音響外傷
音響外傷(おんきょうがいしょう、または音響性外傷〈おんきょうせいがいしょう〉、Noise-induced hearing loss、Acoustic trauma)とは、強力な音波によって内耳の蝸牛が障害を受け難聴などが生じる聴覚機構の損傷を受けることである。音響性聴器障害とも呼ばれる。原因となって起こった音の聴取の可否に関する閾値の上昇(聴力の低下)が、たとえ一部の周波数であっても、正常聴力と比べて21dB以上上昇したまま回復しない状態のことを言う。聴力低下は、一般健康診断[1][2]の 1kHz , 4kHz を用いる選別聴力検査(オージオメーター)を行う事でスクリーニングされる[1]。

耳の構造、断面模式図
なお、剣道競技者にみられる難聴[3]は感覚細胞の音圧による外傷性機能低下ではなく中枢神経の損傷によるものと考えられている[4]。
症状
音の生体への影響
産業医学ジャーナル Vol.38 職域に生かす耳鼻咽喉科の最新知識より引用[14]
| 騒音レベル | 生体への影響 |
|---|---|
| 3〜65 dB(A) | 心理的影響 |
| 65〜85 dB(A) | 心理的影響 生理機能に及ぼす影響 |
| 85〜120 dB(A) | 心理的影響 生理機能に及ぼす影響 内耳障害 |
| 120〜 dB(A) | 高度内耳障害 |
治療
有効な治療方法は確立されていない。軽度の急性音響性聴器障害は投薬治療により軽快することがある。
出典・脚注
- 朝比奈紀彦、難波玄、黒田一 ほか、騒音難聴の臨床的研究 AUDIOLOGY JAPAN. 1994年 37巻 6号 p.726-731, doi:10.4295/audiology.37.726
- 朝比奈紀彦, 内藤 陸奥男, 飯田 祐起子 ほか、一般健康診断における騒音性難聴症例の検討 AUDIOLOGY JAPAN. 1992年 35巻 4号 p.385-386, doi:10.4295/audiology.35.385
- 加藤榮司, 東野哲也「剣道による聴覚障害 -高等学校剣道部員に対する18年間にわたる聴覚健診の成果-」『日本耳鼻咽喉科学会会報』第115巻第9号、日本耳鼻咽喉科学会、2012年、842-848頁、doi:10.3950/jibiinkoka.115.842、ISSN 0030-6622、NAID 130003299258。
- <研究課題名>剣道難聴発生のメカニズム解明と新機能防具の開発 代表研究者:濱西伸治 (PDF)
- 和田哲郎、騒音性難聴の最近の知見 (疫学, 基礎など) 日本耳鼻咽喉科学会会報 2017年 120巻 3号 p.252-253, doi:10.3950/jibiinkoka.120.252
- 和田哲郎、佐野 肇, 西尾 信哉 、狭義の音響外傷とその他の急性音響性難聴の治療経過 AUDIOLOGY JAPAN. 2017年 60巻 5号 p.359, doi:10.4295/audiology.60.359
- 大橋正實、土田伸子、佐藤信清 ほか、騒音性突発難聴の検討 AUDIOLOGY JAPAN. 1985年 28巻 5号 p.778-783, doi:10.4295/audiology.28.778
- 野澤真理子、野口佳裕、堤剛 、エアバッグによる音響外傷の一例 AUDIOLOGY JAPAN. 2002年 45巻 6号 p.692-696, doi:10.4295/audiology.45.692
- 志多享、阿部登、高橋尚美 ほか、音響性急性感音難聴の一症例 耳鼻と臨床 1985年 31巻 6号 p.1191-1195, doi:10.11334/jibi1954.31.6_1191
- 井奈波良一、打ち揚げ花火と健康 日本健康医学会雑誌 2012年 20巻 4号 p.214-217, doi:10.20685/kenkouigaku.20.4_214
- 中村賢二、山本和久、ディスコ サウソドによる騒音性突発難聴の一症例 日本耳鼻咽喉科学会会報 1977年 80巻 7号 p.729-731, doi:10.3950/jibiinkoka.80.729
- 坪井康浩、牛迫泰明、春田厚 ほか、騒音性難聴の原因の年次的変化 AUDIOLOGY JAPAN. 1991年 34巻 5号 p.605-606, doi:10.4295/audiology.34.605
- 西川益利、西川恵子、ロック音楽による急性音響外傷例 耳鼻咽喉科臨床 1992年 85巻 2号 p.175-180, doi:10.5631/jibirin.85.175
- 和田哲郎、原晃:職域に生かす耳鼻咽喉科の最新知識 騒音性難聴① 歴史と医学的・社会的背景 産業医学ジャーナル Vol.38 No.6 2015
- 江川義之: 効果的な聴力保護具 の選定法について 産業安全研究所 安全衛生コンサルタント 2005/1月 (PDF)
- 主な疾患-難聴外来 東北大学病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科学教室
- 横井尚子、石川正治、加納章子 ほか、【原著】急性音響外傷モデルにおけるデキサメタゾン鼓室内投与による聴性誘発反応の変化 順天堂医学 2003年 49巻 2号 p.185-193, doi:10.14789/pjmj.49.185, NAID 110000184918
- 森満保、松元一郎、落合洋一郎 ほか、音響外傷の治療における基礎と臨床 耳鼻と臨床 1977年 23巻 6号 p.781-785, doi:10.11334/jibi1954.23.6_781
- 高橋和彦、木村伸一、和田哲郎 、音響外傷におけるメチルプレドニゾロンの治療効果について AUDIOLOGY JAPAN. 1995年 38巻 4号 p.291-297, doi:10.4295/audiology.38.291
関連項目
外部リンク
- 騒音障害防止のためのガイドラインの策定について 職場のあんぜんサイト
- 騒音性難聴の認定基準について (昭和61年3月18日)(基発第149号) 厚生労働省
- 道田哲彦、藤原敬三、内藤泰、音響性聴器障害の非対称性に関しての検討 AUDIOLOGY JAPAN. 2016年 59巻 5号 p.511-512, doi:10.4295/audiology.59.511
- 音響外傷 松山市医師会
- 別府玲子、服部琢、喜多村真、玩具のラッパによる幼児急性音響外傷 AUDIOLOGY JAPAN. 1995年 38巻 1号 p.38-43, doi:10.4295/audiology.38.38
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