予算 (日本)
国家予算
内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない(日本国憲法第86条)。
政府活動による分類
成立時期による分類
予算の内容
予算は、予算総則、歳入歳出予算、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為からなる(財政法第16条)。
- 予算総則
- 予算総則とは、歳入歳出予算、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為に関する総括的規定のほか、公債や財務省証券の発行限度額、公共事業費の範囲、予算執行に関する必要事項など、予算の総括規定が盛り込まれる(財政法第22条)[7]。
- 歳入歳出予算
- 継続費
- 国は、工事、製造その他の事業で、その完成に数年度を要するものについて、特に必要がある場合においては、経費の総額及び年割額を定め、予め国会の議決を経て、その議決するところに従い、数年度にわたつて支出することができ、これを継続費という(財政法第14条の2 5箇年以内)。
- 繰越明許費
- 歳出予算の経費のうち、その性質上又は予算成立後の事由に基き年度内にその支出を終らない見込のあるものについては、予め国会の議決を経て、翌年度に繰り越して使用することができ、これを繰越明許費という(財政法第14条の3)。
- 国庫債務負担行為
- 国庫債務負担行為とは、支出の可能性のある債務を負担する権限を求める行為であり、予め予算を以て、国会の議決を経なければならない(財政法第15条 5箇年以内)[9]。
一般会計予算、特別会計予算、政府関係機関予算のそれぞれが、予算総則、歳入歳出予算、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為からなっている[10]。
予算の編成
予算の編成とは、国会の議決を得るために内閣が提出する予算案の立案作成のための作業をいう[11]。
予算の審議

衆議院には予算先議権があり、予算は、先に衆議院に提出しなければならない(日本国憲法第60条第1項)。衆議院本会議では財務大臣による財政演説が行われ、同日中に参議院本会議でも財務大臣による財政演説が行われる[11](政府四演説の記事を参照)。
予算先議権を持つ衆議院において、予算案は衆議院予算委員会に付託され審議が行われる[11][13]。その後、予算案は衆議院本会議で委員長報告を経て議決される[11][13]。
予算の成立
予算は原則として衆議院での議決と参議院での議決を経て成立する。
参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が衆議院の可決した予算を受け取った後、国会休会中の期間を除いて30日以内に議決しないときは、衆議院の議決が国会の議決となる(日本国憲法第60条第2項)。
予算の執行
予算の成立により内閣から各省庁の長に対して執行すべき歳入歳出予算が配賦され支出可能額が割り当てられる[11][14]。
歳出予算の執行は、支出原因となる契約行為である支出負担行為と、小切手や現金による支払いを行う支出行為に分けられる[15]。支出負担行為は実施計画を作成して財務大臣の承認を得る必要がある[14]。支出行為は四半期ごとに作成して財務大臣の承認を得る必要がある[16]。実際には国庫預託金制度により支出は全て日本銀行宛の小切手の振り出しにより行われており、この小切手を提示した者に対して日本銀行が現金の支払いを行う[16]。
決算
決算では歳入が歳出を上回ることが普通であり、歳入不足が生じるようなときでも補正予算などで対処されるので結果として歳入が歳出を上回る[17]。しかし、会計年度の終了間際になって歳入不足が明らかとなったような場合には、補正予算では対処できないため1977年度からは決算調整資金制度が設けられている[17]。
歳計余剰金は翌年度予算の歳入に繰り入れられるが、純余剰金の2分の1を下回らない金額を翌々年度までに国債の償還財源に充当することとなっている[17]。
地方予算
予算の調製及び議決
普通地方公共団体の長は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければならない。この場合において、普通地方公共団体の長は、遅くとも年度開始前、都道府県及び政令指定都市にあつては30日、その他の市及び町村にあっては20日までに当該予算を議会に提出するようにしなければならない(地方自治法第211条第1項)。
普通地方公共団体の長は、予算を議会に提出するときは、政令で定める予算に関する説明書をあわせて提出しなければならない(地方自治法第211条第2項)。
予算の内容
予算は歳入歳出予算や継続費、繰越明許費などからなる(地方自治法第215条)。
- 歳入歳出予算
- 歳入歳出予算は、歳入にあっては、その性質に従って款に大別し、かつ、各款中においてはこれを項に区分し、歳出にあっては、その目的に従ってこれを款項に区分しなければならない(地方自治法第216条)。また歳入歳出予算として、一般会計には必ず、特別会計には任意で、予備費を計上する(地方自治法第217条)。
- 継続費
- 普通地方公共団体の経費をもつて支弁する事件でその履行に数年度を要するものについては、予算の定めるところにより、その経費の総額及び年割額を定め、数年度にわたつて支出することができる(地方自治法第212条)。
- 繰越明許費
- 歳出予算の経費のうちその性質上又は予算成立後の事由に基づき年度内にその支出を終わらない見込みのあるものについては、予算の定めるところにより、翌年度に繰り越して使用することができる(地方自治法第213条)。
- 債務負担行為
- 歳出予算の金額、継続費の総額又は繰越明許費の金額の範囲内におけるものを除くほか、普通地方公共団体が債務を負担する行為をするには、予算で債務負担行為として定めておかなければならない(地方自治法第214条)。
- 地方債
- 一時借入金
- 歳出予算の各項の経費の金額の流用
脚注
- “「財政(特に、国民負担率の問題を含む社会保障の財源問題、国会による財政統制) 」に関する基礎的資料”. 衆議院憲法調査会事務局. 2016年12月29日閲覧。
- 横山彰、馬場義久、堀場勇夫『現代財政学』有斐閣、2009年、52頁。
- 横山彰、馬場義久、堀場勇夫『現代財政学』有斐閣、2009年、46頁。
- 「予算 6年連続100兆円超112兆円:112兆円決定 少子化対策強化」『読売新聞』朝刊2023年12月23日1面(同日閲覧)
- 横山彰、馬場義久、堀場勇夫『現代財政学』有斐閣、2009年、52-53頁。
- 横山彰、馬場義久、堀場勇夫『現代財政学』有斐閣、2009年、54頁。
- 神野直彦『財政学 改訂版』有斐閣、2007年、104頁。
- 神野直彦『財政学 改訂版』有斐閣、2007年、105頁。
- 神野直彦『財政学 改訂版』有斐閣、2007年、110頁。
- 神野直彦『財政学 改訂版』有斐閣、2007年、111頁。
- 横山彰、馬場義久、堀場勇夫『現代財政学』有斐閣、2009年、55頁。
- 神野直彦『財政学 改訂版』有斐閣、2007年、127頁。
- 神野直彦『財政学 改訂版』有斐閣、2007年、129頁。
- 神野直彦『財政学 改訂版』有斐閣、2007年、131頁。
- 横山彰、馬場義久、堀場勇夫『現代財政学』有斐閣、2009年、56頁。
- 神野直彦『財政学 改訂版』有斐閣、2007年、132頁。
- 神野直彦『財政学 改訂版』有斐閣、2007年、133頁。
- 神野直彦『財政学 改訂版』有斐閣、2007年、126頁。
- 神野直彦『財政学 改訂版』有斐閣、2007年、125頁。
- 神野直彦『財政学 改訂版』有斐閣、2007年、133-134頁。

