キスワ

キスワ(アラビア語:كِسْوَة, kiswah ないしは kiswa, キスワ)はアラビア語の「服、衣類」「(壁などの)掛け布、覆い」を意味[1][2]する名詞。

カアバ神殿
カアバ神殿扉付近
キスワの一片を手にするイラク クルディスタンの人々

単に「キスワ」という場合、現代ではイスラーム用語として聖地マッカ(メッカ)にあるカアバ神殿を覆う黒布 كِسْوَة الْكَعْبَةِ(kiswat al-kaʿba(h), キスワト・アル=カアバ)のことを指すのが一般的。

役割と歴史

キスワの役割は、ユダヤ人の契約の箱(サムエル記下第6章第17節)の天幕と同様の神聖な天幕の痕跡を表すものとされる[3]

クライシュ族ムハンマドムスリムを弾圧していた時代、当時、クライシュ族がカアバにキスワを飾っていたが、彼らはクライシュ族の行動に賛同することがなかった。630年、マッカがイスラーム勢力の手に落ちると、ムハンマドは、クライシュ族の手によって飾られていたキスワを燃やし、そのあとに、イエメン産の白い布をカアバに飾った。このことが、イスラームにおけるキスワの始まりである。

ムハンマド没後も、キスワを飾る風習は続けられた。ウマイヤ朝を創始したムアーウィヤは、1年に2回、キスワを新たなものにしたとされる。

現代においてはサウジアラビア政府が大巡礼(ハッジ)の月であるヒジュラ暦(イスラーム暦)12月9日に新品と交換。また大巡礼期間中は非常に多くの人々がカアバ神殿を取り囲むため上方に巻き上げられる[4]

交換された古いキスワは分割され、展示されたりイスラーム諸国に贈られるなどしている。

色・形状

黒地部分

カアバ神殿の覆いは時代によって色・形状が異なっており、現在のような黒地に金の装飾を入れたデザインになったのはアッバース朝期第34カリフ(アン=)ナースィルの時代だったとされる。[5][6][7][8]

現在は外壁は黒(製)で巻き上げた際に白色が現れる。金色の糸でつづられた聖典クルアーン(コーラン)の章句が最も目立つが、黒地部分にも一面にアラビア文字による文言がちりばめられている。

なお、カアバ神殿内側は壁の上半分に緑の布地がかけられており、銀色でクルアーンの章句や祈りなどの文言があしらわれている[9]

脚注

  1. المعاني - كسوة”. 2023年6月17日閲覧。
  2. The Living Arabic Project - كسوة (英語). 2023年12月22日閲覧。
  3. シーラ・S・ブレア、ジョナサン・E・ブルーム 「美術と建築」 (ジョン・エスポジト編、坂井定雄監修『イスラームの歴史』第1巻第5章 p.291)共同通信社、2005
  4. Kaaba kiswa raised indicating beginning of Hajj season (英語). Arab News (2017年8月9日). 2023年6月17日閲覧。
  5. "الكعبة بلون آخر غير الأسود".. مقترح يثير الجدل”. 2023年10月8日閲覧。
  6. لماذا ثوب الكعبة أسود؟.. 9 مراحل لا تعرفها عن كسوة البيت الحرام”. 2023年10月8日閲覧。
  7. شاهد قصة كسوة الكعبة وألوانها الـ7 قبل الرسول حتى الآن”. 2023年10月8日閲覧。
  8. 9 ألوان زينت كسوة الكعبة عبر التاريخ.. لماذا كساها النبي محمد باللون الأحمر والأبيض؟”. 2023年10月8日閲覧。
  9. تفاصيل ومحتويات كسوة الكعبة المشرفة الداخلية | صحيفة المواطن الالكترونية للأخبار السعودية والخليجية والدولية (アラビア語). www.almowaten.net (2023年7月18日). 2023年10月7日閲覧。
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