官人
概要
官人とは狭義では郡司を除く官位相当のある四等官または品官の官職についている官吏のことをいい、広義では郡司や官位相当のない使部・伴部・舎人なども含めて総称される。官位相当の無い郡司や下級官人の中には无位(=無位:位階を持たない者)も含まれており、養老律令においては无位の官人に関する規定が存在している。官人の中でも従五位下(五位)以上のものを貴族と呼称してそれ以下の位階に属する者のみを官人と称する場合もある。この場合、五位以上でも散位の場合は四等官・品官の地位にいないため、官人に准じて扱われる場合もある。
八位以上の官人には調・庸・雑徭が免除され、刑罰の上でも優遇された[2]。五位以上には親族に位階を賜る蔭位の特典や田地の下賜などがあり、さらに官位が昇るにつれて特典が大きくなった。またこれとは別に上級官職にも同じような特典があった。初位以下の官人にも税制上一定の優遇がなされた。
官人の分類
武官・文官
武官とは帯刀する官人のことで具体的には軍事機関である衛府や馬寮、兵庫寮の職員、軍団の幹部、及び弾正台の巡察弾正などを指した。文官はそれ以外の一般官人のことをいう。ただし、大宰府の職員や内舎人など帯刀する官人は武官ではなく文官として扱われた。武官の人事は兵部省が文官の人事は式部省が行った。
職事・散位
職事(しきじ)とは職務を持つ官人をいい、散位(さんに・さんい)とは職務を持たない官人、つまり位階だけしか持っていない者のこと。散位はほとんどが退職官人で京内の者と地方の五位以上の者は散位寮に常勤し、それ以外の者は各国府に交替勤務した。武官・文官、京官・外官の区分がありこのうち武官(武散位)については兵部省が取り扱ったとも言われている。
官人の種類
ここでは広義の官人および参考として地方からの労働者である仕丁(しちょう・じちょう)を掲げた。
長上
- 長上は常勤する官人のこと。内・外の区分がある。
品官
品官(ほんかん)と読む。四等官とは別系統にある専門職員。本来は職・寮・司として独立させるべきであるがそれには規模が小さいためこのような形態となった。大学寮の博士や陰陽寮の陰陽師、刑部省の判事など。
雑任
ぞうにんと読む。個々の官司において下働きや事務などを行う下級官人。四等官・品官からなる職事や才伎長上などの上級官人に対する存在である。皇親や五位以上の従者である帳内・資人もこれに準じる。式部省の判補によって採用されて交代で勤務する分番を採っており、官位相当はない。特典として課役が免ぜられる。毎年上・中・下の3等で評価され、8年分の評価(ただし706年(慶雲3年)の格で実際には6年分の評価で運用)に基づいて最大で3階相当分の叙位が行われた。以下のような種類がある。
- -掌(-しょう)
- 史生と使部の中間で使部に指示して雑務を行わせる。掌の前には各官司名が入り(官掌・省掌など)後には職・寮などにも多数設置された(職掌・寮掌など)。
雑色人
その他
脚注
- 虎尾達哉『古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々』(中公新書、2021年)p.19.
- ただし、一部の官人は「調」を負担した。虎尾達哉(2021年)p.35.
- 位子が採用された。虎尾達哉(2021年)p.131.
- 春宮坊に「舎人監」という部署があり、皇太子の雑用・警衛のための春宮舎人は600名(後述p.121.)が所属したが、平安時代に入り、式部省は入色(階級者)だけでなく、白丁(一般庶民)からも採用し、600名の内、100名が白丁枠となった(後述p.122.)。その後も枠は変更されていくこととなる。虎尾達哉(2021年)pp.121-123.
- 虎尾達哉(2021年)p.32.
- 虎尾達哉(2021年)pp.18-19.