赫夜姫
概要
静岡県の赫夜姫は、大まかな流れは『竹取物語』と同じである。しかし、出生や年代、帝、最後などが各資料によって異なっている。
毘沙門堂本『古今集注』
鎌倉時代末期に書写された『古今和歌集』の注釈書である毘沙門堂本『古今集注』には、以下の通り伝わる。
- 欽明天皇の時代、駿川国アサマノ郡に住んでいる翁が、竹の中に金色に光る鶯の卵を見つけた。
- その卵を持ち帰ると、7日ほどで美女が生まれた。翁はその美しさ故に「カクヤヒメ」と名付けた(本文中には赫夜姫という表記は出てこない)。
- 欽明天皇が赫夜姫の噂を聞き、后にしようと乙見丸という人物を勅使に赫夜姫を都へ呼び寄せた。
- 帝の寵愛は限りなかったが、3年後に赫夜姫が「自身は天女である。前世において君(帝)と縁があった故に今下界に降りているのだ」と告白し、縁は尽きたとして鏡を置いて去ってしまった。
- 帝はその鏡を胸に抱き恋焦がれたため、鏡が焼け、消えることはなかった。
- 公卿たちは話し合い、赫夜姫がいた駿河国の富士山にその鏡を送ることとなった。
- 富士山に燃え尽きない鏡が安置されたため、富士山の煙は止むことがなくなった。
この話は、『古今和歌集』では「富士山=燃ゆ」という単語と結びつけられ一つの歌が詠まれていたのが、『新古今和歌集』以降に富士山と煙を詠み合わせるようになった結果生まれた伝承であるとされる[1]。
『臥雲日件録』
瑞渓周鳳の日記である『臥雲日件録』の文安4年(1447年)2月20日条によると、城呂(座頭)が駿河国の赫夜姫伝説を語ったという。話の内容は毘沙門堂本『古今集注』とあらかた同じである。ただし、時代は天智天皇とされ、富士=不死であると説明されるなど独自性も見られる[1]。
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