アルバトロス級コルベット

アルバトロス級コルベット(イタリア語: Corvetta Classe Albatros)は、イタリアが第二次世界大戦後初めて建造したコルベットの艦級。同国海軍のほか[1]、オランダ海軍[2]やデンマーク海軍[3]でも運用された。また準同型艦がインドネシア海軍、イラン海軍とタイ王国海軍でも運用された。

アルバトロス級コルベット
基本情報
艦種 コルベット
運用者  イタリア海軍
 デンマーク海軍
 オランダ海軍
就役期間 イタリア 1955年 - 1992年
デンマーク 1955年 - 1981年
オランダ 1956年 - 1961年
前級 イタリア ガッビアーノ級
準同型艦 アメリカ合衆国 PF-103級
インドネシア パチムラ級
次級 イタリア クリストファロ級
要目
基準排水量 800トン
満載排水量 950トン
全長 76.3 m
最大幅 9.6 m
吃水 2.7 m
主機 フィアットM409
ディーゼルエンジン×2基
推進器 スクリュープロペラ×2軸
出力 最大5,200馬力
定格3,500馬力
速力 20ノット
航続距離 8,400海里(10ノット航行時)
2,520海里(20ノット航行時)
燃料 100トン
乗員 108名
兵装 ・62口径76mm両用砲×2門
 ※伊海軍では40mm連装機銃に後日換装
・70口径40mm連装機銃×1基
・ヘッジホッグ対潜迫撃砲×2基
・K-Gun Mk.9 爆雷投射機×4基
・爆雷投下軌条×1基
・3連装短魚雷発射管×2基
 ※伊海軍のみ、後日装備
レーダー ・MLN-1A 対空対水上捜索用
 ※伊海軍のみ、SPQ-2に後日換装
・CWS-1 対空捜索用
 ※デンマーク海軍のみ
・NWS-1 対水上捜索用
 ※デンマーク海軍のみ
ソナー QCU-2 探信儀

設計

本級は、輸出用にアンサルド社 (Gio. Ansaldo & C.) が開発した設計を採用している[4]。主機としてはフィアットM409ディーゼルエンジン2基を搭載し、スクリュープロペラ2軸を駆動する。電源の合計出力は1,200キロワットであった[5]。

艦砲としては、当初は90mm砲を搭載する予定だったが、実際には62口径76mm単装砲(SMP3ソヴラポスト)が搭載された[注 1]。ただしこの砲はあまりに複雑であり動作不良が続発したことから、1963年に70口径40mm連装機銃に換装された[1]。

対潜兵器としては、イタリア国産のメノン 305mm対潜迫撃砲とヘッジホッグMk.11対潜迫撃砲、爆雷投射軌条1条を搭載した。その後、上記の艦砲の換装とあわせてメノンも撤去され、324mm3連装短魚雷発射管が搭載された[1]。

同型艦

一覧表

運用国 米船体番号 # 艦名 造船所 進水 就役 退役
イタリア PCE-1619 F543 アルバトロス
ITS Albatros
カステッランマーテ・
ディ・スタービア
1954年
7月18日
1955年
6月1日
1986年
4月30日
PCE-1620 F544 アルシオーネ
ITS Alcione
1954年
9月19日
1955年
10月23日
1992年
PCE-1621 F545 アイローネ
ITS Airone
1954年
11月21日
1955年
11月21日
1992年
PCE-1626 F542 アクィラ
ITS Aquila
マルゲーラ 1954年
7月31日
1961年
10月18日
1992年
オランダ F823 リンクス
HNLMS Lynx
1956年
10月2日
1961年
10月18日
[注 2]
デンマーク PCE-1622 F344 ベローナ
HDMS Bellona
カステッランマーテ・
ディ・スタービア
1955年
1月9日
1957年
2月2日
1981年
1月9日
PCE-1623 F345 ディアナ
HDMS Diana
リヴァ・トリゴソ 1954年
12月19日
1955年
7月30日
1975年
8月30日
PCE-1624 F346 フローラ
HDMS Flora
1955年
6月25日
1956年
8月28日
1977年
PCE-1625 F347 トリトン
HDMS Triton
トーシ・ディ・
タラント
1954年
9月12日
1955年
8月10日
1981年
1月9日

8隻がイタリアで建造され、3隻がイタリア海軍で就役した。また1隻(「リンクス」)はオランダ海軍、4隻(トリトン級)はデンマーク海軍に供与された。これらはNATOの相互防衛援助協定(Mutual Defense Assistance Act)に基づいてアメリカが資金援助を行なっており、アメリカ海軍の駆潜艇としての船体分類記号が付与されている[6]。

その後、オランダ海軍に供与された「リンクス」は1961年に同国海軍を退役し、一旦書類上でアメリカに返還された上でイタリア海軍に売却された。

運用史

アルバトロス級コルベットは、イタリア海軍において対潜哨戒や警戒・監視を主な任務としていたほか、士官候補生の訓練艦としても利用された。イタリア海軍においては1986年に1番艦アルバトロスが退役し、他の3隻も1992年には全て退役した。デンマーク海軍においてはイタリア海軍よりも早く、1975年から1981年にかけて4隻全てが退役した。

準同型艦

イタリア海軍では、1960年代に入ると船楼を艦首側に延長して船首楼船型とし、装備も更新した発展型のピエトロ・ディ・クリストファロ級の建造に着手し、1964年・1965年に4隻を就役させた[7]。

またアンサルド社では、インドネシア海軍向けの発展型としてパチムラ級(満載1,200トン・全長82.4メートル)2隻を建造し、1958年に竣工させた[8]。

アメリカ海軍も本級の建造の権利を取得し、軍事援助の一環として、パチムラ級に準じた設計でPF-103級6隻を建造し、イラン海軍とタイ王国海軍に引き渡した[4]。

脚注

注釈

  1. 一方、トリトン級ではM/55単装砲が搭載された。
  2. イタリア海軍「アクィラ」として再就役

出典

  1. Gardiner 1996, p. 215.
  2. Gardiner 1996, p. 275.
  3. Gardiner 1996, p. 77.
  4. Friedman 1987, p. 73.
  5. Prezelin 1990, p. 303.
  6. Friedman 1987, p. 490.
  7. Sharpe 1989, p. 303.
  8. Gardiner 1996, p. 180.

参考文献

  • Friedman, Norman (1987). U.S. Small Combatants, Including PT Boats, Subchasers, and the Brown-Water Navy: An Illustrated Design History. Naval Institute Press. ISBN 978-0870217135
  • Gardiner, Robert (1996). Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995. Naval Institute Press. ISBN 978-1557501325
  • Prezelin, Bernard (1990). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991. Naval Institute Press. ISBN 978-0870212505
  • Sharpe, Richard (1989). Jane's Fighting Ships 1989-90. Janes Information Group. ISBN 978-0710608864

関連項目

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