八丁座

八丁座 壱・弐(はっちょうざ いち・に)は、広島県広島市中区胡町にある映画館ミニシアター)。映画興行会社の序破急によって運営されている。広島市の中心的商業地である紙屋町・八丁堀福屋八丁堀本店(百貨店)8階に壱と弐の2スクリーンを有する。2013年から2016年まで、2階層上の10階に「八丁座映画図書館」を設置していた。

八丁座
HATCHOZA
情報
正式名称 八丁座
開館 2010年11月26日
開館公演男はつらいよ 寅次郎相合い傘
収容人員 (2館合計)240人
客席数 八丁座 壱 : 170席
八丁座 弐 : 70席
設備 ドルビーデジタルサラウンドEX、デジタル上映、3Dデジタルシネマシステム(壱のみ)
用途 映画上映
運営 株式会社序破急[1]
所在地 730-0021
広島県広島市中区胡町6-26
福屋八丁堀本店8階
位置 北緯34度23分36.5秒 東経132度27分46秒
最寄駅 広島電鉄本線八丁堀電停すぐ
最寄バス停 八丁堀バス停留所
外部リンク 公式ウェブサイト

基礎情報

沿革

前身の映画館
  • 1916年 – 日本館が開館
  • 1950年 – 日本館が東洋座に改称
  • 1975年 – 松竹東洋座がリニューアル開館、広島名画座が開館
  • 2008年 - 松竹東洋座と広島名画座が閉館
八丁座
  • 2010年 - 八丁座 壱・弐開館

歴史

前身の映画館

1955年頃の東洋座(写真左)

昭和30年代の広島市には50以上の映画館が点在していたが、テレビの普及などによって相次いで閉館した[3]福屋八丁堀本店東館がある場所には、2008年まで100年近くにわたって松竹系の映画館が存在した。1916年に日本館が開館し、1950年12月に改築して東洋座と改称。座席数は1,000席程度[注 2]であり、美空ひばりなどの歌謡ショーが行われた時期もあった。1950年代前半に松竹の封切館となり、『男はつらいよ』シリーズなど数々のヒット作を上映した。1950年代後半に松竹東洋座に改称し、この時期の建物は福屋八丁堀東館の建設が始まる1972年11月まで使用された。1972年以後の閉館期間中は、広島スカラ座が松竹の封切館業務を行った。

東館全面開店に先駆けた1975年4月26日、東館8階に松竹系封切館の松竹東洋座と独立系封切館の広島名画座が設けられた。松竹東洋座は広島県内唯一の松竹系映画館だったが、2008年4月30日に閉館した。この後は広島バルト11109シネマズ広島が松竹系の作品上映を行っている。今後、2025年春には松竹マルチプレックスシアターズ運営のシネマコンプレックスが広島駅ビルASSE建替え後の新駅ビルに出店を予定[4]。県内の松竹系映画館の事実上の復活である。

八丁座

八丁座が入居する福屋八丁堀本店東館
市のど真ん中に、映画を見て、悩みも吹き飛ぶような施設をつくるのが夢だった蔵本順子(序破急社長)[3]

2008年の松竹東洋座閉館後しばらく、福屋八丁堀東館8階のテナントは空き家だった。2010年夏には広島市内でサロンシネマやシネツイン本通などを運営している「序破急」が松竹東洋座跡地に映画館を開館させることを発表[5]。館名は公募を行い[6]、八丁堀という地名などに因んだ「八丁座」に決定した[3]

2010年11月26日に八丁座が開館。11月26日の初回上映作品は『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』であり、同日にはダマー映画祭inヒロシマ(短編映画の映画祭)のオープニングセレモニーが開催された[7]。ダマー映画祭の開会セレモニーでは女優の成海璃子がレッドカーペットを歩いている[8]。多数のスクリーンを持つシネマコンプレックスとは異なるミニシアターながら、開館後最初の土曜日には入場者数が全国12位となった[9]。『英国王のスピーチ』上映時には全国の映画館の中でトップテンに入っている[9]

特色

館内

江戸時代に娯楽の王道だった芝居小屋をイメージさせる内装となっている[3][8]。その他には両国国技館桝席もイメージされており[9]、紅葉を基調とする広島の風景がデザインされている[10]。トイレの洗面器には宮島焼を使用している[11]。このように和風で統一された内装は、広島出身の映画美術監督・部谷京子が担当した[9]

ロビーには東映京都撮影所の大道具であるふすま絵が設置され、劇場入口にも東映撮影所の美術作品が使用されている[7]。ふすま絵や行燈は撮影所から譲り受けたものである[12]。カフェが併設されており、場内に飲食物を持ちこむこともできる[11]。有機栽培コーヒーやフルーツジュースなどのソフトドリンク、ワインなどのアルコール類、アイスクリームやサンドイッチなどが提供されている[7]

座席数は八丁座 壱が170席、八丁座 弐が70席であり、松竹東洋座の348席、広島名画座の150席の半分以下となった[9]。メインとなるシートの他に、バーカウンター席や畳席も用意されている。地元家具メーカーのマルニ木工に特注したシートは、幅80cm・奥行87cmのゆったりしたサイズである[9][11]。八丁座 壱にはデジタル3D映像上映設備が備えられた。

映画図書館

2011年5月に映画評論家の花本マサミが死去すると、花本の遺族から遺品が八丁座に寄贈された[13]。花本の遺品である10,000冊を超える書籍や、序破急社長の蔵本順子が父の代から収集していた10,000枚以上のポスターを中心にして[14]、2013年9月19日には福屋10階に八丁座映画図書館を開館させた[13][15]。映画に特化した図書館は全国でも珍しく[13]西日本では初だという[14]

名作映画の台本、映画関連書籍、パンフレット、ポスターなど、計10,000点以上を揃えていた[13]。図書館の床面積は約120m2[13]。書籍約3,000冊、パンフレット約4,000冊、雑誌など約2,000冊は常時閲覧可能な状態で配架されており、1,000枚以上あるポスターも常に十数枚を掲示していた[13]。資料の貸出は行っていない[13]。広島県安芸郡坂町の中央精機で1950年代に生産されていた映写機2台(1951年型・1953年型)も寄贈されている[16]

八丁座の蔵本順子館長は俳優の高倉健の大ファンである[17]。2014年11月10日に高倉健が死去すると、遺作『あなたへ』のポスター、鉛筆で書き込みがある『鉄道員』の台本、高倉健に関する映画雑誌やパンフレットなど約30点を展示した[17]

2015年8月には映画図書館内で「マリリン・モンロー展」を開催し、オークションでは展示された40点のうち約30点が落札された[18]。12月には『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の公開に合わせて、スター・ウォーズを核とするSF関連作品のポスター・人形など約40点が展示された[18]。福屋による10階フロアの改装にともなって、2016年2月21日をもって映画図書館が閉館[19][20]。跡地は「商業藝術」によるレストラン「アンダー ザ スカイ」となった。映画図書館には2013年の開館からのべ7,500人が来館した[19]

参考文献

  • 『映画年鑑 別冊 映画館名簿』時事映画通信社、各年版

脚注

注釈

  1. 住岡は1980年から長らくサロンシネマの支配人を務めた人物である。
  2. 『映画館名簿』1953年版では1,000席、1955年版では897席、1960年版では1,000席、1964年版では1,428席、1970年版では906席

出典

  1. 『映画館名簿』2014年版
  2. 『映画館名簿』各年版
  3. 「映画館2年半ぶり復活 福屋八丁堀本店 『にぎわい取り戻す』」読売新聞 2010年9月3日
  4. 松竹マルチプレックスシアターズ 2025年春、広島駅ビル内にシネマコンプレックスを新規出店 | 松竹株式会社”. www.shochiku.co.jp. 2019年3月23日閲覧。
  5. “広島・八丁堀福屋に「銀幕」再び-今秋サロンシネマが新館オープン”. 広島経済新聞. (2010年8月19日). http://hiroshima.keizai.biz/headline/918/ 2014年9月28日閲覧。
  6. “広島・福屋に新映画館「八丁座」-芝居小屋をイメージ、「広島力」結集”. 広島経済新聞. (2010年9月2日). http://hiroshima.keizai.biz/headline/928/ 2014年9月28日閲覧。
  7. “福屋八丁堀本店に映画館「八丁座」-江戸の芝居小屋をイメージ”. 広島経済新聞. (2010年11月25日). http://hiroshima.keizai.biz/headline/984/ 2014年9月28日閲覧。
  8. 「江戸の芝居小屋風映画館 『八丁座』中区にオープン」読売新聞 2010年11月27日
  9. 地元の誇り”. マルニ木工 (2012年11月6日). 2014年9月28日閲覧。
  10. 「映画館 『街なかの銀幕』復活 『八丁座』きょうオープン、中区でお披露目式」毎日新聞 2010年11月26日
  11. 「映画館 『広島力でにぎわいを』 福屋に11月開館」毎日新聞 2010年9月3日
  12. 「新館『八丁座』をオープン、蔵本順子さん」毎日新聞 2011年3月2日
  13. 「映画図書館 福屋八丁堀本店にあす誕生 八丁座運営の序破急、台本やパンフレット取りそろえ」毎日新聞 2013年9月18日
  14. 「蔵本順子さん、寺本安雄さん」読売新聞 2013年7月20日
  15. “広島・福屋に「八丁座映画図書館」-映画関連の書籍集める”. 広島経済新聞. (2013年9月19日). http://hiroshima.keizai.biz/headline/1701/ 2014年9月28日閲覧。
  16. 「映画図書館に県内製映写機 1950年代の2台寄贈」読売新聞 2013年8月26日
  17. 「スクリーンの健さんしのぶ 『八丁座』がポスター・パンフ展」毎日新聞 2014年11月25日
  18. “広島・八丁座映画図書館で「SF展」 映画「スター・ウォーズ」公開に合わせて企画”. 広島経済新聞. (2015年12月16日). http://hiroshima.keizai.biz/headline/2244/ 2017年2月18日閲覧。
  19. 「映画図書館 惜しまれ閉館へ 本やパンフ1万2000点 中区『八丁座』 カフェなどで公開検討」中国新聞 2016年2月12日
  20. 広島・福屋八丁堀の「映画図書館」が閉設へ 広島ニュース 食べタインジャー

外部リンク

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