シュタイアーマルク州営鉄道VT 31-35形気動車

この項目では、オーストリアの交通事業者のシュタイアーマルク州営鉄道(現:シュタイアーマルク鉄道[注釈 1])が、軌間760 mm(ボスニア軌間)のムアタール鉄道へ向けて1980年代以降導入した気動車について解説する[1][5]。

シュタイアーマルク州営鉄道VT 31-35形気動車
シュタイアーマルク州営鉄道VS 41-44形制御車
VT 33(2006年撮影)
基本情報
製造所 ノッツ機械工場、イェンバッハ工場
ブラウン・ボベリ、アドトランツ(機器、VT 31 - 34)
製造年 1980年 - 1982年、1999年
製造数 9両(VT 31 - 35、VS 41 - 44)
運用開始 1981年
投入先 ムアタール鉄道
主要諸元
編成 両運転台
軸配置 VT 31-35 Bo'Bo'
軌間 760 mm
車両定員 VT 31-35 92人(着席56人)
車両重量 VT 31-35 28 t
出力 VT 31-35 250 kw
制動装置 圧縮空気ブレーキ、電気抵抗ブレーキ
備考 主要数値は[1][2][3][4][5][6][7]に基づく。

概要

1970年代、モータリーゼーションの影響を受けて存廃が議論され、一部区間の廃止も断行された軌間760 mmのムアタール鉄道について、約65 kmの区間の運行を継続する事が決定した。だが、その際に課題となったのは車両を始めとする路線の抜本的な近代化だった。ムアタール鉄道を運営していたシュタイアーマルク州営鉄道は従来のものと比べて軽量かつ高速運転が可能な車両を求めていたが、当時そのような車両は存在せず、最終的に自社で独自にノッツ機械工場(Maschinenfabrik Knotz)(現:アルストム)とブラウン・ボベリ(機器)へ車両の発注を実施する事となった。これが一連の気動車である[1][5][9]。

普通列車として使用される事や車両を軽量化させる関係から、トイレは動力車の車内に存在せず制御車のみに設置されている他、乗降扉は軽量の折り戸が、窓は換気用フラップ付きの固定窓が採用されている。また、車内の乗降扉付近には荷物を置く事ができるスペースがあり、その部分の座席は折り畳みが可能となっている[4]。

連結器はシャルフェンベルク式自動連結器が、制動装置は圧縮空気ブレーキおよび電気抵抗ブレーキが用いられているが、これらは従来ムアタール鉄道などオーストリアの軌間760 mmで使用されていた車両と仕組みが異なるため、それらの車両と連結しての営業運転は不可能となっている[注釈 2][4]。

1980年から1982年にかけて動力車が4両(VT 31 - 34)、制御車が4両(VS 41 - 44)、これらの車両と連結可能な郵便客車が1両導入された後、1999年にも動力車が1両(VT 35)、イェンバッハ工場によって製造された。ただしこの増備車については1980年代製の車両と比べ機器などに大幅な変更が生じたため、従来の車両への連結対応工事が行われるまでは通学輸送のみに使用された。改造後は全車とも区別なく、動力車と制御車による1 - 2両編成で使用されている。これらの車両はムアタール鉄道の近代化に大きく貢献し、以降オーストリアにおける軌間760 mmの鉄道路線に同型の車両が多数導入されるきっかけとなった[1][2][3][4]。

関連形式

  • ムアタール鉄道向け気動車を基に開発された車両[4][10]

脚注

注釈

  1. シュタイアーマルク州営鉄道は2018年に上下分離方式により分社化が行われ、同年以降列車運行会社のシュタイアーマルク鉄道・バス会社を始めとする3社により「シュタイアーマルク鉄道」というブランド名で運行が行われている[8]。
  2. ただし同時期に導入された郵便客車については既存の連結器や制動装置にも対応しており、双方の車両と連結が可能であった。

出典

  1. Umweltfreundliche Mobilität für alle (27 October 2021). BERICHT DER ABWICKLUNGSSTELLE ÜBER DIE BESTELLUNG GEMEINWIRTSCHAFTLICHER LEISTUNGEN IM SCHIENENPERSONENVERKEHR 2019 (PDF) (Report). pp. 247, 250. 2022年12月17日閲覧。
  2. “Neuheiten 2021.01 - StLB VT35”. HALLING Modelle (2021年4月27日). 2022年12月17日閲覧。
  3. “Geschichte Murtalbahn”. Club 760. 2022年12月17日閲覧。
  4. Martin Geyer 2006, p. 2.
  5. Mobilität für Österreich 2013, p. 126.
  6. ENTER (2 October 2007). Übersicht über die im Österreichischen Schienenpersonenverkehr eingesetzten Fahrzeugtypen (PDF) (Report). Barrieren für mobilitätseingeschränkte Reisende im Österreichischen Schienenpersonenverkehr. freiraum-europa. p. 11. 2020年7月25日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ。2022年12月17日閲覧。
  7. “Dieseltriebwagen”. StLB. 2005年3月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月17日閲覧。
  8. “Steiermarkbahn”. Bundesministerium für Klimaschutz. 2022年12月17日閲覧。
  9. Stefan Aichhorn-Kreuzberger (2018). Nebenbahnen als Faktor in der Regionalentwicklung am Beispiel der Steiermärkischen Landesbahnen (Report). Karl-Franzens-Universität. p. 68. 2022年12月17日閲覧。
  10. Martin Geyer 2006, p. 3.

参考資料

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