ゆびきり
ゆびきり(指切、指切り)は、近世以降の日本において、約束の厳守を誓うために行われる、大衆の風習。

ゆびきり
フック状に曲げた小指を互いに引っ掛け合い、唱えごとをする[1]。唱えごとは、「指切拳万、嘘ついたら針千本呑ます」という、約束を違えたときに課される名目上の罰を内容とするまじないの言葉を共に唱えて意思を確認し合う[2]。
「拳万」は「握り拳(にぎりこぶし)で1万回殴る」[2]、「針千本呑ます」は「ハリセンボンを呑ませる」ではなく、「裁縫針を1000本呑ませる」という意味であり、このまじない言葉は地方によって異なる(後述)。また「指切り」の語自体も地方によって違っている[3]。
起源

小指を立てた状態
平安時代の検非違使庁によって罪人に対し腕を切り落とす断手刑が実施されており、対して指を切り落とす指切りは鎌倉時代初期には味方討ちをした御家人もこれを科した記録があった[4]。この指切り罰は江戸時代初期まで盗人、撰銭令違反者、キリスト教徒へ科刑した資料が散見されている[4]。なお、江戸時代に入ると指切りの法制自体に記述はないが、「指詰め」の形で私刑として存続したようである[4]。
他に、室町幕府が永正9年(1512年)8月に定めた『撰銭令』の条例(令自体は永正2年に発布)には、違反した者は、「男は頸(くび)をきり、女は指をきらるべし」との肉体刑を記している。12世紀末の『吾妻鏡』には、戦時中、御方討(味方討ち・同士討ち)をしてしまった者は、「指切の刑」に処されたことが記述されている。
差異
「拳万」の語は元は関東地方の児童語[6][注釈 1]で、まじない言葉自体が地方によって様々であり、他の文言としては
- 東京都:「指切り、かまきり、嘘いうものは、地獄の釜へぽったりしょ」[6]
- 神奈川県:「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ます」[6]
- 愛知県:「いびきり、いびきり、3年過ぎたら、乳から下へくされよ」[6]
などが存在した。
世界の指切
- ローマ帝国では二者が互いに右手で握手することを口頭契約の証とした[1]。
- ベトナムでは人差し指で指切りを行う。
- アメリカでは19世紀からpinky swearとして辞書に載っているのが確認されている。
脚注
出典
- "指切り". 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2021年10月7日閲覧。
- "拳万". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2021年10月7日閲覧。
- 山梨県立図書館 (2005年10月16日). “指切りげんまんの各地方での呼び方を知りたい”. レファレンス協同データベース. 2021年10月7日閲覧。
- "指切". ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. コトバンクより2021年10月7日閲覧。
- "指切り". 世界大百科事典(第2版). コトバンクより2021年10月7日閲覧。
- "拳万". デジタル大辞泉. コトバンクより2021年10月7日閲覧。
- 佐々木邦『苦心の学友』大日本雄弁会講談社、1930年、頁。国立国会図書館書誌ID:000000791104。
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