法務官 (自衛隊)

法務官(ほうむかん、Legal Officer)とは、自衛隊の各幕僚監部や各級司令部に置かれて法務を掌る自衛官の職名である。旧日本陸軍および海軍法務官とは異なり、法曹資格の有無は問われない。

統合幕僚監部の法務官

2006年(平成18年)3月27日に発足した統合幕僚監部には首席法務官1名が置かれている。また、首席法務官の下に首席法務官付法務官や首席法務官付法務班長が置かれている。2006年(平成18年)3月27日任命分では、首席法務官は1等海佐、首席法務官付法務官は1等海佐及び1等空佐各1名、首席法務官付法務班長は1等陸佐が充てられた。

首席法務官の所掌事務は次のとおりである(防衛省組織令(昭和29年政令第178号)第72条)。

  1. 統合幕僚監部に係る訴訟損害賠償及び損失補償に関すること。
  2. 例規案その他特に命ぜられた重要な文書の審査に関すること。
  3. 統合幕僚監部の所掌事務の遂行に必要な法令の調査及び研究に関すること。

統合幕僚監部の首席法務官については、「統合幕僚監部の人物一覧」を参照。

陸上幕僚監部の法務官

以前の陸上幕僚監部では、法務は監理部法務課が掌っていたが、2006年(平成18年)3月27日付で「法務官」として独立した。各幕僚監部中では唯一、「首席法務官」ではなく「法務官」と称している。法務官1名が置かれている。法務官の下に副法務官(2006年(平成18年)3月27日任命分は1等陸佐及び2等陸佐各1名。)が置かれている。

法務官の所掌事務は次のとおりである(防衛省組織令第104条)。

  1. 訴訟、損害賠償及び損失補償に関すること。
  2. 職員の災害補償に関すること。
  3. 例規案その他特に命ぜられた重要な文書の審査に関すること。
  4. 陸上幕僚監部の所掌事務の遂行に必要な法令の調査及び研究に関すること。
歴代の陸上幕僚監部法務官(陸将補(二))
氏名在任期間出身校・期前職後職
01藤野毅2006.3.27 - 2007.3.26防大18期陸上自衛隊研究本部幹事
兼 企画室長
陸上自衛隊関東補給処
霞ヶ浦駐屯地司令
02佐藤正[1]2007.3.27 - 2009.3.23防大22期自衛隊福岡地方協力本部陸上自衛隊輸送学校
03有吉登聖2009.3.24 - 2010.3.28防大24期東部方面総監部幕僚副長第8師団副師団長
北熊本駐屯地司令
04菊池哲也2010.3.29 - 2012.3.29中央大学[2]北部方面総監部人事部長陸上自衛隊高等工科学校
武山駐屯地司令
05林田和彦2012.3.30 - 2014.3.27北九州市立大学[3]統合幕僚監部首席法務官退職
06甲斐芳樹2014.3.28 - 2015.8.3防大28期北部方面総監部幕僚副長第11旅団長
07軽部真和2015.8.4 - 2017.8.1早稲田大学[4]第14旅団副旅団長退職
08坂本知司2017.8.1 - 2019.8.22防大29期第9師団副師団長
青森駐屯地司令
退職
09七嶋剛士2019.8.23 - 2022.3.16防大34期北部方面総監部人事部長富士教導団
10篠村和也2022.3.17 -防大33期第2師団副師団長
旭川駐屯地司令

海上幕僚監部の法務官

以前の海上幕僚監部では法務は監理部法務課が掌っていたが、2002年(平成14年)3月22日付で「首席法務官」として独立し首席法務官1名が置かれている。その所掌事務は次のとおりである(防衛省組織令第132条)。海上自衛隊の特殊性から、他の幕僚監部の法務官と異なり、海難審判に関することも所掌事務となっている。

  1. 訴訟、損害賠償、損失補償及び海難審判に関すること。
  2. 例規案その他特に命ぜられた重要な文書の審査に関すること。
  3. 海上幕僚監部の所掌事務の遂行に必要な法令の調査及び研究に関すること。

首席法務官(1等海佐)はLegal Affairs Generalと、法務室長(1等海佐)はDirector of the Legal Officers, Office of the Staff Legal Affairs Generalとそれぞれ英訳される。

歴代の海上幕僚監部首席法務官(1等海佐)
氏名在任期間出身校・期前職後職
01冨山薫孝2002.3.22 - 2002.7.31茨城大学
20期幹候
海上幕僚監部監理部法務課長退職(海将補昇任)
02松永 寛2002.8.1 - 2004.12.19防大15期海上幕僚監部付退職(海将補昇任)
03角田伸吾2004.12.20 - 2006.12.19防大19期佐世保地方総監部管理部長徳島教育航空群司令
04武田孝充2006.12.20 - 2009.12.14明治学院大学
30期幹候
海上幕僚監部付海上自衛隊警務隊司令
05酒井将治2009.12.15 - 2012.4.2大阪大学
30期幹候[5]
統合幕僚監部首席法務官退職(海将補昇任)
06黒澤聖二2012.4.2 - 2014.3.22防大27期自衛隊徳島地方協力本部統合幕僚監部首席法務官
07春花和広2014.3.23 - 2015.3.25防大27期海上幕僚監部付小月教育航空群司令
08沼田良亨2015.3.26 - 2017.11.30防大28期海上幕僚監部首席法務官付法務室長
海上自衛隊幹部学校
退職(海将補昇任)
09坂本太郎2017.12.1 - 2019.11.3042期幹候海上幕僚監部首席法務官付法務室長
兼 海上自衛隊幹部学校
小月教育航空群司令
10森下治彦2019.12.1 - 2021.12.7駒沢大学
40期幹候
自衛隊情報保全隊情報保全官沖縄基地隊司令
11加治 勇2021.12.8 -神奈川大学
45期幹候
海上幕僚監部首席法務官付法務室長

航空幕僚監部の法務官

航空幕僚監部には首席法務官1名が置かれている。その所掌事務は次のとおりである(防衛省組織令第160条)。

  1. 訴訟、損害賠償及び損失補償に関すること。
  2. 例規案その他特に命ぜられた重要な文書の審査に関すること。
  3. 航空幕僚監部の所掌事務の遂行に必要な法令の調査及び研究に関すること。
歴代の航空幕僚監部首席法務官(1等空佐)
氏名在任期間出身校・期前職後職
1森田公治2006.3.27 - 2007.7.31防大23期航空幕僚監部総務部法務課長第2高射群司令
2谷井修平2007.8.1 - 2009.3.23日本大学航空総隊司令部防衛部防衛課長第1輸送航空隊司令
兼 小牧基地司令
3遠藤秀一2009.3.24 - 2011.4.14防大25期統合幕僚監部総務部人事教育課長航空システム通信隊司令
4松谷淳一2011.4.15 - 2013.3.27同志社大学[6]航空自衛隊第2術科学校
5吉居宏2013.3.28 - 2015.7.31防大28期航空幕僚監部総務部総務課
情報公開・個人情報保護室長
第4高射群司令
6竹平哲也2015.8.1 - 2017.3.30防大30期第5高射群司令退職(空将補昇任)
7湯瀨邦彦2017.3.31 - 2018.10.2専修大学[7]南西航空混成団司令部幕僚長退職(空将補昇任)[8] 
8柴田利明2018.10.3 - 2020.10.8防大32期航空支援集団司令部総務部長第4高射群司令
9山下愛仁2020.10.9 - 2023.3.15駒澤大学航空自衛隊幹部学校航空研究センター長退職[9]
10右田竜治2023.3.16 -防大35期航空教育隊司令
防府南基地司令

各級司令部の法務官

陸上総隊司令部及び方面総監部並びに師団司令部及び旅団司令部には、「陸上総隊司令部、方面総監部、師団司令部及び旅団司令部組織規則」(昭和34年総理府令第62号)第26条により、法務官1名が置かれることとなっている。その所掌事務は次のとおりである。

  1. 訴訟、損害賠償及び損失補償に関すること。
  2. 隊員の災害補償に関すること。
  3. 例規案その他特に命ぜられた重要な文書の審査に関すること。
  4. 法令の調査及び研究に関すること。

「航空総隊司令部、航空支援集団司令部、航空教育集団司令部、航空開発実験集団司令部、航空方面隊司令部及び航空団司令部組織規則」(平成元年総理府令第10号)第18条の2、第29条の13及び第57条の14により、航空総隊司令部及び航空支援集団司令部並びに航空方面隊司令部[10]には法務官各1名が置かれることとなっている。その所掌事務は共通で次のとおりである。

  1. 訴訟、損害賠償及び損失補償に関すること。
  2. 例規案その他特に命ぜられた重要な文書の審査に関すること。
  3. 法令の調査及び研究に関すること。

脚注

  1. 防大総合安全保障研究科1期修了、総合安全保障研究科とは、学校教育法上の大学院に相当する組織である。佐藤正1佐(修了当時)は国際安全保障コースで学び、学位授与機構(当時)から「修士(社会科学)」の学位を授与された。
  2. 昭和57年卒(防大26期相当)
  3. 昭和55年卒(防大24期相当)
  4. 防大27期相当
  5. 昭和54年卒(防大23期相当)
  6. 昭和58年卒(防大27期相当)
  7. 昭和61年卒(防大30期相当)
  8. 自衛隊法第65条の13の規定に基づく平成30年度若年定年等隊員の就職の援助の実施結果の公表について (PDF)
  9. 自衛隊法第65条の11第5項の規定に基づく自衛隊員の再就職状況の報告(令和5年4月1日~同年6月30日分) (PDF)
  10. 航空方面隊司令部及び航空混成団司令部への法務官配置は2012年3月26日付で施行された「航空総隊司令部、航空支援集団司令部、航空教育集団司令部、航空開発実験集団司令部、航空方面隊司令部、航空混成団司令部及び航空団司令部組織規則の一部を改正する省令」(防衛省令第4号、官報本紙第5764号、2012年3月22日)による。
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