関潤

関 潤(せき じゅん、1961年5月9日 - )は、日本実業家東風汽車有限公司総裁日産自動車執行役副最高執行責任者(副 COO)、日本電産代表取締役社長執行役員最高経営責任者(CEO)などを経て、2023年2月から鴻海精密工業グループの電気自動車(EV)事業の最高戦略責任者(CSO)。

来歴・人物

長崎県佐世保市出身。1980年長崎県立佐世保南高等学校卒業。高校時代は陸上部で短距離をやっていた。生徒会長を務めた[1]。1980年、防衛大学校に入学した。両親に学費の負担をかけたくなかったのと、ジェット戦闘機のパイロットになりたいというのが志望の動機であった。1984年、防衛大学校理工学専攻機械工学専門課程を卒業した[2]。同期にグッドウィル・グループ創業者の折口雅博村井嘉浩宮城県知事湯浅悟郎陸上幕僚長坂口大作防衛大学校教授、不動産投資家の倉石灯などがいる。もともと2.0あった視力が急に低下してパイロットへの道が閉ざされ、陸上自衛隊に入ったものの、すぐに除隊してしまった。

新たなやりがいを求め、1986年に日産自動車に入社した[3]生産部門などを担当し[4]、2001年には北米日産会社出向した。2006年、日産自動車パワートレイン生産技術本部主管になった。2009年、日産自動車プログラム・ダイレクターオフィス プログラムダイレクター[3]を務めた。

2012年、日産自動車執行役員MC-ASIAサポート、日本/アジア事業統括室、国内ネットワーク戦略部、グローバル資産管理部、関係会社管理部、マリーン事業管理室などを担当した。2013年、東風汽車有限公司の副総裁に就任した。2014年、日産自動車常務執行役員中国マネジメントコミッティ担当兼東風汽車有限公司総裁に就任した。2018年、日産自動車専務執行役員、アライアンス SVP、生産技術担当に就任した[3]

2019年10月7日、日産自動車執行役/副最高執行責任者への就任が発表され[2][3]内田誠最高経営責任者、アシュワニ・グプタ最高執行責任者とのトロイカ体制が敷かれた。当時はカルロス・ゴーン前会長が金融商品取引法違反容疑で逮捕され、社内は大変なことになっていた。副COOとして会社を立て直すことに何の迷いもなかった。ところが10月8日、午前7時に見知らぬ番号から携帯電話に着信があった。日本電産CEOの永守重信であった。「私は君が社長になると思っていた。3番目はつまらないぞ。社長にしてやるから、うちに来い。」永守は熱心に関を口説いた。断ることを前提に、京都での会食に出向いたが、永守の「成長」という言葉が関の心に刺さった。「企業にとって最も重要なのはサステナビリティー(持続可能性)で、そのためには成長が必要だ。経営も飛行機と同じで、成長というエンジンがなくなった途端、墜落してしまう。私は売上高を10兆円まで伸ばす自信があるが、1人ではできない。ぜひ一緒にやってくれ。」「日産では副COOになったばかりで申し訳なかったのですが、人生最大のわがままを言わせてもらいました。」結局1か月足らずで辞任した[5]

2020年、日本電産特別顧問に就任した[4]。同年日本電産代表取締役社長執行役員最高執行責任者インド日本電産取締役会長に就任した[6]。2021年6月、永守会長から最高経営責任者(CEO)を引き継いだ[7]。CEO就任を発表した記者会見では、「カラオケで永守重信というすごく上手な歌い手の後に出ていくような心境ですが、私もうまいんで一曲聴いてください。」と話した。批判されることは承知の上で、戦い抜く覚悟で引き受けた[8]

2022年4月、日本電産代表取締役社長執行役員兼最高執行責任者(COO)に降格された[9]。車載事業本部長、日本電産トーソク取締役会長、インド日本電産会長を兼務する[10]。株価や業績への不満が背景にあり、オンラインで記者会見した永守は急変する世界情勢を踏まえ「非常に早い決断と対処が必要だ。全てを知り尽くしている私がもう1回指揮する」と述べた[11]。関は「正直、悔しい。向かい風をはね返す実力がなかった」と話した[12]

2022年9月2日、日本電産社長兼COOを退任した。同社は「業績悪化の責任をとるため」としている。後任には創業メンバーの一人の小部博志副会長が9月3日付で就任した。9月2日に会見した創業者の永守重信会長兼CEOは「外部にいい後継者がいると考えたのは錯覚だった」「外部から即トップを迎えることは今後一切ない」と語った[13]

2023年1月30日、台湾の鴻海科技グループは、関が同年2月1日付で電気自動車(EV)事業の最高戦略責任者(CSO)に就くと発表した[14][15]。電子機器製造受託サービス(EMS)からの事業多角化を目指す鴻海にとって、EV事業では初の著名経営者の招へいとなる。

出典

  1. 『卒業記念』長崎県立佐世保南高等学校〈第32回〉、1980年。
  2. 社長の交代および代表取締役の異動に関するお知らせ 日本電産
  3. 代表執行役の異動に関するお知らせ 日産自動車
  4. 「日産の関潤・元副COOが日本電産入社 社長含みか 永守会長が明らかに」 毎日新聞2020年1月23日
  5. 「日産、副COO退社でトロイカ新体制崩壊 株価は8年ぶり安値」] 産経新聞 2019.12.25
  6. 日本電産について役員紹介 日本電産
  7. 日本電産、CEOに関社長 永守氏は会長にとどまる 日本経済新聞2021年4月22日
  8. 三宅隆政「Leaders 経営者に聞く――日本電産者社長 関潤氏」『産経新聞』2021年8月17日。
  9. 最高経営責任者(CEO)の異動等に関するお知らせ日本電産
  10. 機構改革および役員の異動に関するお知らせ日本電産
  11. 永守氏 CEO復帰 日本電産 1年足らず『産経新聞』2022年4月22日。
  12. 日本電産 永守氏CEOに 1年足らずで復帰『読売新聞』2022年4月22日。
  13. 日本電産 関社長が退任『産経新聞』2022年9月3日。
  14. Hon Hai Technology Group names Mr Jun Seki as Chief Strategy Officer for electric vehicles honhai.com 2023年1月30日。
  15. 日産自・日本電産出身の関潤氏が台湾ホンハイへ電撃移籍!EV責任者として再挑戦- Diamond Online 2023年1月30日。
先代
中村公泰
東風汽車有限公司総裁
2014年 - 2018年
次代
内田誠
先代
永守重信
日本電産CEO
2021年 - 2022年
次代
永守重信
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