アイダよ、何処へ?

アイダよ、何処へ?』(アイダよどこへ、Quo Vadis, Aida?)は、2020年ボスニア・ヘルツェゴビナ戦争ドラマ映画。監督・脚本・製作はヤスミラ・ジュバニッチ[4]、出演はヤスナ・ジュリチッチイズディン・バイロヴィッチなど。第77回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門で上映された[5]第93回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた。

アイダよ、何処へ?
Quo Vadis, Aida?
監督 ヤスミラ・ジュバニッチ
脚本 ヤスミラ・ジュバニッチ
製作
  • ダミル・イブラヒモビッチ
  • ヤスミラ・ジュバニッチ
製作総指揮
  • マイク・グッドリッジ
  • オアナ・ケレメン
  • Nedzad Cerkez Beredza
出演者
  • ヤスナ・ジュリチッチ
  • イズディン・バイロヴィッチ
  • ボリス・イサコヴィッチ
  • ヨハン・ヘルデンベルグ
  • レイモント・ティリ
  • エミール・ハジハフィズベゴヴィッチ
音楽 アントニー・ラザルキーヴィッツ
撮影 クリスティーネ・A・マイヤー
編集 ヤロスワフ・カミンスキ
製作会社
  • Deblokada Film
  • Digital Cube
  • Coop99 Filmproduktion
  • N279 Entertainment
  • Razor Filmproduktion
  • Extreme Emotions
  • Indie Prod
  • Tordenfilm
  • TRT
配給 日本の旗 アルバトロス・フィルム
公開 イタリアの旗 2020年9月3日 (VIFF)[1]
日本の旗 2021年9月17日
上映時間 102分
製作国
言語
  • ボスニア語
  • 英語
  • セルビア語
  • オランダ語
製作費 3.5–4 million[2][3]

ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の最中、1995年に起こったスレブレニツァの虐殺が題材となっている。

ストーリー

ユーゴスラビアから独立したボスニア・ヘルツェゴビナでは、1992年から1995年まで内戦が続いた(ボスニア紛争)。元々は共存していたムスリム人セルビア人クロアチア人が、主義の違いで軍事衝突したのだ。

スレブレニツァの町はムスリム人が多く住む地域で、国連軍の管理下にあり、非武装の安全地帯のはずだった。紛争前は地元高校の女性教諭だったアイダは、国連軍として駐屯するオランダ人部隊の為に通訳を勤め、国連軍基地で職員として働いていた。

1995年7月13日、セルビア軍がスレプレニツァを制圧した。セルビア軍に対し空爆を予告したものの、結局は何も出来ない国連軍。アイダの夫と2人の息子たちは、少しの荷物だけを持ち出し、市民たちと共に、避難の為に国連軍基地に殺到した。だが、基地に入れたのは数千人だけで、2万人は基地の外に取り残された。

国連軍に交渉を求めるセルビア軍。アイダは基地に入れなかった夫を、『交渉役の民間人代表』に推薦することで、夫と息子を基地内に入れる事に成功した。しかし、基地内には充分な数のトイレも食料も無く、ガソリンすら支給が滞っているのが現状だった。10代の青年である2人の息子を、職員が働くエリアに勝手に連れ込み、匿うアイダ。

交渉の末に、一般市民は町に残るも去るも自由という取り決めが為された。しかし、実際には女性から次々とバスに乗せられ、連れ去られる市民たち。銃を向けて来るセルビア兵の中には、少し前まで隣人だった顔見知りも多かった。若いセルビア兵に「先生!」と呼びかけられるアイダ。

バスの行き先は安全だと説明するセルビア軍。だが、物陰では連行された男性市民たちの銃殺が横行していた。家族を守る為に、国連軍と共に避難させようと奔走するアイダ。市民代表を勤めた夫は認められたが、息子たちはバスに乗せられた。結局は夫も息子たちと行く事を選び、家族は近郊の建物で射殺された。男たちばかり8372人が殺されたという(スレブレニツァの虐殺)

紛争終結後、元の自宅を訪れるアイダ。テーブルや時計は元のままで、鍵を壊して入ったセルビア人が住み着いていた。出て行けと言うアイダに、「(家に)戻ると危険」と冷たく言い返す若い母親。発掘された被害者の遺骸の中に、息子たちを見つけて泣き崩れるアイダ。それでも、地元の小学校に勤めたアイダは、殺し合った人々と共に生きて行くのだった。

キャスト

  • アイダ・セルマナギッチ: ヤスナ・ジュリチッチ - 国連の通訳。元教師。
  • ニハド・セルマナギッチ: イズディン・バイロヴィッチ - アイダの夫。高校の元校長。
  • ハムディヤ・セルマナギッチ: ボリス・レアー - アイダとニハドの長男。
  • セヨ・セルマナギッチ: ディーノ・バイロヴィッチ - アイダとニハドの次男。17歳。
  • カレマンス大佐: ヨハン・ヘルデンベルグ - オランダ軍司令官。
  • フランケン少佐: レイモント・ティリ - オランダ軍将校。
  • ムラディッチ将軍: ボリス・イサコヴィッチ - スルプスカ共和国軍司令官。
  • ヨーカ: エミール・ハジハフィズベゴヴィッチ - スルプスカ共和国軍下士官。
  • ロベン大佐: レイナウト・ブッスマーカー - オランダ軍医師。
  • ミンチェス大尉: トゥーン・ルイクス - オランダ軍将校。
  • ルッテン中尉: ユダ・ゴスリンガ - オランダ軍将校。
  • チャミラ: イェレナ・コルディッチ=クレット - 交渉役の1人となった女性。
  • タリク: アウバン・ウカイ - 国連の通訳。
  • 市長: エルミン・ブラヴォ - ヨーカの部隊に処刑される。
  • ヴェスナ: エディタ・マロヴチッチ - ヨーカの妻。空き家となっていたアイダの家に居住。
  • デ・ハーン少佐: ミシャ・フルショフ - オランダ軍将校。
  • ボウドヴィン: ジョーズ・ブラウアーズ - オランダ軍兵士。
  • ラマーツ: ソル・ヴィンケン - オランダ軍兵士。
  • ムハレム・イカノヴィッチ: リヤド・グヴォズデン - 交渉役の1人となった会社取締役。
  • ムニラ: ミンカ・ムフティッチ
  • ラロヴィッチ: エルミン・シヤミヤ

公開

ワールド・プレミアは2020年9月3日に第77回ヴェネツィア国際映画祭で行われた[5][6]。その他に2020年9月13日に第45回トロント国際映画祭でも上映された[7][8]。2021年2月にスーパーLTDがアメリカ合衆国での配給権を獲得した[9]。アメリカ合衆国では2021年3月5日にヴァーチャル・シネマで公開され、その後2021年3月15日にビデオ・オン・デマンドで配信された[10]

評価

批評家の反応

レビュー集積サイトのRotten Tomatoesでは54件のレビューで支持率が100%、平均点は8.8/10となり、「『アイダよ、何処へ?』はある女性の悲痛な争いを利用して、戦争の壊滅的な人的被害についての燃えるような説明を与える」とまとめられた[11]Metacriticでは16件のレビューで加重平均値は97/100となった[12]

受賞とノミネート

部門候補者結果
アカデミー賞[13][14][15][16] 国際長編映画賞 ヤスミラ・ジュバニッチ ノミネート
ヴェネツィア国際映画祭[1] 金獅子賞 ヤスミラ・ジュバニッチ ノミネート
ロッテルダム国際映画祭[17] 観客賞 ヤスミラ・ジュバニッチ 受賞
ヨーテボリ国際映画祭[18] ドラゴン賞 ヤスミラ・ジュバニッチ 受賞
インディペンデント・スピリット賞[19] 外国映画賞 ヤスミラ・ジュバニッチ 受賞
英国アカデミー賞[20] 非英語作品賞 ヤスミラ・ジュバニッチ、ダミル・イブラヒモビッチ ノミネート
監督賞 ヤスミラ・ジュバニッチ ノミネート

出典

  1. Quo Vadis, Aida? (英語). Venice Film Festival. 2020年8月29日閲覧。
  2. Blaga, Iulia (2018年10月22日). “GRANTS: Romanian CNC Gives Biggest Grant to Minority Coproduction Quo Vadis, Aida!” (英語). filmneweurope.com. https://www.filmneweurope.com/news/romania-news/item/117163-grants-romanian-cnc-gives-biggest-grant-to-minority-coproduction-quo-vadis-aida 2020年7月29日閲覧。
  3. Solomun, Zoran (2020年8月30日). “"Quo Vadis, Aida?" – novi film Jasmile Žbanić” (ボスニア語). DW. https://www.dw.com/hr/quo-vadis-aida-novi-film-jasmile-%C5%BEbani%C4%87/a-54734419 2020年9月1日閲覧。
  4. Quo Vadis, Aida? Film by Bosnian Director Jasmila Zbanic on the Venice Biennale” (英語). Sarajevo Times. (2020年7月29日). http://www.sarajevotimes.com/quo-vadis-aida-film-by-bosnian-director-jasmila-zbanic-on-the-venice-biennale/ 2020年7月31日閲覧。
  5. Sharf, Zack (2020年7月28日). “Venice Film Festival 2020 Full Lineup: Luca Guadagnino, Chloe Zhao, Gia Coppola, and More” (英語). IndieWire. https://www.indiewire.com/2020/07/venice-film-festival-2020-lineup-1234576400/ 2020年7月28日閲覧。
  6. Quo Vadis, Aida? (英語). labiennale.org. La Biennale di Venezia (2020年7月28日). 2020年7月28日閲覧。
  7. Wiseman, Andreas (2020年7月30日). “Toronto Sets 2020 Lineup: Werner Herzog, Regina King, Mira Nair, Francois Ozon, Naomi Kawase Titles Join Hybrid Edition” (英語). Deadline.com. https://deadline.com/2020/07/toronto-film-festival-2020-lineup-werner-herzog-regina-king-mira-nair-francois-ozon-naomi-kawase-1202999399/ 2020年7月30日閲覧。
  8. Quo Vadis, Aïda? (英語). Toronto International Film Festival. 2022年6月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年7月30日閲覧。
  9. Grater, Tom (2021年2月19日). “Oscar-Shortlisted Bosnian War Drama 'Quo Vadis, Aida?' Lands At Neon's Super Ltd” (英語). Deadline.com. https://www.deadline.com/2021/02/oscar-shortlisted-bosnian-war-drama-quo-vadis-aida-neon-super-ltd-1234697070/ 2021年3月8日閲覧。
  10. Berger, Laura (2021年3月5日). “Trailer Watch: A U.N. Translator Faces a Crisis in Jasmila Žbanić's Oscar Contender "Quo Vadis, Aida?"” (英語). Women and Hollywood. https://womenandhollywood.com/trailer-watch-a-u-n-translator-faces-a-crisis-in-jasmila-zbanics-oscar-contender-quo-vadis-aida/ 2021年3月8日閲覧。
  11. "Quo Vadis, Aida?". Rotten Tomatoes (英語). 2021年4月24日閲覧
  12. "Quo Vadis, Aida?" (英語). Metacritic. 2021年4月10日閲覧。
  13. “Movie Quo Vadis, Aida? is BH Candidate for Oscar” (英語). Sarajevo Times. (2020年9月24日). http://www.sarajevotimes.com/168808-2/ 2020年9月24日閲覧。
  14. Davis, Clayton (2021年2月9日). “Oscars Shortlists Announced in Nine Categories” (英語). Variety. https://variety.com/2021/film/news/oscars-shortlist-2021-makeup-visual-score-song-international-documentary-1234904174/ 2021年2月10日閲覧。
  15. L.K. (2021年3月15日). “Film Jasmile Žbanić o genocidu u Srebrenici nominovan za Oscara!” (ボスニア語). Klix.ba. https://www.klix.ba/magazin/film-tv/film-jasmile-zbanic-o-genocidu-u-srebrenici-nominovan-za-oscara/210310121 2021年3月15日閲覧。
  16. THE 93RD ACADEMY AWARDS (英語). oscars.org. 2021年4月24日閲覧。
  17. Pebbles by Vinothraj P.S. wins the 2021 Tiger Award (英語). iffr.com (2020年2月7日). 2021年2月10日閲覧。
  18. N.V. (2021年2月7日). “Film "Quo vadis, Aida" nagrađen na filmskim festivalima u Roterdamu i Goterborgu” (ボスニア語). Klix.ba. https://www.klix.ba/magazin/film-tv/film-quo-vadis-aida-nagradjen-na-filmskim-festivalima-u-roterdamu-i-goterborgu/210207077 2021年2月7日閲覧。
  19. N.O. (2021年4月23日). “"Quo Vadis, Aida?" dobio još jednu nagradu za najbolji strani film” (ボスニア語). Klix.ba. https://www.klix.ba/magazin/film-tv/quo-vadis-aida-dobio-jos-jednu-nagradu-za-najbolji-strani-film/210423029 2021年4月23日閲覧。
  20. L.K. (2021年3月9日). “"Quo Vadis, Aida?" nominovan za dvije BAFTA nagrade” (ボスニア語). Klix.ba. https://www.klix.ba/magazin/film-tv/quo-vadis-aida-nominovan-za-dvije-bafta-nagrade/210309108 2021年3月9日閲覧。

関連項目

外部リンク

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