台北ドーム

台北ドーム(タイペイドーム、繁体字中国語: 臺北大巨蛋英語: Taipei Dome)は、台湾台北市信義区の野球場。台湾初の多目的ドーム球場であり、人工芝球場である。

台北ドーム
(臺北大巨蛋)
遠雄巨蛋、Farglory Dome
フィールド全景
施設データ
所在地 中華民国の旗 中華民国台湾台北市信義区忠孝東路四段345号
座標 北緯25度02分32秒 東経121度33分34秒
起工 2012年4月17日
開場 2023年12月3日
所有者 遠雄グループ地上権
台北市政府(土地所有者)
管理・運用者 遠雄巨蛋事業股份有限公司
グラウンド 野球専用人工芝
「MS Craft Baseball Turf」
スコアボード 全面フルカラーLED
(17.28m x 30.72m)
サイドビジョン(2基)
(6.0m×11m)
照明 照明灯 456灯
建設費 161億台湾元
設計者 POPULOUS
建設者 大林組
台湾大林組
遠雄営造
ウェブサイト 遠雄巨蛋
収容人員
40,071人(プロ野球開催時の最大席数)
50,000人(コンサート開催時)
グラウンドデータ
球場規模 両翼 - 102 m (約335 ft)
中堅 - 122 m (約400 ft)
バックストップ - 18.3 m
屋根の高さ - 74.5 m
グラウンド面積 - 12,950m2
フェンス 3.5 m
台北ドーム
各種表記
繁体字 臺北大巨蛋
拼音 Táibĕi dà jùdàn
注音符号 ㄊㄞˊ ㄅㄟˇ ㄉㄚˋ ㄐㄩˋ ㄉㄢˋ
発音: タイペイ ダージューダン
英文 Taipei Dome

概要

台北ドームは、遠雄グループが手掛ける台北文化体育園区における商業施設やオフィス、ホテルなどのBOT方式による複合施設開発計画の中核である[1]。 当初2014年に完成予定であったが、後述の工事中断の影響で当初の予定より完成が大幅に遅れ、2023年に完成した。

2024年シーズン時点で、中華職業棒球大聯盟(CPBL)の公式戦が開催される予定だが、特定のチームの本拠地としての設定はされていない。2025年ワールドマスターズゲームズ台北市・新北市大会の開会式会場となる予定である[2]

沿革

建設

1991年11月10日台北市立野球場で行われた台湾シリーズの優勝決定戦となる第7戦味全ドラゴンズ統一ライオンズにおいて、天候の急変による大雨により試合が中断・延期となった。 その際、観客が「ドーム球場が欲しい」と叫んだ出来事を契機に、当該試合に来場していた当時の行政院長郝柏村がドーム型の室内競技場の建設を指示[3]。翌1992年には、行政院の指示により台北市がドーム体育館の建設計画に着手した[4]

2002年、「台北文化体育園区全区域計画」が完成し企業誘致を開始[4]2004年5月、入札により遠雄グループがBOT事業者として台北市から選定[1][5]2006年10月、台北市と事業者が設立した「遠雄巨蛋事業股份有限公司」が、台北文化体育園区における台北ドームのBOT契約を締結。翌年には、行政院が開発事業を「国家重要建設」として承認した[4]

2011年6月、ドームの建築許可証が発行[4]。11月、大林組および台湾大林組が、遠雄建設子会社の遠雄営造とのJVで建設工事を受注し[5]、翌2012年4月より工事が開始された。また、同時期に台北市が開催地に決定した2017年夏季ユニバーシアードの競技会場の一部となる見込みであると報じられた[6]

しかしその後、工事の安全基準を巡って市と遠雄グループが対立。隣接する史跡の松山煙草工場跡での地盤沈下や、付近の台北捷運南港線内のトンネルで損傷が見つかるなどしたため、安全面での懸念も浮上[7]2015年5月には、遠雄グループが認可された図面通りに施工していないなどとして、台北市が8割方完成していた工事の全面停止を命令[8][9]2016年には、市と遠雄グループがドーム建設に関するBOT契約の解除について一旦は合意に達したものの[10]、その後遠雄側が譲歩の姿勢を見せたことなどから、市が契約解除を見送ると発表した[11]

2017年9月、排水設備などの修復工事が再開。それに並行して環境アセスメントや防災などの評価も進行[8]

2019年2月、ソフトバンクグループ代表取締役会長兼社長の孫正義が台北ドームを買収する予定だと台湾各メディアが報じた。これについて台北市は「聞いていない」とコメント、遠雄建設事業はその可能性も排除できないと答えている[12]

2020年6月、建設許可の変更が台北市建築管理工程処に認可され、同年8月に建設工事を再開。10月には、台北市長の柯文哲が2021年末までに完工するとの見方を示した[8]

2022年には、台北市副市長の蔡炳坤が同年中の完成を目指すと述べた。開場後に開催される試合として、同年の台湾シリーズや10月に台北市で予定されているWBSC U-23ワールドカップが検討されているとした[13]。しかし、3月時点で新型コロナウイルス感染症の流行や一部の建設許可変更の設計が未完了であることから、工事の進捗は大きく遅れていた[14]

完成後

2023年11月2日、台北市は台北ドームに対して正式にライセンスを交付し、スポーツの試合やコンサートなどのイベントの開催が可能になった[15]。同年11月、非公開および公開のテストマッチの開催が行われ[16]、11月18日のアジア選手権チャイニーズタイペイ代表対U-23チャイニーズタイペイ代表のテストマッチが初めての有観客試合となり、約1万3000人が来場した[17][18][19]。また、12月2日、開場に伴う記念式典が行われ、王貞治始球式を行った[20]

同年12月3日、正式開場した。初の公式戦となる第30回アジア野球選手権大会開幕戦のオープニングラウンド・グループA、チャイニーズタイペイ対韓国が人数制限を設けた上で行われ、1万6647人が来場した。試合は、4対0でチャイニーズタイペイが勝利した[21]2024年3月に行われた読売巨人軍90周年記念親善試合において、初めて人数制限が撤廃され、2日の読売ジャイアンツ中信兄弟では開業後初の満員かつ台湾野球史上最多の3万7890人が来場した[22][23]

同年3月30日、ドームとして初のCPBL公式戦となる2024年シーズン開幕戦・味全ドラゴンズ楽天モンキーズが開催される予定である[24]

施設

球場内

グラウンドは両翼が102m、センターが120mであり、芝はミズノ製のMSクラフト・ベースボール・ターフが使用されている[25][26]

屋根の高さは74.5mと、日本にあるドーム球場と比較して天井は高く設定されている[26]

収容人数は、野球開催時が4万71人、コンサート開催時は最大5万8,000人収容。また、スイートルームが36室設置している[26]

球場外

駐車場は、一般車2,136台、二輪車3,800台、バス・大型車計120台の他、積載車56台、中継車10台が入るスペースがある[19]

主な利用

野球

前述のとおり、特定の球団による本拠地設定はされていないが、CPBLの公式戦で使用されている。2024年シーズンでは、全6球団の主催で計33試合が設定された[27]

日本プロ野球(NPB)の球団である読売ジャイアンツは、球団創設90周年とドーム開業を記念し、読売巨人軍90周年記念親善試合として2024年3月2日・3日に中信兄弟・楽天モンキーズとの親善試合を開催した[28]

国際大会

  • 第30回アジア野球選手権大会 - 2023年12月より、正式開場後初のイベントとして開催。人数制限を行ったうえで、開幕戦のチャイニーズタイペイ対韓国戦や、決勝戦などを含む13試合が行われた[29]

バスケットボール

2024年4月13日・14日に、T1 リーグ新北中信DEA台北マールスが開催される[30][31]

コンサート

コンサートなどのイベント開催の可否については、2023年11月現在で未定となっている[32]

アクセス

脚注

  1. 台北ドーム新築工事 (PDF). 日本建築業連合会. 2021年11月18日閲覧。
  2. “ワールドマスターズ、2025年大会は台湾で開催 台北ドームで開会式予定”. exciteニュース (中央通訊社 日本語版). https://www.excite.co.jp/news/article/Jpcna_CNA_20201022_202010220003/ 2021年11月18日閲覧。
  3. ドーム建設の始まり”. 遠雄巨蛋. 2021年11月18日閲覧。
  4. 沿革”. 遠雄巨蛋. 2021年11月18日閲覧。
  5. 台湾初の大型多目的ドーム球場を受注”. 大林組 (2011年11月9日). 2021年11月18日閲覧。
  6. “台北ユニバーシアード、経済効果100億元も”. ワイズコンサルティング (中央通訊社). (2011年12月1日). https://www.ys-consulting.com.tw/news/34106.html 2021年11月18日閲覧。
  7. “台北ドーム、建設の全面停止が決定 ずさんな工事に市が「ノー」/台湾”. livedoor NEWS (中央フォーカス台湾). (2015年5月21日). https://news.livedoor.com/article/detail/10138921/ 2021年11月18日閲覧。
  8. “台北大巨蛋が来年完工へ、台北市長”. NNA ASIA. (2020年10月23日). https://www.nna.jp/news/show/2109186 2021年11月18日閲覧。
  9. “台北ドーム、22年完成にめど(トップニュース)”. ワイズコンサルティング (中央通訊社). (2020年6月23日). https://www.ys-consulting.com.tw/news/90675.html 2021年11月18日閲覧。
  10. “台北ドームの契約解除、市と遠雄が合意”. ワイズコンサルティング (中央通訊社). (2016年4月14日). https://www.ys-consulting.com.tw/news/63529.html 2021年11月18日閲覧。
  11. “建設中断の台北ドーム、市が業者との契約解除を「一時見送り」/台湾”. lividoor NEWS (中央社フォーカス台湾). (2016年9月8日). https://news.livedoor.com/article/detail/11993559/ 2021年11月18日閲覧。
  12. “ソフトバンク孫正義氏、建設中の台北ドームを買収へ? 現地もホークスの台湾遠征を期待する声”. リアルライブ. https://npn.co.jp/article/detail/53267901/ 2021年11月18日閲覧。
  13. “U23世界盃棒球賽 10月選定台北大巨蛋舉辦” (中国語). ETtoday. https://sports.ettoday.net/news/2168917 2022年3月14日閲覧。
  14. “在大巨蛋看棒球賽再等等 工程卡關U23有備案” (中国語). 中央通訊社. https://www.cna.com.tw/news/aspt/202203010176.aspx 2022年3月14日閲覧。
  15. “大巨蛋取得使用執照 可舉辦賽事及活動” (中国語). 中央通訊社. (2023年11月2日). https://www.cna.com.tw/news/aloc/202311020254.aspx 2023年11月3日閲覧。
  16. “大巨蛋迎12月亞錦賽 11/14閉門測試對戰組合出爐” (中国語). 中央通訊社. (2023年10月27日). https://www.cna.com.tw/news/aspt/202310270314.aspx 2023年11月3日閲覧。
  17. “大巨蛋測試賽亞錦代表隊搶勝 等球員到齊整合備戰” (中国語). 中央通訊社. (2023年11月18日). https://www.cna.com.tw/news/aspt/202311180186.aspx 2023年11月26日閲覧。
  18. “大巨蛋首場開門預備賽 1.3萬球迷興奮入場喊:不輸日本巨蛋” (中国語). ETtoday. (2023年11月20日). https://www.ettoday.net/news/20231120/2625866.htm 2023年11月26日閲覧。
  19. 台北ドームがテストマッチが成功裏に終了 アジア野球選手権でのこけら落としに向けて準備完了”. World Baseball Softball Confederation. 2023年12月12日閲覧。
  20. “王貞治氏、台北ドームで始球式 「台湾野球に栄光あれ」”. 中央社フォーカス台湾. (2023年12月2日). https://japan.focustaiwan.tw/entertainment-sport/202312020003 2023年12月3日閲覧。
  21. Korea@Chinese Taipei - BFA XXX Asian Championship 2023 (英語). WBSC Asia. 2023年12月3日閲覧。
  22. “終於實現了!日職讀賣巨人軍戰兄弟桃猿 大巨蛋座位席全開放” (中国語). 三立新聞網. (2024年2月22日). https://www.setn.com/News.aspx?NewsID=1429907 2024年3月3日閲覧。
  23. “台北ドームに3万7千人超、台湾野球史上最多の観客動員数を記録 巨人と親善試合”. フォーカス台湾. (2024年3月2日). https://japan.focustaiwan.tw/entertainment-sport/202403020006 2024年3月3日閲覧。
  24. “大巨蛋中職賽程中信兄弟23場最多 對戰組合一次看” (中国語). 中央通訊社. (2024年2月27日). https://www.cna.com.tw/news/aspt/202402270303.aspx 2024年3月3日閲覧。
  25. 野球専用人工芝「MS CRAFT BASEBALL TURF」台北ドームで採用|ミズノ株式会社”. corp.mizuno.com (2023年12月5日). 2023年12月12日閲覧。
  26. これが台北ドームだ!! 日本のドーム球場を凌ぐビッグスケール(横尾弘一) - エキスパート”. Yahoo!ニュース. 2023年12月12日閲覧。
  27. “桃園棒球場整修樂天桃猿3主場移至大巨蛋 中職6隊都攻蛋” (中国語). 中央通訊社. (2024年3月13日). https://www.cna.com.tw/news/aspt/202403130215.aspx 2024年3月14日閲覧。
  28. 3月2・3日に台湾・台北ドームで一軍初の親善試合【球団創設90周年記念】”. 読売ジャイアンツ(巨人軍)公式サイト (2023年11月23日). 2023年11月26日閲覧。
  29. 第30回 BFA アジア選手権”. 野球日本代表 侍ジャパンオフィシャルサイト. 2023年11月26日閲覧。
  30. “職籃前進大巨蛋 T1特攻4/13攜手戰神上演雙北大戰” (中国語). 中央通訊社. (2024年3月13日). https://www.cna.com.tw/news/aspt/202403130371.aspx 2024年3月14日閲覧。
  31. 4/13-4/14「攻戰大巨蛋」雙北反毒籃球賽Key Visual (中国語). Facebook. 新北中信特攻籃球隊 New Taipei CTBC DEA (2024年3月13日). 2024年3月14日閲覧。
  32. “演唱會辦不辦、人潮能否順暢疏散 大巨蛋還有考驗” (中国語). 中央通訊社. (2023年11月18日). https://www.cna.com.tw/news/aloc/202311180023.aspx 2023年11月26日閲覧。

外部リンク

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