若桜鉄道

若桜鉄道株式会社(わかさてつどう、: Wakasa Railway Co., Ltd.)は、鳥取県で旧国鉄特定地方交通線若桜線を引き継いで運営している、鳥取県などが出資する第三セクター方式の鉄道事業者である。本社は鳥取県八頭郡若桜町に所在。

若桜鉄道株式会社
Wakasa Railway Co., Ltd.
本社のある若桜駅
本社のある若桜駅
種類 株式会社
略称 若鉄
本社所在地 日本の旗 日本
680-0701
鳥取県八頭郡若桜町若桜345番地2
北緯35度20分42.75秒 東経134度23分54.19秒
設立 1987年昭和62年)8月6日
業種 陸運業
法人番号 3270001002230
事業内容 旅客鉄道事業 他
代表者 代表取締役社長 上川元張
資本金 1億円
(2018年3月31日現在[1]
発行済株式総数 2,000株
売上高 3億1528万円
(2018年3月期[1]
営業利益 △334万5000円
(2018年3月期[1]
純利益 1280万5000円
(2018年3月期[1]
純資産 1億724万4000円
(2018年3月31日現在[1]
総資産 3億499万6000円
(2018年3月31日現在[1]
従業員数 17人
(2018年3月31日現在[1]
決算期 3月31日
主要株主 若桜町 32.8%
八頭町 32.7%
鳥取県 15.0%
鳥取市 9.6%
山陰合同銀行 3.5%
鳥取銀行 3.5%
(2019年3月31日現在[2]
外部リンク https://wakatetsu.co.jp/

歴史

運営形態の変更

若桜鉄道は、2009年(平成21年)1月20日に臨時株主総会を開催し、上下分離方式(公設民営方式)を採用することを決めた。同年4月1日をもって若桜鉄道が所有する線路、駅施設等を若桜町および八頭町に譲渡し、両町が第三種鉄道事業者として施設を保有管理、若桜鉄道が第二種鉄道事業者として運行を行うこととした。

これは、転換時に積み立てられた赤字補填基金が2008年度(平成20年度)末に枯渇することが明らかになったため、若桜町、八頭町および若桜鉄道は法定協議会を開催して、今後の若桜線の運営改善方策の策定を行った。その結果、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の規定に基づき、国土交通省に鉄道事業再構築実施計画の認定について申請し、2009年(平成21年)3月13日付けで認定されたものである[6]

この鉄道事業再構築実施計画認定は、福井鉄道福武線(2009年2月24日認定)に次いで2件目で、「公有民営化」方式としては初めての認定である。

なお、上下分離方式の採用に伴い、従来、社長は若桜町長、副社長は八頭町長(2005年3月30日までは八東町長)が兼務していたが、2009年(平成21年)6月22日に取締役会を開催し、6月23日付けで小林昌司社長(若桜町長)が会長に、平木誠副社長(八頭町長)が副会長になり、唯一代表権を持つ社長には旧国鉄出身の原卓也専務が昇格することを決めた[7][8]

2014年(平成26年)に社長が一般から公募され[9]、同年9月に由利高原鉄道ITアドバイザーをしていた山田和昭が社長に就任した[3]

八頭町から年間5900万円の財政支援を受けてきたが、2015年度(平成27年度)の赤字額は1500万円となった。2016年(平成29年)には若桜町と八頭町に(資産としての)車両を譲渡し、維持管理費や燃料費の負担も行うことが決定[10]。年9900万円の財政支援金額となった。ただ、数年内に老朽化した車両の大規模な修繕費などが加わり、八頭町の支援が年1億2000万円になる見込みのため、今後の路線存続、1日10往復の運行維持が危ぶまれている[11]とも報じられた。しかし、2020年3月14日のダイヤ改正で八東駅交換設備が新設されるのに伴い、逆に増発されて15往復となることになった[12]

経営状況・利用状況

各年度の経営状況・利用状況は以下の通り。1万円以下は切り捨て。▲は赤字を示す。

年度 輸送人員
(人)
収入 支出 損益額 備考 出典
2008年 427,601 1億51万円 1億5780万円 ▲5728万円 上下直営最終年 [13]
2009年 391,463 1億9210万円 1億9030万円 180万円 上下分離開始 [13]
2010年 397,291 1億9771万円 1億9544万円 226万円 [13]
2011年 419,801 2億848万円 2億761万円 87万円 [13]
2012年 395,794 2億1617万円 2億2462万円 ▲845万円 [13]
2013年 415,763 2億1625万円 2億3280万円 ▲1655万円 [13]
2014年 346,658 1億8621万円 2億1774万円 ▲3153万円 [13]

路線

八東駅 - 徳丸駅間の第二八東川橋梁

運行形態などは以下の項目を参照のこと。

車両

形式称号の「WT」は若桜鉄道の列車が走る沿線の町にちなみ、「W=若桜」、「T=鳥取」を意味している。

2016年(平成28年)に車両を若桜町および八頭町に譲渡した。各車両は若桜鉄道に在籍しながら、維持管理は両町が行う形態となっている[10]

現有車両

2017年(平成29年)3月31日現在、2形式4両の気動車が在籍する(所有は若桜町および八頭町)[14]

WT3000形
1987年(昭和62年)の開業時に投入したWT2500形を更新工事の施工により改番した軽快気動車で、WT3001・WT3003・WT3004の3両が在籍。全車に「さくら」の愛称が付けられている。
2018年にWT3003が観光列車「昭和」[15]、2019年にWT3001が「八頭号」[16]、2020年にWT3004が「若桜号」[17]に改造されて運行されている。
WT3300形
2001年(平成13年)3月に増備された新潟鐵工所製の軽快気動車 (NDC)[18]で、WT3301の1両のみ在籍。日本宝くじ協会寄贈の「宝くじ号」である。イベント用としても使用するため、カラオケ装置が設置されている[18]。2016年3月からは「スズキ・GSX1300Rハヤブサ」のラッピング広告車両となっている[19]

過去の車両

WT2500形
1987年(昭和62年)10月の開業時に投入された新潟鐵工所製の軽快気動車 (NDC)[20]。WT2501 - WT2504の4両が投入された[20]。2001年(平成13年)から更新によりWT3000形へ改番され、2003年(平成15年)にWT2504がWT3004に変更されたのを最後に更新工事を終了。未更新のWT2502は余剰となったことから同年12月31日をもって廃車となり形式消滅した。

保存車両

いずれも車両としては計上されていない[14]

機関車
貨車
  • ト6:若桜駅構内にて保存されている元長野電鉄の貨車。
  • ヨ8627:神奈川県の団体から譲渡された車掌車。若桜駅構内にて保存。
客車

その他

  • 排雪モーターカー:若桜線にて冬に走行するほか、駅構内の車両の入換にも使用される。
  • 軌道自転車:若桜線内の点検用車両。

運賃

大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ)。2019年(令和元年)10月1日改定[23][24]

郡家駅 - 八頭高校前駅間 (0.9 km) の運賃は100円となっているが、2007年(平成19年)3月31日までこの区間の運賃は60円と日本一安い設定となっていた。1996年(平成8年)の八頭高校前駅開業当初の運賃は160円であったが、多くの高校生に利用してもらいたいとの意向から、1997年(平成9年)4月1日から 1 km までと 2 km までの運賃区分を新設し郡家駅 - 八頭高校前駅間の運賃を60円に値下げした。しかし、ここ数年は利用者減少が続いているため、年間250万円の増収が見込まれる運賃値上げを決定し、中国運輸局に2007年(平成19年)4月1日から100円に運賃を値上げすることを申請した。値上げ実施後は北大阪急行電鉄の大人初乗り運賃80円(2007年4月1日時点)が日本一安い運賃となった。しかし、北大阪急行電鉄が2017年(平成29年)4月からの運賃値上げを申請したことから、北大阪急行電鉄の値上げ実施後は1位タイではあるものの再び日本一安い運賃となる[25]

郡家
100 八頭高校前
210170 因幡船岡
270270170
300300270210 安部
340300300270210 八東
340340340300270170 徳丸
370370340340300270170 丹比
440440400370370340300270 若桜

運転体験

実際に運行されているWT3000形気動車および展示走行できる状態で保存されているC12形蒸気機関車(圧縮空気により稼動)、DD16形ディーゼル機関車を使用した体験運転が、若桜駅構内にて行われている。指導運転士添乗のもと、気動車は若桜駅構内3番線(約70 m)を、C12およびDD16は展示走行用専用線(約140 m)をそれぞれ2往復できる。

脚注

出典

  1. 鉄道統計年報平成29年度版 - 国土交通省
  2. 国土交通省鉄道局監修『鉄道要覧』令和元年度版、電気車研究会・鉄道図書刊行会
  3. 鳥取)公募の新社長に山田和昭氏 若桜鉄道 - 朝日新聞デジタル、2014年9月2日
  4. “若桜鉄道に45年ぶりSL走る”. 中国新聞 (中国新聞社). (2015年4月12日). http://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=146507&comment_sub_id=0&category_id=110 2015年4月25日閲覧。
  5. 柏樹利弘 (2015年4月11日). “45年ぶりにSL疾走、ファンら見守る 鳥取の若桜鉄道”. 朝日新聞. http://www.asahi.com/articles/ASH4C4WV2H4CPUUB006.html 2015年4月14日閲覧。
  6. 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく鉄道事業再構築実施計画の認定(『公有民営化』第1号)について[若桜町、八頭町、若桜鉄道(株)](国土交通省、2009年3月12日)
  7. 若桜鉄道:新社長に旧国鉄・原専務が昇格 /鳥取(2009年6月24日付毎日新聞
  8. “赤字脱却 道険し 新体制の若桜鉄道”. 日本海新聞 (新日本海新聞社). (2009年7月10日). オリジナルの2010年7月18日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100718035858/http://www.nnn.co.jp/news/090710/20090710030.html 2015年4月25日閲覧。
  9. 若桜鉄道、社長を一般から募集 - レスポンス、2014年6月28日
  10. 若桜線維持存続事業 - 鳥取県(2022年8月1日閲覧)
  11. ""鉄路縮小"の衝撃〜どう守る北海道の公共交通〜". 北海道スペシャル. 2 December 2016. NHK札幌放送局
  12. 『広報やず』2020年2月号 No.179 (PDF)
  13. 若桜鉄道の概要 - 鳥取県、2016年11月20日閲覧
  14. 鉄道統計年報平成28年度版 - 国土交通省
  15. 若桜鉄道で観光列車「昭和」の試乗会 - 鉄道ファン・railf.jp 鉄道ニュース、2018年3月2日掲載
  16. 若桜鉄道の観光列車第2弾「八頭号」運行開始 - 産経ニュース、2019年3月2日
  17. 若桜鉄道、観光列車第3弾「若桜号」3/7デビュー! 試乗会・内覧会も - マイナビニュース 2020年1月18日掲載
  18. 『RAIL FAN』第49巻第4号、鉄道友の会、2002年4月1日、17頁。
  19. 若桜鉄道「隼ラッピング列車」運行始まる…初日はバイク並走 - レスポンス、2016年3月21日
  20. 鉄道ジャーナル』第21巻第14号、鉄道ジャーナル社、1987年12月、124-125頁。
  21. 若桜線SL運行委員会からのお知らせ若桜鉄道公式HP
  22. “走る日待ち遠しい 若桜駅にディーゼル機関車”. 日本海新聞 (新日本海新聞社). (2012年12月21日). オリジナルの2013年1月27日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130127220411/http://www.nnn.co.jp/news/121221/20121221010.html 2015年4月25日閲覧。
  23. 若桜鉄道運賃表 - 若桜鉄道、2019年11月2日閲覧
  24. 運賃変更のお知らせ - 若桜鉄道、2019年9月11日
  25. 「最安」初乗り値上げ、100円に…北大阪急行、読売新聞、2016年12月17日。

外部リンク

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