リュウキュウコザクラ
リュウキュウコザクラ Androsace umbellata は草地に生える小柄な草本。その形はサクラソウの仲間に似ているが花は小さくてあまり目立たない。サクラソウ科ではあるがサクラソウ属ではない。
| リュウキュウコザクラ | ||||||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
リュウキュウコザクラ | ||||||||||||||||||||||||
| 分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||
| 学名 | ||||||||||||||||||||||||
| Androsace umbellata (Lour.) Merr. (1919) | ||||||||||||||||||||||||
| 和名 | ||||||||||||||||||||||||
| リュウキュウコザクラ |
特徴
小柄な草本で1年生、ないし2年生[1]。葉は根出葉となっており、伸びる茎は花茎だけである。根出葉は小さく、葉身は卵円形で長さ5-12mm、先端は鈍くとがるか丸くなっており、基部側は左右真っ直ぐかややくぼみ、縁には浅い鋸歯がある。葉質は薄く、両面共に柔らかな毛がまばらに生える[2]。葉柄は長いもので3cm程になる。根出葉は10-30個ほど出る。 全体に多細胞からなる開出する軟毛がある[3]。
花茎は根出葉の出る中心から2-4本出て、長さは5-15cm。花序は散形花序で、花茎の中ほどのところに苞が輪生状につき、それぞれの腋から花軸が出てその先端に1つずつ花が付く[2]。苞の形は卵形から披針形で先がとがり、1本の花茎から出る花は3-8個である[4]。花茎の上の方には白くて短い毛がある。直接に花に続く花柄は糸状に細く、長さ2-4.5cm。萼は杯型[4]で5片に深く裂け、星のような形に平らに開いてその径は5-6mm。裂片は倒卵状長楕円形で長さ3m、先端は鋭く突き出して鈍く尖り、少々毛があり突出した脈が3本出る。またこの大きさは花が終わった後にやや大きくなる。花冠は白で径4-5mm、裂片は長楕円形。形は高杯型で基部は筒状になっているがその部分は短くて萼の外に出ない[4]。雄しべは5本、短くて糸状、蒴果は径4mm、上の部分だけが5つに裂ける[5]。
別名にはコケサクラソウがある[3]。
全体の形
根出葉がロゼットを形成
花茎の先端部
輪生する苞と花柄
単独の花
分類など
最初、誤ってモウセンゴケ属の植物として記載された[3]。その時の学名は Drosera umbellata Lour. 1790 である[7]。
本種の属するトチナイソウ属には150種ほどが知られ、北半球の主に寒帯域に生えるもので、本種のように南に分布域を持つものは珍しい[8]。同属の日本産のものとしてはトチナイソウ A. chamaejasme subsp. capitata があるが、これは多年生で茎が横に這い、また高山に生育するものである。他に近年侵入した外来種にサカコザクラ A. filiformis があり、これは本種に似ているが1つの花茎から20個もの花をつけ、また個々の花は径2--3mmとかなり小さいもので、ユーラシア大陸北部と北アメリカ大陸の原産で、今は北海道や本州でまれに発見される。
保護の状況
環境省のレッドデータブックでは指定されていない[9]。日本本土においては分布域の各県で指定がある。沖縄県では指定されていないのは、ごく普通種だからであろう。なお、徳島県と佐賀県では絶滅種とされている。
出典
参考文献
- 初島住彦 『琉球植物誌』追加・訂正版、(1975)、 沖縄生物教育研究会
- 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他『日本の野生植物 草本III 合弁花類』,(1981),平凡社
- 大橋広好他編、『改訂新版 日本の野生植物 4 アオイ科~キョウチクトウ科』、(2017)、平凡社
- 北村四郎他、『原色日本植物図鑑・草本編 I』改訂66刷、(1994)、保育社
- 立石庸一、「トチナイソウ」:『朝日百科 植物の世界 6』、(1997)、朝日新聞社、:p.12-14
