救援車
救援車(きゅうえんしゃ)とは、鉄道事業者が使う事業用鉄道車両の一種である。災害、鉄道事故や除雪現場などに出動し、枕木等の応急復旧資材や工作機械の保管・運搬、作業員の休憩所代わりに用いられる。


概要
日本国有鉄道(国鉄)では、戦前から職用車の一種として「非常用車」(客車) や救援車代用貨車が存在していたが、1953年(昭和28年)6月の車両称号規程改正により独立した車種として制定された。従来、鉄道事故の復旧作業は発生後に復旧機材を積んだ自動車や列車で現場へ向かっていたが、これでは手間がかかること、更に当時はまだ道路網が発達しておらず、自動車利用の場合は現場への移動だけでも時間がかかることも少なくなかった。
そこで、事故が起きてから準備をするのではなく、事故発生時に迅速な復旧作業が出来るよう、予め機材を積んだ鉄道車両を常備しておくという発想が救援車の元になっている。
出動機会
現在では道路網が充実したことや、ダイヤの過密化などにより、あらかじめ復旧用資材をコンテナに搭載させて車両基地に常駐させておき、災害などの緊急時にはそれを機動性のあるトラックに載せて現地に駆けつける場合がほとんどで、また車両故障による出動も近くの営業車両を運転打ち切りにして行なうか最寄りの車両基地の予備車を使って行われている。このため、救援車が出動する機会は道路から離れた場所での災害、事故に限られており、実際に使用することは極めて稀な事態ともいえる。実際に都心部では廃車が進み、必要最小限度の保有となっており、残存する車両も側線で、中には朽ち果てるように留置されているものもある。
事業者別の救援車
国鉄・JR
国鉄およびJR各社における記号は「エ」。ほとんどが旧型客車や用途廃止された荷物車、郵便車を流用し、改造している。このため種車はバラバラで、同じ形式でも外観や内部の形状が異なる場合が多い。窓は、元の種車と比べると、塞がれるなどの改造が施されているためピッチは不連続になっている。また、側扉は片側2以上が配置される。扉や窓に鉄格子が嵌っていることも多いことから外見は荷物車に似る。塗装色はぶどう色2号。側面に白文字で「救援車」と書かれている場合もある。
国鉄末期の1986年(昭和61年)のダイヤ改正で郵便荷物輸送が廃止になり、製造から10年に満たないにもかかわらず余剰となった50系客車のマニ50形やスユニ50形を救援車代用として使用することになったため、車齢の古い旧型客車の救援車は一掃された。なお、救援車代用貨車は現在も各所に配置されているものの、こちらも救援車代用コンテナに置き換わっている。
過去に存在した国鉄の救援車
- 電車
- クモエ21形
- クエ28形
- クモエ4300形
- クエ9100形
- クエ9110形
- クエ9120形
- サエ9300形
- サエ9310形
- サエ9320形(←サエ9330形)
- クエ9400形、クエ9420形(←クエ9130形、クエ9140形、クエ9160形)
- クモヤ145形100番台(救援車兼用牽引車)
- 客車
- スエ30形
- スエ31形
- スエ38形 (1 - 7)
- スエ38形 (8)
- オエ61形
- オエ70形
- スエ71形
- スエ78形
- ホエ7000形
- ナエ7200形
- ナエ9900形
- オエ9920形
- ホエ17000形
- ナエ17100形
- オエ19900形
- ナエ27000形
- オエ29900形
- 貨車
- 新幹線車両
京浜急行電鉄
京浜急行電鉄には初代1000形の廃車発生部品を流用したデト17・18形各2両の合計4両が在籍する。1979年から1990年まではデト20形2両が、1990年から2010年まではクト1形2両が救援車として使用されていた。
阪神電気鉄道
阪神電気鉄道では、旧型電車からの転用ではなく1987年に新造された救援車が存在する(110形)。両運転台をもつが、制御車であり動力装置は持たず単独運転することはない。営業用車両の前後に連結されて、事故現場へ復旧資材の運搬等を行う。外観はコバルトブルーで正面にバーミリオンの赤帯が入る。
- 110形(110号とも)
- 155形(廃車)









