砂漠での声
『砂漠での声』(Une voix dans le désert)作品77は、エドワード・エルガーが1915年に作曲した朗誦、ソプラノと管弦楽のための作品。テクストはベルギーの詩人エミール・カマルツによる。
概要
1914年8月、ベルギーはドイツ軍の侵攻を受ける。大都市は壊滅、両陣営からは数えきれない犠牲者を出し、ベルギー国王アルベール1世と彼の軍はウェスト=フランデレン州、イセル川の川岸へと追いやられた。
The Pall Mall Gazetteは『砂漠での声』の公演評で、舞台上での情景を次のように評している。
緞帳が上がると舞台は夜、荒れ果てた土地に破壊された建物が建っている。遠くにイセル川のキャンプの明りが瞬き、手前には外套をまとった男の姿が、エルガーの音楽に合わせてこの光景について独り語りを行う。彼が話し終えると、小屋から農家の少女の声で戦争が終結する日の訪れを願い信じる歌が聞こえてくる。(中略)旅人は少女の勇敢な歌に聞き入り、釘付けとなって立ちすくむが、その後彼は彼女の見事な勇気と不屈の精神について語り、そして幕がゆっくりと下ろされる[1]。
初演は1916年1月29日にロンドンのシャフツベリー・シアターで行われた。朗誦を行ったのはベルギーの舞台俳優であるカルロ・リテンであり[注 1]、オルガ・リンのソプラノ[注 2]、そして指揮は作曲者自身であった。テクストを英訳したのはカマルツの妻であるティタ・ブラン(Tita Brand)である。
曲はピアノ伴奏版が1916年にエルキン社(Elkin & Co.)から出版されている。
テクスト
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English A Voice in the Desert
Soprano solo
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Français Une voix dans le désert
Soprano solo
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脚注
注釈
- カルロ・リテン(Carlo Liten)は1879年、アントウェルペンの生まれ。父はベルギー人、母はイタリア人だった。優れた舞台俳優、朗誦者であった彼は当時ヨーロッパとアメリカで広く知られた存在だった。エルガーの『カリヨン』、『ベルギーの旗』、『砂漠での声』で朗誦を務めている。第一次世界大戦後は3つの映画『The Strongest』(1920年)、『L'Affaire du train』(1921年)、『The Mysteries of Paris』(1922年)に出演する。ロンドンのSaturday Review紙の副編集者であったジョン・パーマーはリテンが「記憶している存命の人物の中で最高の素晴らしい声を持っている。(中略)響き、訴求力、魅力の点で私がこれまでに知る俳優の中で最も優れている。洗練された知性に裏付けられた身振りと表現力がこれに加わり、我々は類稀なる個性を目にすることになるのである」と述べている。
- オルガ・リン(Olga Lynn, 1882年-1961年)は、コヴェント・ガーデンの有名な歌唱指導者だった。自叙伝「Oggie, The Memoirs of Olga Lynn」を著している。(Weidenfeld & Nicolson, 1995)
- Boche: フランス語で「ごろつき」を意味するスラング。第一次世界大戦中、フランス兵がドイツ兵を罵る際に用いた。
出典
- The Pall Mall Gazette, 31 January 1916
参考文献
- Kennedy, Michael, Portrait of Elgar (Oxford University Press, 1968) ISBN 0-19-315414-5
- Moore, Jerrold N. “Edward Elgar: a creative life” (Oxford University Press, 1984) ISBN 0-19-315447-1
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