気管支肺胞洗浄液検査
気管支肺胞洗浄液検査(きかんしはいほうせんじょうえきけんさ)とは、気道内に注入した生理食塩水を回収し、細胞数・細胞分画などを調べる検査である。
| 気管支肺胞洗浄液検査 | |
|---|---|
| 医学的診断 | |
![]() 気管支肺胞洗浄液標本でみられた含鉄小体 | |
| 別名 | BALF検査、BAL検査 |
| 目的 | 肺胞領域や気管支・細気管支の病態の情報を得る。 |
概要

BAL塗抹標本でみられたニューモシスチス
気管支肺胞洗浄液(BALF、broncho-alveolar lavage fluid、bronchial wash)とは、気管支鏡で気道内に注入した生理食塩水を回収したものである。 これには、肺胞領域、気管支・細気管支の被覆液が含まれており、細胞分画・数・病原体などを調べることにより、肺生検よりは少ないリスクで、肺の病態に関する貴重な情報が得られる。
気管支肺胞洗浄(BAL、broncho-alveolar lavage)は、米国のRaynoldsとNewballにより、1974年に開発された[1]。
基準値

マクロファージ(BAL)

気管支上皮細胞(BAL)
気管支肺胞洗浄液(BALF)の細胞数は、健常非喫煙者:61.3±35.7( × 103/mL)、喫煙者:237.8±157.7( × 103/mL) とされる[1]。喫煙者では、マクロファージ増加のため、回収される細胞総数が増える。
| マクロファージ | >85% |
| リンパ球 | 10-15% |
| リンパ球CD4+/CD8+比 | 0.9-2.5 |
| 好中球 | ≦3% |
| 好酸球 | ≦1% |
| 扁平上皮/円柱繊毛上皮細胞 | ≦5% |
喫煙者においては、細胞分画では、マクロファージが増加し、リンパ球の比率が減少する。また、リンパ球のCD4陽性細胞/CD8陽性細胞比が低下する。
気管支肺胞洗浄液(BALF)の性状と疾患
| BALF性状 | 疾患 |
|---|---|
| 米のとぎ汁様の洗浄液、 PAS染色陽性の細胞 |
|
| 含鉄小体の存在 |
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| 血性の洗浄液、 マクロファージ内のヘモジデリン(鉄貪食細胞)[1] |
![]() BALでみられた鉄貪食細胞
|
| リンパ球増多 |
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| 好酸球増多 |
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| 好中球増多 |
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| CD4+/CD8+上昇 | |
| CD4+/CD8+低下 |
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脚注
- 特発性器質化肺炎とは、肺胞から肺胞付近の細気管支の炎症と気腔内の器質化組織が生じる、原因不明の病態である。
- びまん性肺胞出血症候群とは、肺の微小血管の広範囲の損傷により肺胞に血液が貯留する病態で、グッドパスチャー症候群、血管炎症候群、特発性肺ヘモジデローシス、僧帽弁狭窄症、など様々な疾患が原因となりうる。
- 肺胞上皮癌(=細気管支肺胞上皮癌)は、肺腺癌のうち、既存の肺胞上皮を置換するように増殖するものを指すが、近年はこの分類は使われない傾向にある。肺腺癌における新組織分類と遺伝子解析参照。
- 気管支に注入した生理食塩水の回収率は6割程度。回収率が低い場合は十分な評価が難しい。肺気腫や蜂窩肺では回収率が著しく低下する。
出典
- 金井正光 編『臨床検査法提要』(改定第31版)金原出版株式会社、1998年9月20日。ISBN 4-307-05033-9。
- 高久史麿 編『臨床検査データブック2021-2022』医学書院、2021年1月15日。ISBN 978-4-260-04287-1。
- An Official American Thoracic Society Clinical PracticeGuideline: The Clinical Utility of Bronchoalveolar LavageCellular Analysis in Interstitial Lung . Am J Respir Crit Care Med. Meyer KC, et al. 2012;185(9):1004–1014
- Pulmonary alveolar proteinosis. Borie R, et al. European Respiratory Review 2011 20: 98-107; DOI: 10.1183/09059180.00001311
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