運動学的回折理論
運動学的回折理論(うんどうがくてきかいせつりろん、英: kinematical diffraction theory)とは、回折現象を扱うときに一回散乱(回折)のみを考慮(ボルン近似)し、回折による入射光の減少を考慮しない理論のこと。
一方で、多重散乱を考慮した理論のことを動力学的回折理論という。
散乱確率の低いX線回折や中性子回折では運動学的な理論で概ね説明ができる。散乱確率の高い電子線回折では、動力学的な理論による取り扱いが必要となる。
電子の運動学的回折理論
原子による散乱
詳細は「散乱理論」を参照
1つの原子による電子の弾性散乱では、相互作用ポテンシャルを V(r) とすると、散乱波の波動関数は次のように表される。
ここで f(θ, φ) は原子による散乱振幅で、原子散乱因子と呼ばれる。たとえば原子による電子散乱では、原子散乱因子は原子ポテンシャルのフーリエ変換である。
ここで K は入射波と散乱波との差を表すベクトルであり、散乱ベクトルと呼ばれる。散乱強度(散乱断面積)は原子散乱因子を用いて次のように表される。
脚注
参考文献
- 村田好正『表面物理学』朝倉書店〈朝倉物理学大系〉、2003年3月28日。ASIN 4254136870。ISBN 978-4-254-13687-6。 NCID BA61617154。OCLC 54660768。全国書誌番号:20393762。
- 今野, 豊彦『物質からの回折と結像―透過電子顕微鏡法の基礎』共立出版、2003年12月25日。ASIN 4320034260。ISBN 978-4-320-03426-6。 NCID BA65112477。OCLC 54920860。全国書誌番号:20543772。
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