.armyrecognition.com. 2023年4月30日閲覧。
  9. Zala Lancet”. deagel.com. 2023年4月30日閲覧。
  10. Russian Lancet loitering munitions tested in Syria”. armyrecognition.com (2021年4月21日). 2023年4月30日閲覧。
  11. Zala Lancet”. 2023年4月30日閲覧。
  12. Kamikaze drones successfully used in Russia's special operation in Ukraine — defense firm”. TASS (2022年6月8日). 2023年4月30日閲覧。
  13. Russian Videos Reveal New Details Of Its Loitering Munitions”. forbes.com (2022年11月4日). 2023年4月30日閲覧。
  14. Discover Russian Lancet suicide drones used to strike Ukrainian land and naval targets”. armyrecognition.com (2022年11月4日). 2023年4月30日閲覧。
  15. Donetsk pro-Russians post video showing destruction of first CAESAR howitzer of Ukrainian army”. armyrecognition.com (2022年11月16日). 2023年4月30日閲覧。
  16. Russian loitering munition Lancet hits Ukrainian Gyurza M class gunboat for first time”. navyrecognition.com (2022年11月4日). 2023年4月30日閲覧。
  17. Russia's kamikaze drones demonstrate highly effective in Ukraine”. defence-blog.com (2023年3月4日). 2023年4月30日閲覧。
  18. Amos Chapple (2023年4月18日). The Makeshift Armor Of The Ukraine War”. rferl.org. 2023年4月30日閲覧。
  19. Inflatable tanks and wooden HIMARS: Fake, but work exceptionally well”. europeantimes.news (2023年4月19日). 2023年4月30日閲覧。
  20. Russian loitering munition destroys Ukrainian boat on Dnipro River”. navyrecognition.com (2023年4月18日). 2023年4月30日閲覧。
  21. ЦАМТО: Российская армия начала применять на Украине барражирующие боеприпасы «Ланцет» с усиленной БЧ [Russian army began to use Lancet loitering munitions with enhanced warheads in Ukraine] (ロシア語). armstrade.org. 2023年4月30日閲覧。
  22. Russia's Mod Releases Video of Kamikaze Drone Strikes against Ukrainian Troops”. 2023年4月30日閲覧。
  23. ЦАМТО / / Российские войска отработали на Украине первую беспилотную разведывательно-ударную систему”. armstrade.org. 2023年4月30日閲覧。
  24. ЦАМТО / / Барражирующие боеприпасы «Ланцет», модернизированы по опыту применения в рамках СВО на Украине”. armstrade.org. 2023年4月30日閲覧。

関連項目

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