樫原湿原

樫原湿原(かしばるしつげん)は佐賀県唐津市に位置する湿原湿地[1]

樫原湿原(2009年9月)
樫原湿原周辺の空中写真。
国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成2013年9月17日撮影

概要

樫原湿原は標高591メートル、敷地面積約120ヘクタールの湿原で佐賀県自然環境保全地域に指定され、さらにそのうちの8ヘクタールは特別地区に指定されている[1][2][3]。また環境省の「生物多様性の観点から重要度の高い湿地」(略称「重要湿地」)に指定されており、豊富な生態系から「九州の尾瀬」とも呼ばれている[4]

遊歩道が設けられており、多種多様な動植物を観察しながらの散策が可能である[5]

また、希少生物も多く自生しており、最盛期には県内外から多くのアマチュアカメラマンが訪れる[6]

動植物

氷河期の残存植物といわれるミツガシワをはじめ、食虫植物や絶滅危惧種など約60種類の湿地植物が生育している。ヒツジグサショウブユウスゲなどが見られるほか、ミツガシワやトキソウサギソウなどの国や県のレッドデータブックに記載されている希少種、モウセンゴケのような食虫植物が生育する[7]。このうちサギソウは旧七山村の村花でもあり、樫原湿原を代表する植物とされている[1]

動物は絶滅危惧種であるハッチョウトンボモートンイトトンボなどの湿生昆虫が見られ、特にモートンイトトンボは佐賀県ではこの樫原湿原でしか見ることはできない[5]。他にアマガエルヨシキリなどが生息する[1][8]

自然保護の取り組み

「九州の尾瀬」ともいわれる樫原湿原だが人の手が入っていないというわけではない。昭和46年に開通した七山村道によって湿原が分断されたことや、野焼きオオミズゴケの除去等の中断により、開放水面の減少や水量の減少、土砂等の堆積などで保全状況が悪化し、数種類の植物が確認できなくなる、既存植物の株数も減少するなどの問題が発生している[9][10]。これに伴い平成14年から自然生態系の保全・再生にむけた調査が行われ、平成17年には佐賀県を主体とする「樫原湿原地区自然再生事業実施計画」が作成され、昭和中期頃の湿地植生を再生するための取り組みが行われている[10]

取り組みの一環である植生の除去では、ミズゴケなどの大繁茂した特定植物や枯れた植物体の堆積などによって陸化が進行している問題への対処として、浚渫や植生の抜き取りを実施したところ、開放水面が拡大し多様な植生が回復するといった成果が出ている。この他に湿地帯に侵入した灌木の除去や湿地を分断している村道の移設などが保護手法として実施、または議論されている[9]

注意事項

豊富な生態系の中にはマダニハチヘビなどの人的危害を加える生物も生息しており、訪れる際は長袖や長ズボンなどの露出の少ない服装が好ましい[6]

また、湿原破壊の原因の一つとして一部の人間による湿地内の立ち入りが挙げられており、立木の採取や伐採などと合わせて禁止されている[8][11]

この他にペットの連れ歩き禁止、湿原内での飲食・喫煙の禁止など、規定が設けられている[12]

アクセス

出典

  1. 樫原湿原(かしばるしつげん)開花情報(2020年11月02日閲覧)
  2. 希少植物生き生き 唐津・樫原湿原西日本新聞朝刊 2018年08月09日(2020年11月02日閲覧)
  3. 樫原湿原(2020年11月02日閲覧)
  4. 「重要湿地」 No.466 樫原湿原環境省(2020年11月02日閲覧)
  5. 樫原湿原(2020年11月02日閲覧)
  6. ハッチョウトンボ、トキソウ…夏の動植物、生を謳歌 樫原湿原佐賀新聞 2020年6月23日(2020年11月02日閲覧)
  7. 樫原湿原の生き物たち(PDF)(2020年11月02日閲覧)
  8. 樫原湿原(唐津市七山)(2020年11月02日閲覧)
  9. 環境省パンフレット「自然との共生を目指して」(PDF)(2020年11月02日閲覧)
  10. 樫原湿原地区自然再生協議会について(PDF)(2020年11月02日閲覧)
  11. 色とりどりの花 湿原彩る 樫原湿原朝日新聞 2018年08月15日(2020年11月02日閲覧)
  12. 樫原湿原、注意事項(PDF)(2020年11月02日閲覧)

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