三太郎の日記
概要
著者が東京帝国大学卒業のころ(1911)から雑誌・新聞に書いていた自我や理想についての感想批評の小編を集めたもの。
暗愚な三太郎が自己の行為や情操や想念を、少しも飾らず仮借せず、理想に照らして究明する。その誠実な姿勢と鋭利な思弁とは、従来に例をみない魅力で、一世を風靡(ふうび)し、ほとんど30年にわたって(第二次世界大戦まで)、教養ある若者の必読の書となった。
著者の人間観は行動的、芸術的な混沌(こんとん)を含み、それを分析処理するのは西洋的論理の整然たるものであったから、結果として赤裸々な自己告白が、堅固な欧文脈によって男らしく迫ってくるのである。自己の内面から発するものに究極の価値を置く、著者後年の「人格主義」の源泉はここにあるが、また近代日本の文体の主流をなす欧文脈の完成と定着がここにみられることに注目すべきである。
参考文献
- 阿部次郎『三太郎の日記』東雲堂書店、1914年。 NCID BN11789885。
- 阿部次郎『三太郎の日記』岩波書店、1915年。 NCID BA52107248。
- 阿部次郎『三太郎の日記 : 合本』岩波書店、1918年。ISBN 4000091018。 NCID BN0986198X。
脚注
- 小室弘毅「阿部次郎『三太郎の日記』における教養の問題 : 唐木順三の教養派批判の再検討」『東京大学大学院教育学研究科紀要』第40巻、東京大学大学院教育学研究科、2001年、17-26頁、doi:10.15083/00031536、hdl:2261/917、ISSN 13421050。
- 阿部次郎 1914.
- 阿部次郎 1915.
- 阿部次郎 1918.
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