イスラム教の預言者

イスラム教の預言者(イスラムきょうのよげんしゃ、アラビア語:الأنبياء في الإسلام‎、英語:Prophets of Islam)とは、イスラム教において、「神(アッラーフ)によって選ばれ、かれ[注釈 1]からの言葉を授かったとされる人たち」を指す。ナビー(アラビア語:نبي‎、英語:Nabi)ともいう。

概要

イスラム教では、旧約聖書の預言者たちや、新約聖書のイエス・キリスト(イーサー)も歴代の預言者として認め、中でも

  1. ノア(ヌーフ)
  2. アブラハム(イブラーヒーム)
  3. モーセ(ムーサー)
  4. ナザレのイエス(イーサー)
  5. ムハンマド(もしくはモハメッド)

を五大預言者として位置づけるが、ムハンマドこそ最後の預言者であるとする[1]。

預言者と使徒の違い

ユダヤ教とキリスト教を取り入れて誕生したイスラム教においては、現実には預言者(ナビー)は使徒(ラスール)とほぼ同義に使われるが、以下のように区別しうる[2]。

  • 預言者とは、神からの知らせ(ナバア、نبأ‎)を啓示された者を指す。
  • 使徒とは、預言者である条件に加え、さらにナバアを他人に伝えるという使命を負っている者を指す。

つまり、預言者が使徒を内包しており、ゆえに使徒は同時に預言者であるということである。

クルアーン(コーラン)に登場する25人の使徒たち

  • アラビア人は5人[3]。アイユーブは旧約聖書の預言者でもあるが、イスラエル人ではなく、ムーサーとほぼ同時代のアラビア半島の預言者である。民族として「分岐前」と表記された人物はアラブ人とイスラエル人が分岐する前の時代の預言者である。
  • 登場節の6章は、名前の登場順。他は、章-節。
  • なお、全27人という説・見解もある[4]。その場合、ウザイル(エズラ)、ズルカルナイン(アレキサンダー大王)、ルクマーン(アラブ固有の賢者)などが、クルアーンにその名があり候補に挙がる(この3名は預言者ではないという見解も存在する)。
  • また旧約聖書のシャムウィール(サムエル)、ユーシュア(ヨシュア)なども人名自体は述べられていないものの、はっきりと、本人だと分かる人物がクルアーンに登場している。
  • また、洞窟章でムーサーが教えを乞うた人(クルアーンには人名は述べられていないが、伝統的にヒドゥルの名で知られる)もイスラーム伝承では重要な預言者の一人とされている。
0民族イスラム教での呼び名登場するクルアーンの書物ユダヤ教・キリスト教での呼び名登場節
片仮名アラビア文字ラテン文字
01分岐前アーダムآدمAdem—アダム(アーダム)03章33節
02分岐前イドリースإدريسIdris—エノク (アフヌーフ)?21章85節
03分岐前ヌーフسورة نوحNuhヌーフノア(ヌーフ)06章(04番目)
04アラビア人フードهودHudフードエベル (アービル)?11章50節
05アラビア人サーリフصالحSaleh—シェラフ (シャーラフ)?11章61節
06分岐前イブラーヒームإِبْـرَاهِـيْـمIbrahimイブラヒームアブラハム (イブラーヒーム)06章(01番目)
07分岐前ルートلوطLut—ロト (ルート)06章(18番目)
08分岐前イスマーイールإِسْمَٰعِيْلIshmael—イシュマエル (イスマーイール)06章(15番目)
09分岐前イスハークإسحاقIshaq—イサク(イスハーク)06章(02番目)
10イスラエル人ヤアクーブيَعْقُوب Yaqub—ヤコブ(ヤアクーブ)06章(03番目)
11イスラエル人ユースフيُـوسـفYusufユースフヨセフ(ユースフ)06章(08番目)
12アラビア人シュアイブشُـعَـيْـبShoaib—リウエル(ラウーイール) ?11章84節
13アラビア人アイユーブأيّوبAyyub—ヨブ (アイユーブ)06章(07番目)
14イスラエル人ズルキフルذُو ٱلْكِفْلDhul-Kifl—エゼキエル (ヒズキヤール)?21章85節
15イスラエル人ムーサーٰمُوسَىMusa—モーセ(ムーサー)06章(09番目)
16イスラエル人ハールーンهارونHarun—アロン (ハールーン)06章(10番目)
17イスラエル人ダーウードداؤدDaud—ダビデ (ダーウード)06章(05番目)
18イスラエル人スライマーンسُـلـيـمـانSulayman—ソロモン(スライマーン)06章(06番目)
19イスラエル人イルヤースإلياسIlyas—エリヤ (イーリヤー)?06章(14番目)
20イスラエル人アルヤサアاليسعAl-Yasa—エリシャ (イリーシャウ)?06章(16番目)
21イスラエル人ユーヌスيونسYunusユーヌスヨナ (ユーナーン)06章(17番目)
22イスラエル人ザカリヤーزَكَرِيَّاءZakariya—ザカリア(ザカリヤー)06章(11番目)
23イスラエル人ヤヒヤーيحيىYahya—ヨハネ (ユーハンナー)06章(12番目)
24イスラエル人イーサーعيسىIsa—イエス(ヤスーウ)06章(13番目)
25アラビア人ムハンマドمُـحَـمَّـدMuhammadムハンマドパラクレートス(ファーラクリート)?48章29節

脚注

出典

  1. 『イスラム事典』平凡社、1982年、393頁。ISBN 4582126014。
  2. “預言者と使徒の違い”. 2020年2月18日閲覧。
  3. “クルアーンに述べられている預言者 : イスラーム情報サービス :Islam.ne.jp イスラム情報”. 2020年2月18日閲覧。
  4. “イスラームとは”. 宗教法人日本ムスリム協会. 2020年10月29日閲覧。

注釈

  1. アッラーフには性別は無いが(クルアーン51章49節参照)、伝統的に、あるいはクルアーンでの用例に従って、この代名詞を用いる。

関連項目

This article is issued from Wikipedia. The text is licensed under Creative Commons - Attribution - Sharealike. Additional terms may apply for the media files.