(231937) 2001 FO32

(231937) 2001 FO32 はアポロ群に分類されている地球近傍小惑星で、潜在的に危険な小惑星(PHA)の一つとしても知られている。2001年3月23日にアメリカ・ニューメキシコ州のソコロで観測を行っていたリンカーン地球近傍小惑星探査(LINEAR)プロジェクトによって発見された。2021年3月21日16時3分(協定世界時による時刻、日本標準時では翌22日1時3分)に地球から約 0.0135 au(約 202万 km、月軌道までの距離の約5.25倍)の距離を通過した。2021年に月軌道から10倍以内の範囲に接近する小惑星の中では最も直径が大きく、これまで知られている小惑星の中でも特に速く移動する小惑星の一つとされている[5][6][7]。

(231937) 2001 FO32
2021年3月22日にゴールドストーン深宇宙通信施設で撮影された(231937) 2001 FO32のレーダー画像
2021年3月22日にゴールドストーン深宇宙通信施設で撮影された(231937) 2001 FO32のレーダー画像
小惑星番号 231937
見かけの等級 (mv) 15.6(発見時)[1]
分類 地球近傍小惑星(NEO)[2]
潜在的に危険な小惑星(PHA)[2]
軌道の種類 アポロ群[2]
発見
発見日 2001年3月23日[2]
発見者 LINEAR[2]
発見場所 Lincoln Lab ETS
(アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ニューメキシコ州・ソコロ)[2]
軌道要素と性質
元期:JD 2,459,600.5(2022年1月21日)[2]
軌道長半径 (a) 1.699 au[2]
近日点距離 (q) 0.296 au[2]
遠日点距離 (Q) 3.102 au[2]
離心率 (e) 0.826[2]
公転周期 (P) 808.927 日[2]
(2.215 年[2])
軌道傾斜角 (i) 39.004°[2]
近日点引数 (ω) 123.366°[2]
昇交点黄経 (Ω) 181.723°[2]
平均近点角 (M) 117.065°[2]
最小交差距離 0.00375 au(地球)[2]
物理的性質
直径 550 ± 110 m[2]
自転周期 39.89 ± 0.05 時間[3]
スペクトル分類 Sr[4]
絶対等級 (H) 17.7[2]
■Template (■ノート ■解説) ■Project

約20年に及ぶ観測弧(英語: Observation arc)[注 1]から、2196年までの2001 FO32の軌道は精度良く求められている[2]。

発見

2001 FO32は、2001年3月21日にアメリカ・ニューメキシコ州のソコロにある Lincoln Laboratory's Experimental Test Site にて観測を行っていたリンカーン地球近傍小惑星探査(LINEAR)プロジェクトによって発見された[1][2]。発見当時、2001 FO32はうみへび座の方向にあり、見かけの等級は15.6等級だった[1]。発見後まもなく、4ヶ所の観測施設での追加観測が2003年3月24日に小惑星センター(MPC)が小惑星を確認するまでに行われた[8]。この確認により、2001 FO32という仮符号が与えられ、同時に潜在的に危険な小惑星へと分類された[8]。

軌道と分類

(231937) 2001 FO32の軌道

2001 FO32は地球近傍小惑星の中でも、1 au以上の軌道長半径を持つグループであるアポロ群に分類される小惑星である[1][2]。軌道長半径は約 1.7 au で、近日点では太陽から約 0.3 au まで接近し、遠日点では約 3.1 au まで遠ざかる細長い楕円軌道を約2.2年かけて公転している。黄道面からの軌道傾斜角は約39度となっている。極端な楕円軌道のため、軌道離心率は約0.83と高くなっており、内太陽系にある4つの惑星全ての軌道を横断する[2]。

観測弧が約20年と長いことから、2001 FO32の軌道は精度良く求められており、ジェット推進研究所は2001 FO32の「condition code」[注 2]を最低ランクの「0」としており[2]、小惑星センターも「2」という低い水準で評価している[1]。直径が比較的大きく、かつ地球との最小交差距離(Earth MOID)が約 0.00375 au(約 56万 km、月軌道までの距離の約1.46倍)と近いことから潜在的に危険な小惑星に分類されているが、すくなくとも2196年までは、地球から 0.01 au(約 150万 km、月軌道までの距離の約3.9倍)以内の範囲に接近することはない。軌道が地球に対して潜在的に危険なのは数千年の時間スケールでのみとされる[5]。

地球への接近

非常に細長い楕円軌道を描いているため、2001 FO32は内太陽系の惑星、特に水星、金星、地球に対して幾度も接近している[2]。水星と金星に対する最小交差距離は、それぞれ約 0.036 au(約 540万 km)と約 0.075 au(約 1120万 km)となっている[1]。

2021年3月21日16時3分(協定世界時による時刻、日本標準時では翌22日1時3分)、2001 FO32は地球から約 0.0135 au(約 202万 km、月軌道の約5.25倍)の距離まで接近した[2]。最接近するまでの数日間は、2001 FO32の見かけの明るさがどんどん明るくなり、同日2時0分(協定世界時、日本標準時では同日11時0分)には11.7等級まで増光し[9]、肉眼で観測するには暗すぎる明るさだが、口径 20 cm 以上の望遠鏡があれば地上からの観測が可能となる明るさになった[5]。離心率が大きく、黄道面に対して傾いた軌道のため、地球接近時の地球に対する相対速度は 34.4 km/s に達し、これは現在知られている小惑星の中でも最も速いものの一つである[10][5]。2001 FO32が地球に最接近するまでの太陽からの離角は約64度で、地球から観測するには太陽に近すぎるとされている[9]。

今後100年間の間に、2001 FO32が2021年3月21日の接近時よりも地球に近づくことはないが、2052年3月22日18時57±3分(協定世界時)に地球から約0.0189 au(約283万 km)と、2021年と同等の距離にまで接近すると予想されている[2][10]。

物理的特徴

2001 FO32の大きさは当初、光学測定による解析から1 km 程度であると推定されていたが[10]、赤外線観測衛星のNEOWISEによる観測で実際には1 km未満である可能性が高まり、現在ではその大きさは 550 m に下方修正されている[2]。2018年にNASA赤外線望遠鏡施設で行われた近赤外線での観測から得られたスペクトルデータから、2001 FO32はSr型小惑星に分類されることが示唆されている[4]。

アメリカ航空宇宙局(NASA)は、2021年の地球への接近で2001 FO32の正確な大きさやアルベド、大まかな組成について調べる機会であるとしており、NASA赤外線望遠鏡施設での観測やディープスペースネットワークを用いたレーダー観測等が行われた[10][6]。2021年2月15日から行われたラ・シヤ天文台でのレーダー観測から、2001 FO32の自転周期は 39.89 ± 0.05 時間であると求められた[3]。

脚注

注釈

  1. 天体が最初に観測された日から最後に観測された日までの期間を指す。
  2. これまでの観測に基づいて、その天体の軌道の不確実性を0から9までの10段階のランクで評価したもの。「0」が最も不確実性が小さく(軌道が正確に求まっている)、「9」が最も不確実性が大きい(正確な軌道が判明していない)ことを示すランクとなる。小惑星センターでは「Uncertainty parameter」という名称で用いられている。

出典

  1. “(231937) = 2001 FO32”. Minor Planet Center. International Astronomical Union. 2021年3月18日閲覧。
  2. “JPL Small-Body Database Browser: 231937 (2001 FO32)”. JPL Small-Body Database. Jet Propulsion Laboratory (2021-03-12 last obs.). 2021年3月18日閲覧。
  3. Pravec, Petr (2021年3月12日). “Re: (231937) 2001 FO32 -- good lightcurve target for southern hemisphere”. groups.io. 2022年5月2日閲覧。
  4. Binzel, R. P.; DeMeo, F. E.; Turtelboom, E. V. et al. (2019). “Compositional distributions and evolutionary processes for the near-Earth object population: Results from the MIT-Hawaii Near-Earth Object Spectroscopic Survey (MITHNEOS)”. Icarus 324: 41–76. arXiv:2004.05090. Bibcode: 2019Icar..324...41B. doi:10.1016/j.icarus.2018.12.035.
  5. Irizarry, Ezzie (2021年1月6日). “Biggest asteroid to pass Earth in 2021 also one of the fastest”. EarthSky. 2021年3月18日閲覧。
  6. 松村武宏 (2021年3月12日). “3月下旬、直径数百メートルの小惑星が地球から200万kmの距離まで接近する”. sorae.info. 2021年3月18日閲覧。
  7. “NEO Earth Close Approaches”. Center for Near Earth Object Studies. Jet Propulsion Laboratory. 2021年3月18日閲覧。
  8. “MPEC 2001-F30 : 2001 FO32”. Minor Planet Electronic Circular. Minor Planet Center (2001年3月24日). 2021年3月18日閲覧。
  9. “JPL Horizons On-Line Ephemeris for 231937 (2001 FO32)”. JPL Horizons On-Line Ephemeris System. Jet Propulsion Laboratory. 2021年3月18日閲覧。 Ephemeris Type: OBSERVER, Target Body: Asteroid 231937 (2001 FO32), Observer Location: Geocentric [500], Start=2021-Mar-19, Stop=2021-Mar-22, Step=1 h
  10. Greicius, Tony (2021年3月11日). “Asteroid 2001 FO32 Will Safely Pass by Earth March 21”. NASA. 2021年3月18日閲覧。

関連項目

外部リンク

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