イディオテック

概要

テクノビートを取り入れた本作は、実験的な楽曲の多い『キッド A』の中にあって、リズミカルでキャッチーな要素もあり、レディオヘッドの代表作となっている。

ライブ演奏は、2001年のEP『I May Be Wrong: Live Recordings』に収録されている。 2008年のベスト盤『ザ・ベスト・オブ』にも収録されている。

制作

本作は、ジョニー・グリーンウッドがモジュラーシンセサイザーで作り上げたリズムから始まった。「カオスが必要だ」と感じたジョニーは、偶然の音を探ったりやサンプリングを試したりしながら、50分の即興演奏を録音し、そこからトム・ヨークが短いシークエンスを取り出して曲を書いた。トム・ヨークは「何だ?と思ったところもあったけど、40秒くらいの部分は間違いなく天才的だったから、そこを切り取った」と語っている[1]

作詞は、『キッドA』の他の歌詞と同じく、切り刻んだフレーズを帽子に入れ無作為に取り出しながら行った。2コーラス目では、4分の5拍子で "the first of the children" と歌っているようにアレンジされ、元の4分の4拍子のコーラスに対して不協和音を作り出している。

四和音のシンセサイザーのフレーズは、アメリカの作曲家ポール・ランスキーによるコンピュータ音楽「mild und leise」からサンプリングされた[2]。この曲は、1975年のコンピレーション『First Recordings – Electronic Music Winners』に収録されており、レディオヘッドのアメリカツアー中、グリーンウッドが中古レコード店で発見した[3]。ランスキーは、サンプリングを許可した理由を、「想像力豊かで独創的」なものと判断し、彼自身も「トリスタン和音を使ってコード進行をサンプリングした」からだとエッセイで語っている。 また、コネチカット・カレッジの音楽教授アーサー・クライガーによる「Electronic Music Winners」の曲の一部もサンプリングしている[4]

解釈

本作の内容について、アルバムには歌詞が記載されておらず、意味を限定したくないとするトム・ヨークも直接的な言及を避けていることから、リスナーによって様々に解釈されている[5]

タイトルについては、idiot(英語で「馬鹿げた」)と、discothèque(フランス語で「ディスコ」)を組み合わせた造語とされているが、定かではない。 曲の中で "Ice Age Coming"と繰り返し歌われていたり、スタンリー・ドンウッドによるカバーアートが、雪に覆われた山から炎が上がっているイメージだったりすることから、気候変動に関する内容ではないかとされている[6]

評価

本作は高い評価を受けている。 2009年のピッチフォークによる「2000年代最高の200曲」で8位[7]、2011年のローリング・ストーン誌による「2000年代最高の100曲」で56位に選出された[8]

2020年にガーディアン誌が発表した「レディオヘッド最高の40曲」で第6位に選ばれ、「環境破壊の恐怖、ビッグ・テックの脅威、破滅的な狂気が蔓延しているが、戦慄を引き起こすシンセサイザーの音色は希望を高らかに謳っている」と評された[9]

2021年のローリング・ストーン誌による「史上最高の500曲」では48位に選出され、「不吉で魅惑的な『キッドA』の核であり、氷河のようなビートに乗せて、目を細めるほどのディストピアをイメージさせる」と評された[10]

カバー

2021年、アメリカの女性ミュージシャン、メリル・ガーバスによる音楽プロジェクトであるチューン・ヤーズによってカバーされた[11]

脚注

  1. Thom Yorke Talks About Life in the Public Eye (2007年10月12日). 2022年4月18日閲覧。
  2. Morning Becomes Eclectic”. KCRW (2000年10月20日). 2022年4月18日閲覧。
  3. Jonny and Colin Greenwood (2018年4月2日). 2022年4月18日閲覧。
  4. Arthur Kreiger (2005年12月2日). 2022年4月18日閲覧。
  5. Radiohead interview NY Rock”. nyrock (2001年4月1日). 2022年4月18日閲覧。
  6. ‘Some Sort of Future, Even If It’s a Nightmare’: Thom Yorke on the Visual Secrets of ‘Kid A’ and ‘Amnesiac’”. Rolling Stone (2021年11月3日). 2022年4月18日閲覧。
  7. The 200 Best Songs of the 2000s”. Pitchfork (2009年8月21日). 2022年4月18日閲覧。
  8. 100 Best Songs of the 2000s”. Rolling Stone (2011年6月17日). 2022年4月18日閲覧。
  9. Radiohead's 40 greatest songs – ranked!”. The Guardian (2020年1月23日). 2022年5月1日閲覧。
  10. The 500 Greatest Songs of All Time”. Rolling Stone (2021年9月17日). 2022年4月18日閲覧。
  11. Tune-Yards cover Radiohead masterpiece 'Idioteque'”. NME (2021年3月26日). 2022年6月17日閲覧。
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