小仏トンネル

小仏トンネル (こぼとけトンネル)は、東京都八王子市神奈川県相模原市緑区都県境にあるトンネルである。都県境の小仏峠(標高548m)付近の山を貫いている。JR中央本線のトンネルと中央自動車道のトンネルで同一名称が使われている。

相模嵐山山頂より見た中央自動車道(左側)。稜線右側の鞍部が小仏峠で、その真下を小仏トンネルが貫いている。

国道20号は小仏峠より南の大垂水峠を越えるが、元々江戸時代以来の甲州街道は小仏峠越えの道であった。しかし勾配が急で車道化が困難であったため、1888年(明治21年)に大垂水峠越えの道へ指定変更されたものが今日の国道20号に引き継がれている。一方、鉄道高速道路は直線的なルートが望まれたことから、大垂水峠ではなく小仏峠にトンネルが造られた。

中央本線 小仏トンネル・新小仏トンネル

小仏トンネル・新小仏トンネル
新小仏トンネル(左)、小仏トンネル(右)
概要
路線 中央本線
位置 東京都の旗 東京都神奈川県の旗 神奈川北緯35度38分8.43秒 東経139度12分59.9秒
現況 供用中
起点 東京都八王子市
終点 神奈川県相模原市緑区
運用
開通 1901年(明治34年)8月
(小仏トンネル)
1964年(昭和39年)9月
(新小仏トンネル)
所有 東日本旅客鉄道(JR東日本)
技術情報
全長 2,574m(小仏トンネル)
2,594m(新小仏トンネル)
軌道数 1(単線
軌間 1,067mm
電化の有無 有 (直流1500V

東日本旅客鉄道(JR東日本)の中央本線(中央東線)高尾駅 - 相模湖駅間にあるトンネル。「あずさ」や「かいじ」などの特急列車が走り、東京から大月河口湖甲府方面へ向かうルートとして機能している。

トンネルの断面が小さいため、パンタグラフの折り畳み時の高さが大きい電車や電気機関車は通過できない。そのため、通過可能な車両と不可能な車両が判別できるよう、通過可能な車両には車両番号横に◆マークが付けられている。また、かつてはパンタグラフ取り付け部分の天井や屋根を低くした「低屋根車」も存在した。

諸元(中央本線)

小仏トンネル
全長:2,574m 単線。上り列車専用
官設鉄道によって造られたトンネル。途中から勾配が40分の1となる難所で(多くのトンネルは800分の1)、乗客は暗闇と煤煙に加えて、機関車の空運転する轟音に悩まされた[1]
新小仏トンネル
全長:2,594m 単線。下り列車専用
同区間の複線化時に開通。

沿革(中央本線)

中央自動車道 小仏トンネル・小仏第二トンネル

小仏トンネル・小仏第二トンネル
中央自動車道小仏トンネル(下り線)

中央自動車道小仏第二トンネル(上り線)
概要
位置 東京都の旗 東京都神奈川県の旗 神奈川 北緯35度38分17.09秒 東経139度12分55.89秒
現況 供用中
所属路線名 E20 中央自動車道
起点 東京都八王子市
終点 神奈川県相模原市緑区
運用
開通 1968年(昭和43年)12月
所有 中日本高速道路
通行対象 自動車
技術情報
全長 (小仏トンネル)1,642m
(小仏第二トンネル)2,002m
道路車線数 (小仏トンネル)2車線
(小仏第二トンネル)2車線
設計速度 80 km/h

中央自動車道八王子JCTから相模湖東出口(下り線)、相模湖IC(上り線)の間にあるトンネル

上り線用と下り線用の2本のトンネルに分かれており、それぞれ2車線である。正式名称は下り線が「小仏トンネル」、上り線が「小仏第二トンネル」だが、一般には両方を併せて小仏トンネルと呼ぶ。

諸元(中央自動車道)

小仏トンネル
全長:1,642m
小仏第二トンネル
全長:2,002m
トンネル内の壁面に東京都と神奈川県の都県境が書かれている。

沿革(中央自動車道)

隣の施設

E20 中央自動車道
(6)八王子JCT - 小仏トンネル - (7)相模湖東出口(下り線出口) - (8)相模湖IC

渋滞

トンネル手前は上り坂であるため、土休日、5月のゴールデンウィークお盆シルバーウィーク、年末年始をはじめとした繁忙期には度々渋滞が発生する。激しい場合は、上り線は大月JCT付近まで渋滞する場合があるほか、近接する八王子JCTから圏央道の両方向へ渋滞が延びる場合がある。

小仏トンネル付加車線設置事業

2007年末、上り線のトンネル手前の区間に登坂車線が設けられ、2012年から登坂車線を走行車線に変更することにより3車線での運用を行っている[3]。この区間では、2010年1月28日から2011年6月8日まで現在の車線運用での効果渋滞削減実験が行われていた[4]

国土交通省は、首都圏の高速道路で土日を中心に渋滞が常態化している場所を改良するため、新たなトンネルを掘削する方向で2011年度内に関係機関による準備会を立ち上げ、2012年度から具体的な検討に入り同年度予算に関係箇所の調査費を計上した[5]。2015年3月25日の同省作業部会では、上り線の渋滞対策案として、延長3.5 km・1車線のトンネルの新設により旧登坂車線をそのまま八王子方面に引き込むと同時に、トンネル以東の1.5 km区間も車線運用の見直しによって3車線化する案が了承された[6]

新設トンネル(仮称「新小仏トンネル」)は、2015年度からの現地測量と設計を経て、2021年3月から本体工事に入った[7]。延長2,304m、工期69カ月を予定している[8]。完成後は1車線運用となるものの、将来的に既存の小仏トンネルの改修を行う場合などを考慮し、幅員は2車線化が可能な8mを確保する。これにより、相模湖バスストップから八王子JCTまで3車線での通行が可能となる予定である。

また当面の対策として、2019年4月から既存の小仏トンネル上り線内において、走行速度の低下をセンサーが感知したときに大型の指向性スピーカーで速度回復を促すメッセージ放送を開始した。中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京と共同で導入したこの取り組みにより、渋滞緩和に有意な効果がみられている[9]

関連商品

中央自動車道の石川パーキングエリア(上り線)では「小仏トンネルロールケーキ」を販売している。

脚注

  1. 甲州見聞記 1.不愉快な中央線東京朝日新聞 1912.3.23
  2. 笹子トンネル崩落、改修を先延ばし/費用懸念し安全対策軽視/関係者証言”. www.jcp.or.jp. 2020年7月1日閲覧。
  3. 渋滞削減のため、中央自動車道の車線運用を変更します~下り線元八王子地区と上り線小仏TN手前~”. 中日本高速道路 (2012年3月8日). 2012年9月3日閲覧。
  4. 6月8日車線運用を変更します【中央自動車道(上り線)小仏トンネル手前】”. 中日本高速道路 (2011年6月3日). 2012年9月3日閲覧。
  5. “中央道 小仏に新トンネル検討”. 山梨日日新聞 (山梨日日新聞社). (2011年10月16日)
  6. “中央道・小仏トンネル渋滞対策案 上り線にトンネル増設”. 日刊建設工業新聞 (日刊建設工業新聞社). (2015年3月26日). http://www.decn.co.jp/?p=25604
  7. 中央道渋滞ボトルネック検討ワーキンググループ”. 中央道渋滞ボトルネック検討WG第9回資料p.12. 国土交通省関東地方整備局相武国道事務所. 2023年2月25日閲覧。
  8. NEXCO中日本八王子支社 中央道の2区間で付加車線設置事業に着手|道路構造物ジャーナルNET”. 道路構造物ジャーナルNET. 2023年2月25日閲覧。
  9. 佐藤久長, 西田匡志, 柏木悠, 櫻井光昭, 青木隆志「スピーカーを用いた音声案内による速度回復情報提供の効果分析」『土木学会論文集D3(土木計画学)』第77巻第1号、土木学会、2021年、1-11頁、doi:10.2208/jscejipm.77.1_1ISSN 2185-6540
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